「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2012年12月22日

「保証書提出で保釈」への動きも

▼Q 身内が逮捕されて・・・。罪は認め、捜査にも協力したようですが、裁判は年明け。それまで自宅には帰れないのでしょうか。

▼A 「保釈」という制度を使えば帰れる可能性があります。法律(憲法)では本来、人は誰でも有罪判決が確定するまでは無罪と推定され、自由を奪われないのが原則です。

しかし現実的には、刑罰を免れるために逃げる人もいるでしょうし、それでは国家の秩序を保てなくなってしまいます。そこで、逃げる恐れがある人については、裁判への出廷などを確保するため身柄を拘束しておく必要があります(勾留)。

保釈は、勾留されている人が保釈保証金を裁判所に預け、逃げたりしないことを約束して身柄の拘束を解く仕組みです。万一逃げたりすれば保釈保証金は裁判所に没収されますが、そういうことがなければ、裁判で有罪になっても保釈保証金は全額戻ってきます。逃亡を防ぐための担保のようなものです。

保釈保証金の額は資産の多寡によって異なります。お金がない人は100万~150万円くらいが多く、資産がある人だと1億円や2億円ということもあります。要は、その人が「失うと痛い」と思うような額を裁判所が決めることになるのです。

確かにお金がある人は、保釈保証金を払って一時的に釈放されるのに、お金がない人はできないという点で不公平を感じるかもしれません。そこで弁護士でつくる協同組合が、保釈金の代わりに保証書を裁判所に提出し、保釈許可を取り付ける制度の導入を決めるなど、新しい動きもあります。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 12月22日分掲載(服部貴明)

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