「ほう!な話」

2017年4月26日

GPS捜査は何が問題なのか?

▼Q 警察が捜査対象者の車にGPS(衛星利用測位システム)端末を取り付けた捜査方法が、プライバシーを侵害し違法だと、最高裁判所が判断したと聞きました。GPS捜査の何が問題なのでしょうか。

▼A 被疑者や関係者の利用が予想された車に、警察がGPS端末を取り付けて移動先などを捜査したが、事前に裁判所から、この捜査を認める令状を得ていなかったという事件ですね。裁判ではGPS捜査が、令状が必要な強制捜査なのか、必要ない任意捜査なのかが争われました。

憲法は、基本的人権を保障するため、本人の意思に反して人権を制約する捜査手法(強制捜査)は、裁判官または裁判所の発付する令状がなければできないと定めています(33、35条)。事件でも最高裁は、個人が私的領域に侵入されることのない権利という意味でのプライバシー権が、住居の不可侵を定めた憲法35条により保障されると判断しました。

GPS捜査では、対象者の居場所や移動状況が、捜査機関に逐一把握されます。これは個人のプライバシーを侵害し得るので、強制捜査に当たり、令状なしでやるのは違法、と判断したのです。

なおプライバシー権は憲法で明確に規定されてはいませんが、裁判所はこれまでも、容貌・姿態をむやみに撮影されない権利や、個人情報が第三者に開示・公表されない権利などが「幸福追求に対する国民の権利」を定めた憲法13条により保障されると判断しています。

西日本新聞 4月26日分掲載(栃木史郎)

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