「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2011年11月17日

精神科入院中にも当番弁護士

精神科病院に入院中の人が「退院したいとき」「病院の処遇を改善させたいとき」に、電話1本で弁護士の無料派遣を要請できる仕組みがあります。福岡県弁護士会が先進的に取り組む「精神保健当番弁護士制度」で全国に広がりつつあります。

ただし、入院の形態や理由は法律上さまざまです。本人の意思に基づいて入院している場合(任意入院)は退院も任意でできるはず。ところが実際は「帰る場所がない」「社会生活に不慣れ」「援助してくれる知人がいない」といった理由で、すぐには退院できない場合があります。親族や身寄りがいても本人より高齢など限界もあります。

退院自体は可能な状態であれば、行政やNPO法人などのサービスを利用して自立できるよう弁護士が調整します。病院の担当ソーシャルワーカーに受け入れ施設を探してもらい、見学に出掛けたり、服薬の自己管理を練習したりする退院準備を援助していきます。

退院して地域で生活する場合には、例えば北九州市は、市立浅野社会復帰センターが退院後半年の間、居住場所探し、買い物の訓練、グループホームでの宿泊体験などを手伝います。

退院して自立した生活を送る「先輩」が入院中の人に経験談を伝え、不安を解消してもらうピアサポーター制度(現在7人が登録)の広報活動にも取り組んでいます。

◆福岡県弁護士会の精神保健当番弁護士=092(741)3208

西日本新聞 11月17日分掲載(吉武みゆき)

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