「ほう!な話」

2013年8月3日

「ほう!な話」スペシャル版-離婚をめぐる法知識

■新訳男女■

昨年、離婚した夫婦は23万5394組に上った(人口動態統計)。家庭裁判所での調停が増えるなど「もめる」ケースも目立っている。そこで生活面の「『ほう!』な話」を担当する福岡県弁護士会に所属する4人に、円滑に次のステップに進むための法知識を解説してもらった。

●財産分与 「2分の1」の裁判増

【Q】専業主婦の私は夫の給料を無駄遣いせず、夫名義で預金していましたが、夫は「全て俺の金だ」と・・・。

【A】離婚の際、民法により財産分与を請求できます。夫婦は婚姻中、互いに協力し合って財産を形成し維持するので、名義にかかわらず、実質的には共有財産と考えられ、離婚時に清算するのが公平だからです。ご質問の預金も財産分与の対象となります。

株券やゴルフ会員権、自宅不動産なども含まれます。退職前でも退職金を対象とした裁判例もあります。一方、相続で得た財産は、夫婦の協力とは無関係なので対象となりません。

分割の割合は、以前は専業主婦の貢献度をあまり高く評価しませんでしたが、現在は原則半々とする「2分の1ルール」を採用する裁判例が増えています。とはいえ、夫婦の事情はさまざま。総合的に考慮して決めていくことになります。

(中村佐和子)

●国際離婚 昨年7月に制度変更

【Q】「日本人配偶者」の資格を持つ外国人です。未成年の子を引き取り引き続き日本に住みたいのですが・・・。

【A】昨年7月9日から在留管理制度が変わり「日本人配偶者等」の資格で滞在する外国人は6カ月以上、配偶者としての活動を継続していない場合、資格取り消しの対象となりました。離婚訴訟中で別居せざるを得ないなど正当な理由がある場合は除きます。

離婚の成立から14日以内に入国管理局へ届け出が必要ですが、それで直ちに取り消されるわけではありません。他の該当資格が認められる場合もあります。質問の方のように、日本人配偶者との間に生まれた子を実際に養育・監護していれば「定住者」としての資格が認められる可能性があります。

福岡県弁護士会は外国人専用の相談窓口を設けています。第2金曜は中国語、第4金曜は中国語と英語で対応します。ご利用ください。

(丸山明子)

●面会交流 子どもの利益を優先

【Q】元夫が子どもに会いたいと言ってきました。どう対応すれば・・・。

【A】離婚後、離れて暮らす親子が会って触れ合う「面会交流」は、親に愛されていることを確認する重要な機会なので、積極的にしたいものです。

基本的に成人するまで続くので、ルールを取り決めましょう。頻度(月1回程度が多い)や宿泊の有無、日時や受け渡し場所の連絡方法など。高価な贈り物で関心を引かない、事前に相談せずに約束事(遊園地に連れて行くなど)をしないことも決めておきます。

取り決めがうまくいかない場合、家庭裁判所に調停を申し立てられます。そこで合意したのに面会交流をさせないと、裁判所が勧告したり、「実施しないごとに○万円を支払う」という命令を出したりすることもあります。

最も重視されるべきは、子どもの利益。十分理解し、子どものための面会交流を心掛けてください。

(森裕美子)

●DV 保護命令、接近禁止も

【Q】夫の暴力に耐えられず、離婚を決意しました。子どもを連れて一時的に友人宅に身を寄せたのですが、夫が捜し回っているようで心配です。

【A】大変な状況で勇気ある決断をされましたね。安全確保の方法として「保護命令」という制度があります。

過去に暴力を振るわれ、今後も振るわれる恐れがある場合、裁判所に申し立てると、つきまといなどをやめさせる接近禁止命令が出されます。子どもに対しても同様にできる場合があります。家からの退去命令、電話などによる嫌がらせ行為の禁止命令などもあります。違反すれば刑罰が科されます。

ただし一時的な措置で、万事解決するわけではありません。離婚を具体的に進めるには、子どもやお金のことなど検討すべきことが少なくありません。福岡県弁護士会は6月から「ドメスティックバイオレンス(DV)無料法律相談」を始めました。

(柏熊志薫)

【解説した弁護士】

中村佐和子さん 森裕美子さん 丸山明子さん 柏熊志薫さん

▼福岡県弁護士会 相談窓口(0570)783552

電話番号は「悩みここに」と覚えてください。最寄りの相談センターを案内します。県外からもつながりますが、県外での対応は各県の弁護士会にお問い合わせください。「ドメスティックバイオレンス(DV)無料法律相談」も同じ電話番号で受け付けています。

西日本新聞 8月3日分掲載

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