「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2018年5月23日

犯罪被害、どんな支援がある?

▼Q 友人のお子さんが亡くなりました。犯罪に巻き込まれたそうで、お葬式にもマスコミが集まっていました。友人は引きこもって話もできない状態です。犯罪被害者にはどんな支援がありますか。

▼A 犯罪被害は、誰の身にも起こりえます。捜査や裁判、マスコミ報道やインターネットなどを通じて周囲の偏見にさらされたり、中傷を受けたりといった二次被害も深刻です。被害者支援は被害直後から普段の生活に戻れるまで途切れることなく必要といえます。

各地の自治体では被害者支援条例が整備され、福岡県も3月に条例を制定。二次被害防止への配慮や法律・保健医療専門家や支援者の紹介、裁判費用の支援、住居・雇用・日常生活支援が盛り込まれました。性犯罪被害者に特化した支援条例制定の動きもあります。

被害者や遺族には加害者の刑事裁判に参加できる権利があり、参加する際の弁護士費用を国が負担する制度が用意されています。有罪判決が出た場合、民事裁判で迅速に損害賠償請求できる制度もあります。警察署や地方検察庁には支援窓口があり、殺人など重大犯罪の被害に遭った場合国から給付金が支給されることがあります。

ご友人の場合、こうした制度を利用でき、弁護士に遺族の代理人としてマスコミ対応を頼むことも可能です。その場合の弁護士費用は、犯罪被害者法律援助制度を利用することもできます。

福岡県弁護士会の犯罪被害者無料相談は電話=092(738)8363(毎週火・金)。

西日本新聞 5月23日分掲載(徳永由華)

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