「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2019年1月30日

遺言書の目録、パソコン作成も可能に

▼Q 法律が改正され、手書きの遺言書が作りやすくなったと聞きました。どう変わったのですか。

▼A 昨年7月、相続に関する民法などの規定が約40年ぶりに改正されました。遺言書には主に、遺言をする人自身が書いて作成する「自筆証書遺言」と、公証人が関わって作成し厳密に保管される「公正証書遺言」の2種類があります。お尋ねは、今月13日に施行された自筆証書遺言の方式緩和のことですね。

自筆証書遺言はこれまで、財産をリストアップした「財産目録」も含めて、全てを自分で手書きしなければいけませんでした。しかし遺言者が高齢だったり、財産がたくさんあったりすると、手書きは相当な負担になるため、遺言書作成の妨げになっていると指摘されていました。

今回の改正で、財産目録を別紙として添付する場合、別紙は手書きでなくてもよくなりました。従って、遺言書本体は手書きでなければいけない点は変わりませんが、別紙としてパソコンで作成した財産目録、不動産の登記事項証明書、通帳のコピーなどを添付できるようになりました。ただし偽造防止の観点から、別紙の全てのページに署名、押印が必要です。

また今回、自筆証書遺言保管制度も創設されました。遺言書は自宅の金庫や仏壇で保管することが多いのですが、2020年7月からは、紛失や他人による改ざん、隠匿を防ぐために、法務局で保管してもらうことができます。

遺言や相続に関する悩みや疑問は弁護士にご相談ください。

西日本新聞 1月30日分掲載(吉田純二)

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