「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年10月18日

暴力団離脱者を支える会社

▼Q 小学校時代の同級生が暴力団を脱退して地元の会社で働いています。暴力団と付き合いのある会社なのでしょうか。

▼A その会社は「協力雇用主」かもしれません。協力雇用主とは、犯罪や非行をした人を雇い入れて、社会復帰を応援している事業者です。一度は道を踏み外して暴力団に入ってしまったとしても、真剣に反省し、暴力団から離脱して更生したいと考えている人もいます。ところが、仕事が見つからないと、また暴力団に戻ってしまったり、犯罪に手を染めてしまったりします。

統計上も、再犯をして刑務所に戻った人のうち、無職者が約7割、有職者が約3割です。社会復帰しても再犯しないためには、仕事が大事なことがわかります。そこで、国も、政策として暴力団離脱者を支援しているのです。暴力団対策法は暴力団を取り締まる法律ですが、離脱希望者に対して公安委員会が離脱や就労を支援することも定めています。

ご相談の会社が協力雇用主なら、心配する必要はありません。暴力団離脱者を社会的に支援することは大事な活動です。そしてその活動は、協力雇用主だけが担うものでもありません。あなたも、同級生の力になってあげてはいかがでしょうか。

この記事を読んで協力雇用主に興味を持った方は、ぜひお近くの保護観察所に連絡してみてください。事業者への奨励金などもあります。

21日には、福岡、北九州、久留米の各市役所で暴力団被害集中相談が行われます。警察、暴追センター、弁護士による合同相談会です。電話相談も可能です。詳しくは福岡県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 10月18日分掲載(藤本洵矢)

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