「ほう!な話」

2010年9月24日

意見分かれる医療観察制度

精神に障害があること(病気)が原因で正常な判断能力がない状態にある人が、重大な犯罪を犯したらどうなるのか。

このような場合、刑事裁判で刑罰を科すのではなく「むしろきちんと病気を治すことを優先しよう」、そして「本人にとっても社会にとっても、再び不幸な事態が繰り返されないようにしよう」という考えのもと、2003年から始まったのが「医療観察制度」です。

裁判員裁判で審理をする重大事件の中には、まさに正常な判断能力があったか否かが、有罪・無罪を決する大きな分かれ目になるケースも少なくありません。ところが、そもそもどちらの手続きで処分されるかで、罪を犯した人の処遇は随分と違ったものになります。

「精神障害者であれば、病気の治療を優先させるのは良いことだ」「精神科医療の質を向上させるためにも有意義」と考える人もいれば、この法律に異論を唱える専門家もいます。

私たち弁護士の中でも、さまざまに意見が分かれています。

とはいえ、法律がある以上、精神に障害のある人の権利が不当に侵害されることがないよう精いっぱい努力をするのが、弁護士の職責です。

犯罪は「社会の鏡」です。 私たち社会の抱える負の側面が犯罪を生みだすとすれば、やはり社会全体で、あるべき刑事処分、精神科医療のあり方を模索していかなければなりません。

◆天神弁護士センター=092(741)3208。

西日本新聞 9月24日分掲載(宇治野みさゑ)

目次