「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2015年6月3日

労働者への損賠請求に制限

▼Q 私は運送会社でトラック運転手をしています。先日、過労のため事故を起こし、積み荷の商品を壊してしまいました。会社から商品を全部買い取るよう要求されています。応じなければいけないのでしょうか。

▼A 確かに、労働者が不注意で会社に損害を与えた場合、会社から損害賠償を求められることがあります。しかし、故意や飲酒運転のような悪質な場合を除いて損害の全額を負わなければならないことはめったにありません。多くの裁判例では、労働者側の不注意の程度や地位、労働条件、会社側の管理体制に不備がなかったかなどに応じて責任がなくなるか、あったとしても制限されています。

トラック運転手の場合、事故原因として、会社側が長時間労働で無理な働かせ方をさせているような場合、労働者の責任は軽くなります。また、低い賃金で働かせていたのに会社がその何十倍もの過大な賠償金を請求することも制限されます。

なかには、会社が労働者に無理やり賠償させようと月給から天引きしている例もあります。しかし、労働者が本心から同意している場合は別として会社が一方的に給料から賠償金を天引きすることは許されません。労働者は、給料の全額を支払うよう会社に要求することができます。福岡県弁護士会では、6月10午前10時~午後8時、労働に関する無料相談ホットラインを開設します。相談窓口の電話=(0120)610168(ろうどういろは)。

西日本新聞 6月3日分掲載(国嶋洋伸)

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