「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年9月20日

豪雨関連、未払い賃金解決の道は?

▼Q 九州豪雨で勤務先が被災して退職を余儀なくされ、失業手当などの支援で生活しています。辞める直前の月給ももらっておらず、自宅も被災して生活が苦しく困っています。未払い給料を支払ってもらいたいのですが、会社に立ち直ってほしいという思いもあるので、裁判所に訴え出ることまでは考えていません。よい解決方法はありますか。

▼A 大変な日々を過ごされていることと思います。豪雨災害に関する民事上の紛争については、福岡県弁護士会の紛争解決センターが主催する調停制度(災害ADR)を利用できます。弁護士があっせん人となり当事者双方から話を聞いて、話し合いで円満な解決を目指す方法です。

未払い賃金の問題は、当事者間の交渉のほか、裁判所での労働審判や訴訟による解決 が一般的ですが、災害の関連では証拠収集が難しいケースも多く、訴訟などには適さないこともあります。

災害ADRを申し立てるときの手数料は無料で、弁護士が申し立てを支援する制度もあります。調停の場では経験豊富な弁護士が柔軟かつ迅速な解決を図るよう努めます。まずは、天神弁護士センター=電話092(741)3208=までお問い合わせください。

弁護士による被災地への無料出張相談や無料電話相談=092(753)6364=もあります。専門家による支援の窓口があることを、心にとどめていただければと思います。

西日本新聞 9月20日分掲載(波止佳子)

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