「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2025年10月2日

弁護士費用の立て替え払い制度、ひとり親で返済が心配

▼Q 弁護士に頼んで夫と離婚交渉するつもりです。法テラスの弁護士費用の立て替え払い制度を利用しようと思います。しかし養育費を受け取ってもギリギリの生活で返済できるか心配です。

▼A ひとり親の方のそんな不安を解消するため、ひとり親の支援制度が昨年、始まりました。

(1) 回収金から返済する原則の緩和

紛争の相手方から得た金銭は本来、法テラスへの一括返済に充てないといけません。新制度では、ひとり親が未払い養育費を受け取っても、法テラスに一括返済する必要はなく、子どもの生活費に使えるようになりました(返済する必要はあります)。

(2) 養育費に対する弁護士報酬の立て替え

離婚後、相手方から将来的に養育費を受け取る場合、法テラス所定の弁護士報酬が発生します(最長2年分が対象)。この報酬を法テラスが立て替えてくれるようになりました。後日、返済は必要ですが養育費全額を生活に充てることができます。

(3) 返済免除要件の緩和

従来、事件終了後に法テラス利用者が生活困窮を理由に返済免除を申請する際、収入と資産が一定額以下であることや、資力回復が困難なことが必要でした。障害のある人や、傷病で長期療養が必要な人でないと免除を受けるのは難しいのが現状でした。新制度では、義務教育対象年齢の子と同居するひとり親は、申請から半年過ぎても収入・資産が回復していなければ免除が認められるようになりました。

制度は複雑なので必ず法テラスや弁護士にご相談ください。

西日本新聞 10月2日分掲載(溝口史子)

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