「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年6月7日

「パートナーシップ制度」と結婚

▼Q 九州でも複数の市や県で同性カップルのための「パートナーシップ制度」ができたと聞きます。同性の人同士でも結婚できるようになったということでしょうか。

▼A 結論から言うと、そうではありません。パートナーシップ関係の宣誓や届出をしたことを自治体が証明する制度で、これを利用すると、多くの自治体で公営住宅に家族として入居できます。パートナーを死亡保険金の受取人に指定できる保険会社もあります。

しかし、あくまで自治体や企業の任意のサービスとして行われています。自治体独自の制度であって、法律に基づく国の制度ではないので、法的な効果は一切ありません。

結婚は法律に基づく制度で、現在の法律は戸籍上同性の人同士の結婚を認めていません。同性の人同士で結婚できるようになるためには法改正や新たな立法が必要になります。

結婚できないことで、同性カップルは多くの困難に直面しています。例えば、長く異性間の夫婦と同様の生活を送り、家業を一緒に経営していましたが、カップルの片方が亡くなった後、遺族から「ただの友人」として追い出され、財産も家業も全て失ってしまったということがありました。結婚している異性間であれば、遺(のこ)された人は法律上の相続人として財産を引き継げます。

今、戸籍上同性の人同士が結婚できない現在の法律は憲法に違反しているとして、福岡を含む全国5カ所で裁判が起こされています。福岡地方裁判所では明日8日に判決が言い渡される予定です。その結論次第で今回のご質問に対する答えが変わっていくかもしれません。

西日本新聞 6月7日分掲載(石井謙一)

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