「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2025年2月20日

弁護士は容疑者の味方?

▼Q なぜ弁護士は容疑者の味方をするのですか?

▼A テレビなどのニュースでは、逮捕された人を「容疑者」、起訴されて刑事裁判を受けている人を「被告」と呼んでいます。法的には、犯人と疑われている人のうち、起訴される前の人を「被疑者」、起訴された人を「被告人」と言います。

被疑者も被告人も、罪を犯したと疑われているだけです。本当はやっていない「冤罪(えんざい)」の場合もあります。冤罪を防ぐには、被疑者や被告人の言い分をきちんと聞かないといけません。そのためには、専門的な法律の知識のある弁護士が必要です。本当は犯人でない人が間違って有罪と判断されないようにすることも、弁護士の仕事なのです。

被告人が本当に罪を犯したのか、最終的な判断をするのは裁判官や裁判員です。2023年から、裁判員になることのできる年齢が18歳に引き下げられました。高校生でも裁判員に選ばれ、難しい判断をしなければならないことがあるかもしれません。

判決は被告人にとって重い判断です。しかし、証拠がそろっているとは限りません。法廷では、無罪を訴える弁護人と有罪を主張する検察官が全力で主張立証を行い、真実に近づくと考えられています。

皆さんも、弁護人や検察官になりきって主張立証に挑戦してみませんか。福岡県弁護士会は中高生向けの「ジュニアロースクール」を開催しています。3月25日には「脅迫文を出したのは誰?」とのテーマで模擬裁判を体験してもらいます。参加無料、ウェブ予約可。詳しくは県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 2月20日分掲載(稲吉佑紀)

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