「ほう!な話」

2014年2月1日

「ほう!な話」スペシャル版

熟年離婚で年金はどうなるのか、もしも認知症になったら・・・。社会の高齢化に伴い、お年寄りが法律問題に巻き込まれるケースが増えています。生活を守る法知識について、水曜生活面で「『ほう!』な話」を担当している福岡県弁護士会に所属する4人に解説してもらいました。

●ついのすみか 入居前に見学、確認を

【Q】施設に住み替えてついのすみかとしたいのですが、契約する上での注意点は?

【A】まず、契約書や重要事項説明書で入退去時にかかる費用を確認しましょう。早期退去の際に入居一時金や敷金の一部が返還されなかったり、高額な原状回復費用を払うことになったりする場合があります。

退去事由の条項も重要です。長く入居するつもりでも、要介護度が上がれば退去するという条項が盛り込まれていてトラブルに発展したケースもあります。介護サービスの内容や医療機関との協力体制についても確認を。夜間の職員の配置状況、防火対策などの安全面も無視できません。

体験入居や見学は有益です。不安な点があれば事業者に確認を。入居後に事前の説明と違うと感じたら、泣き寝入りせず、専門家に相談してください。

(岡部信政)

●熟年離婚 年金分割で財産分与

【Q】熟年離婚をした元配偶者は厚生年金の受給が始まっています。私にも回ってきますか。

【A】離婚時の財産分与の一つに「年金分割」があります。「分割」といっても、元配偶者の年金そのものから分与を受けるわけではなく、厚生年金や共済年金の保険料納付記録(納付額)が分割されるという意味です。これができれば納付記録を移し換え、自分の国民年金に一定額を上乗せできるという制度です。つまり、そもそも自分が国民年金に加入していることや、自身が受給資格のある年齢に達することが必要です。

分割を受けるには、年金事務所へ2人一緒に出向いて手続きをするか、相手の同意があれば分割を受ける旨の公正証書を作成するなどします。同意が得られない場合には家庭裁判所に調停や審判を申立て、分割を求めることになります。

(深堀寿美)

●施設で虐待? 市町村へ相談、通報

【Q】施設にいる認知症の母の顔にあざができていました。母は「覚えていない」。心配です。

【A】介護保険法により、施設入所者に事故が発生した場合、施設はただちに家族に連絡する義務があります。

まずは施設に対し、なぜ連絡がなかったのか、どのような状況であざができたのか、十分に説明を求める必要があります。その際、事故報告書が作成されているはずなのでコピーを要求しましょう。

納得できない、他の入所者にも事故が起きている、虐待が疑われる-といった場合は、すぐに近くの市町村に相談、通報してください。高齢者虐待防止法により、必ず窓口が設置されています。匿名で構いません。受理した市町村は調査や適切な対応を行うことになっています。

施設に損害賠償を請求できる場合もあります。

(柴尾知成)

●後見契約 「ホームロイヤー」も

【Q】独り身です。もしも認知症になったら、施設の入所や葬儀などは誰に頼めばいいですか。

【A】認知症などで判断能力を失った場合、後見人に財産の管理や法律行為の代理を支援してもらうことになります。判断能力がある間に支援を任せたい人と「任意後見契約」を結んでおけば、自身で決めた支援が受けられます。信頼できる人や弁護士に相談し、その弁護士などを任意後見人に指定することもできます。

定期的、継続的に法律相談をしたい方には「ホームロイヤー契約」を結ぶという方法もあります。高齢の方をトータルに支援することを目指したもので、(1)その時々の心配事を解決するための助言(2)契約者の生活環境や心身、財産の状況、人生観などを把握しながら、財産管理、任意後見、死後事務などに関する提言-を行います。

(松村龍彦)

【解説した弁護士】

▼岡部信政さん

▼深堀寿美さん

▼柴尾知成さん

▼松村龍彦さん

●2月14日まで無料応談 福岡県弁護士会

2014年2月1~14日、福岡県内に19ある法律相談センターすべてで、内容を問わず無料で法律相談に応じます。面談で1人1回30分まで。事前に予約が必要です。電話=(0570)783552(なやみここに)=に申し込んでください。

西日本新聞 2月1日分掲載

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