「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2025年6月19日

3軒のうどん店を経営しています。会社の引継ぎ、どうしたら?

▼Q 私は3軒のうどん店を経営する株式会社の社長です。5年後に引退しようと考えています。息子と娘がいますが、長年店を手伝ってきた娘に事業を継がせたいです。どのようなことに気を付ければ良いでしょうか?

▼A 引退までの5年間を、娘さんを後継者として育て、経営者としての適性を見極める期間と考えるとよいでしょう。取締役になってもらい、経営面の経験を積んでもらってはどうでしょうか。娘さんとよく話してみてください。また、娘さんが取締役になることについて、息子さんや、他の従業員の受け止め方にも配慮する必要があります。

注意が必要なのは、株式の相続の問題です。経営を引き継いだ後、あなたが株式を持ち続ける場合、何もしなければ、息子さんと娘さんが半分ずつ相続することになり、娘さんが自由に経営できなくなる可能性もあります。生前贈与や遺言などを活用して、娘さんが単独で株式を相続できるようにする必要があります。もちろん、株式を相続できなかった息子さんへの配慮も必要です。

見落としがちなのが、あなたから会社への貸付金です。返済までの猶予を定めておく、株式に転換しておくなどの対応が必要です。

7月20日は中小企業の日。福岡県弁護士会では同18日午後4時、福岡市・天神の福岡信用金庫本店でシンポジウム「挑戦を止めない経営者たちへ」を開催します。無料法律相談も実施します。詳しくは福岡県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 6月19日分掲載(久富達也)

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