「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2013年7月3日

パワハラ、労働相談を利用して

▼Q 上司から名指しで「やる気がないなら会社をやめろ」というメールが来て、同僚にも一斉送信されました。会社にいづらくなって・・・。

▼A それはパワーハラスメント(パワハラ)に当たる可能性があります。似たようなケースの裁判で、上司の行為は名誉毀損(きそん)であるとして、慰謝料の支払いが命じられました。

パワハラに関する相談は急増しています。厚生労働省の定義は「職場内の優位性を背景に、適正範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為」。ただし、実際はどういった言動がパワハラに当たるか、まだ正確に知られていないようです。

職場では業務上、部下などに必要な指導や注意をしなければなりません。とはいえ、その言動が暴力を伴っていたり、業務上の必要性を欠くものであったりすれば、違法な行為として許されません。また、注意をするにしても、同僚の前で怒鳴ったり、人間性を否定する発言をしたりすると、それだけで違法と認定される可能性があります。

こうしたパワハラをはじめとする労働問題は、労使双方に正しい法知識があれば、未然に防いだり、早期に解決したりできます。そこで各県の弁護士会は労働相談に応じています。福岡県弁護士会でも、法律相談センターで労働者対象の無料相談を受け付けています。毎年夏には労働教育講座(福岡県、福岡市、県弁護士会主催)も開催。ご利用ください。

▼労働教育講座 22日=福岡県飯塚市のコミュニティセンター▽26日=福岡市のあいれふ(いずれも午後6時半~8時半)。受講無料。事前に県労働政策課=092(643)3585=に申し込みを。

西日本新聞 7月3日分掲載(鐘ケ江啓司)

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