「ほう!な話」

2014年2月26日

賃貸物件で自死 損害賠償も

▼Q 賃貸アパートで1人暮らしの息子が自ら命を絶ちました。部屋を明け渡すと、不動産業者から「自殺されると今までの家賃が取れない。今後10年分の損害300万円を払ってほしい」と請求されました。

▼A 悲しみに追い打ちをかけられるような状況ですが、あなたが連帯保証人であれば残念ながら、裁判例上は一定の責任を負うとされています。

賃借人は契約期間中、物件に対し「善良な管理者の注意義務」を負っています。物件内での自殺は一般的に、その後に借りようとする人に心理的な抵抗感を生じさせる事情で注意義務違反に当たります。通常、連帯保証人も契約上は「賃借人の負う一切の債務」を保証するので、オーナーが被った損害を賠償する義務を負うことになります。

もっとも金額については交渉の余地があります。確かにオーナーには入居者募集にあたって事情を説明する義務があり、自殺直後は貸せなかったり、家賃を下げたりという損害が生じるでしょう。ただ、年月の経過や別の人が住むことで心理的な抵抗感は薄まるもの。裁判例でも、都市部で2~4年程度に限定するものが多いです。ご相談の10年は長すぎると思われます。

福岡県弁護士会では、弁護士と心理専門職が一緒になって、自死遺族の法律相談に無料で応じています。

◆応談は原則、第1水曜午後1~5時、福岡市の天神弁護士センターで。要予約=092(738)0073。

西日本新聞 2月26日分掲載(松井仁)

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