「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年7月27日

弁護士費用が支払えません

▼Q 現在、生活保護を受給中です。交通事故被害のことで、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用して弁護士に委任したいと考えています。費用は後から返済が必要と聞きましたが、自分の生活費だけで精一杯で、お金の余裕がありません。

▼A 民事法律扶助とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルに巻き込まれたとき、法テラスが法律相談に無料で応じ、弁護士や司法書士の費用を立て替える制度です。利用者は、立て替えてもらった弁護士費用などを毎月分割で返済するのが原則です。

しかし、相談者のように生活保護を受給している場合は、法テラスへの返済の猶予を受けられます。また、弁護士に委任する事件が終わった後も生活保護の受給を続けている場合には、返済の免除を受けられる可能性もあります。

ただし、相談者の交通事故事件も含め、事件の相手方から金銭の支払いを受ける場合などは注意が必要です。事件の相手方から金銭などを得た場合は、そこから優先的に法テラスへの返済に充てる必要があり、これは生活保護を受給中であっても同じです。

法テラスの民事法律扶助制度においては、生活保護を受給している方や、受給が必要なほど経済的に困窮している方のために、返済の猶予や免除の制度が設けられていますが、その条件は少々複雑なところもあります。実際に猶予や免除が受けられるかどうかについては、住んでいる地域の法テラス事務所や委任する予定の弁護士へ確認してみてください。

西日本新聞 7月27日分掲載(鎌田祥太)

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