「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年12月6日

ロマンス詐欺 予防が大事

▼Q 叔母は独身の55歳です。SNSで知り合った米国在住の男性と婚約し、婚約指輪を日本に空輸してもらう際の関税として300万円を送金すると言います。怪しいと忠告しても聞きません。どうしたらよいでしょうか。

▼A 本件は「ロマンス詐欺」の可能性があります。

ロマンス詐欺は特殊詐欺の一種で、SNSで親密になり、結婚の約束などと合わせて金品を要求する手口が典型です。恋愛感情につけ込んだ巧妙な手口といえます。ところが、詐欺師は被害者と直接会わず、やりとりがSNSの中で完結していて、被害回復は難しいことが多いです。

今回は送金前でよかったです。絶対に送金させないでください。あなたの説得にかかっています。同じ手口の実例があることを教え、この記事や国民生活センターのホームページの事例を見せてください。耳を貸さない場合は、一緒に弁護士に相談に行ってください。直接実例を聞くと納得するかもしれません。

送金してしまった場合は、すぐに警察に被害届を提出し、送金先の金融機関にも連絡して口座の凍結手続きを取ってください。

なお、返金を求める裁判をする方法もありますが、そもそも相手の身元が分からないことが多く、分かったとしても現実にお金を取り戻すのは困難です。予防に勝る解決策はありません。お金の話になった時点で、本物の愛情かどうか、よく考えてみてください。

福岡県弁護士会では12月9日にシンポジウム「あなたも危ないSNS詐欺被害!」を開催します。詳しくは、福岡県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 12月6日分掲載(請川大造)

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