「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2025年1月16日

預金が差し押さえられた!

▼Q 個人ローンの返済滞納を放置していたら、年金受領口座の「差押決定」が届きました。執行官が自宅に来るのでしょうか。

▼A このケースは「債権差押」で、自宅に執行官が来ることは基本的にありません。代表的な差押手続きについて説明します。

【動産差押】 現金、自動車、貴金属などを差し押さえる手続きです。動産がある場所に執行官が出向き、差押手続きを行います。差し押さえられたものは、その後、競売されます。

【不動産差押】 土地や建物を差し押さえる手続きです。法務局の不動産登記簿に差押の登記が記され、競売物件として公開されて競売されます。競売手続き中に不動産の場所に執行官が出向き、物件調査をします(自宅の場合は執行官が訪ねてきます)。差し押さえから競落までには一般的に数カ月かかり、それまで債務者は住み続けることができます。

【債権差押】 預貯金、給料、売掛金などを差し押さえる手続きです。相談のケースでは既に裁判所からの「差押決定」が銀行に届いており、銀行はあなたに預金を払い戻すことができません。債権者は、この預金を銀行から回収することになります。

【債権差押】 預貯金、給料、売掛金などを差し押さえる手続きです。相談のケースでは既に裁判所からの「差押決定」が銀行に届いており、銀行はあなたに預金を払い戻すことができません。債権者は、この預金を銀行から回収することになります。

今回のケースは、強制執行停止の手続きをとることで差し押さえを回避できるかもしれません。年金自体は法律上、差し押さえできないため、年金だけがたまっている口座なども差し押さえできないと解釈されています。強制執行を停止するには急いで裁判所に申し立てる必要があります。弁護士に相談してください。

西日本新聞 1月16日分掲載(角倉潔)

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