「ほう!な話」

2011年7月21日

精神科医療の充実こそ

精神上の問題の影響で殺人などの重大事件を起こし、刑事処分を受けないことになった人に対し、裁判所が強制的に精神科病院に入通院させる制度があります。この「医療観察制度」の下では、一般の人が入通院するより手厚い医療を受けられることになっています。

しかし、重大事件を起こしてしまった人と、事件を起こしていない人との間で、病気やその治療において特別の違いはないはずです。それなのに、事件を起こした人だけに手厚い医療を施すということに対し、疑問を投げかける意見もあります。

そもそも医療観察制度の対象となる不幸な事件の多くは、従来の精神科医療の中で治療の中断などをきっかけに起こってしまったものです。一般の医療現場がもっと充実した環境に置かれていれば、防ぐことができた事件もあったかもしれません。

ところが一般の精神科医療においては、国の予算面などで適切な対応が取られておらず、医療や社会復帰のための支援を十分には施すことができていない側面もあります。

医療観察制度の対象となるような不幸な事件を未然に防止するためには、国が十分な予算を投入し、社会的サポートを充実させることによって一般の精神科医療を充実させ、日ごろから手厚い医療を実現することこそが重要ではないでしょうか。

◆天神弁護士センター=092(741)3208(要予約・30分5250円)。

西日本新聞 7月21日分掲載(鐘ケ江聖一)

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