「ほう!な話」

2010年10月8日

医療事故の仲裁組織拡大

医療事故(ミス)をめぐる紛争は専門性が高いため、患者や家族にかかる精神的・経済的負担は小さくありません。 裁判所に医療紛争を集中的に扱う部署が設けられるなど工夫が進み、医療裁判の審理期間は短縮されてきました。 それでも平均25.2カ月(2009年、最高裁調べ)もかかっています。

そこで「医療ADR」が全国に広がっています。「Alternative Dispute Resolution」の略で、医療紛争を裁判外の話し合いで迅速に解決しようという手続きです。 07年に東京で始まり、現在、全国11の弁護士会が実施。九州では福岡県弁護士会が昨年10月に設けました。

その特徴は、医療事故の経験豊富な弁護士が仲裁人になること。 病院の責任の有無のみに終始せず、話し合いを通じた解決を目指すためです。 具体的には患者と医療機関、それぞれに精通した弁護士3人(ケースによっては1人)が仲裁人として双方の当事者から話を聞き、妥当な解決点を探ります。 申し立てや仲裁成立の際の手数料も比較的低額で利用しやすく、平均審理も3回前後と迅速です。

ただし、患者と病院の間で言い分が異なり、責任が強く争われるなど、そもそも話し合いになじまないケースもあります。 申し立てても相手方が受け入れず、手続き自体が開始しないこともあります。 医療ADRになじむ事案か、事前に法律相談をしてみましょう。

◆天神弁護士センター=092(741)3208。

西日本新聞 10月8日分掲載(古賀克重)

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