「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年6月6日

任意取り調べ、どう対応?

▼Q 勤務先の旅行積立金100万円がなくなりました。警察が調べていて、私が疑われているようです。1週間後に取り調べがあります。弁護士に付いてきてもらえますか。

▼A あなたが犯人だという証拠がなければ、逮捕や起訴はできません。潔白なら証拠はないはずです。心配でしょうが、落ち着いて対応しましょう。

あなたには黙秘権があります。取り調べで何も話さないことも自由です。一方で、弁解の機会でもあります。しっかり考えて対応しましょう。

このような場合、取調室の中で弁護士が立ち会える国もあります。G7各国は日本とカナダを除いて立ち会いを認めています。EU諸国、韓国なども立ち会いを認めています。捜査機関と対等の地位を被疑者に保障するためです。

しかし日本では、弁護士が立ち会うことはほぼ認められません。日本の警察・検察のこのような対応は国際的に厳しく批判されています。

今回のケースでは、弁護士と一緒に警察署に行くのがよいでしょう。任意の取り調べですから、取調室から退出するのは自由です。弁護士が署内で待機していれば、取調室から出て相談することができます。立ち会いそのものではありませんが、それに近い効果があります。

冤罪(えんざい)は、弱い立場の被疑者が捜査機関の言いなりになることから生まれます。あなたのケースがそうなるかもしれません。まずは、弁護士に相談してください。

西日本新聞 6月6日分掲載(古賀祥多)

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