「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年3月13日

津波で家が倒壊 ローンどうなる

▼Q 地震が発生し、新築の自宅が津波で倒壊しました。住宅ローンがまだ残っています。返済はどうなるのでしょうか。

▼A 自然災害に遭っても住宅ローンの支払いが免除や減額されるわけではありません。家を失っても返済義務はあります。返済できなくなったら、自己破産や個人再生などで解決するのが通常です。

もっとも、被災者の生活の再建を図る必要もあります。そこで自然災害被害に関して、「被災ローン減免制度」という特別な制度が使える場合があります。

同制度を利用した場合は、信用情報機関のブラックリストに載りません。また、基本的には保証人への請求はしないことになっています。さらに、義援金などを除いて、預貯金が500万円までは手元に残せる財産として認められています。これらは、自己破産などでは認められていないメリットです。

なお、義援金、被災者生活再建支援金、災害弔慰金、災害障害見舞金は、法律により差し押さえが禁止されておりますので、自己破産しても手元に残すことができます。

同制度の利用に費用はかかりません。また、弁護士による支援を無料で受けることができます。ただし利用できるのは、災害救助法の適用を受けた自然災害の被害者です。

また、同制度の利用の可否にあたり、収入も考慮されます。自然災害であれば何でも、被災者であれば誰にでも認められる制度ではないので、ご注意ください。

被災ローン減免制度に詳しくない金融機関もありますのでまずは弁護士にお尋ねください。

西日本新聞 3月13日分掲載(安河内亮)

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