「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2014年10月22日

不安がらずに積極的に参加を

▼Q 私が検察審査員の候補者に選ばれたとの郵便が届きました。検察審査員が何をするのかよく分かりません。守秘義務があるとも聞き、不安です。

▼A 検察官の不起訴処分(事件を裁判にかけなかったこと)の当否を審査する組織が検察審査会。不起訴の判断は正しい(不起訴相当)▽再検討すべき(不起訴不当)▽すぐに起訴すべきだ(起訴相当)-の三つから決定を下します。その判断をする人が検察審査員です。検察審査員の候補者は、選挙人名簿から抽せんで選ばれます。今回あなたは、この候補者に選ばれたということになります。今後さらに候補者の中から11人の審査員が抽せんで選ばれます。審査会の会議は非公開。検察審査員には守秘義務という秘密を守る義務が課されており、秘密の漏洩(ろうえい)には、懲役や罰金といった罰則もあります。

守秘義務が課される「秘密」には、評議の経過や審査員の意見といった「評議の秘密」と、捜査や関係者の情報といった「職務上知り得た秘密」があります。審議の発言内容などが公開されるとなると、審査員は思っていることを言いにくくなるかもしれませんし、関係者のプライバシーも大切ですから、これらの秘密は守ることとされています。

一方で、「秘密」にはあたらないこと、例えば、審査員を務めた感想などは話しても問題ありません。あまり不安がらずに、審査員に選ばれた場合は、ぜひ積極的に審査に参加してみてください。

西日本新聞 10月22日分掲載(渡部 有紀)

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