「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年8月14日

「悪霊がついている」と言われ数珠を購入

▼Q 長い闘病生活を送っていたところ、数珠業者から「私には霊感がある。あなたには悪霊がついており、このままでは病状が悪化する。この数珠で念ずれば、悪霊が去って悪化しない」と言われ、数珠を買ってしまいました。返品して代金を取り戻したい。

▼A 今年6月に改正消費者契約法が施行され、売買やサービスなどの契約を取り消すことができる「事業者の不当な勧誘行為」に、いわゆる「霊感商法」が追加されました。

あなたの話では、事業者は合理的に証明するのが難しい「霊感」という能力を使って、「このままでは病状が悪化する」と不安をあおっています。さらに「数珠を買えば悪化しない」と困惑させて買わせており、これは霊感商法に当たります。あなたは売買契約を取り消し、業者に代金の返還を求めることができます。

その他にも、恋愛関係を利用し「これを買ってくれないと関係を続けられない」と迫る(デート商法)▽就職や容姿などについて不安をあおり契約を迫る▽認知症などで判断力が著しく低下して不安な人に「この食品を食べなければもっと悪くなる」と言う-なども「不当な勧誘」に追加され、契約を取り消せるようになりました。

事業者とのやりとりで不安を感じたときは、会話の録音やメール履歴の保存をしてください。
既に買ったりサービス契約したりして、不安を感じている場合は、速やかに各地の消費生活センターや弁護士会などにご相談ください。

西日本新聞 8月14日分掲載(永長寿美子)

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