「ほう!な話」

2016年4月6日

徘徊事故 親族の責任は

▼Q 認知症の母を介護しています。徘徊(はいかい)もあり、仕事との両立は大変ですが、一生懸命頑張っています。認知症の人を巡る事故では介護者である親族の責任が問われることもあると聞きました。どんな場合に責任を負うのでしょうか。

▼A (1)介護者が法的な監督義務者かどうか(2)監督義務を怠ったといえるか-という二つの問題があります。

(1)については「親族だから監督義務者」というわけではありません。介護者と要介護者の状況、両者の関係や接触の頻度などの事情を総合的に考慮して、介護者が法的な監督義務者として責任を問えるかが判断されます。相談者の場合、介護が可能な心身状態で、お母さんを日常的に監督していたと考えられる状況であれば、法的な監督義務者とされるかもしれません。

それでも、監督義務を怠っていなければ介護者は責任を負いません。相談者は仕事の合間を縫って一生懸命介護をしているのですから、監督義務を怠っていないと認められる可能性があります。

先日、認知症の方の妻と長男が責任を問われた事案で、最高裁は両者とも責任を負わないと判断しました。しかし、その理由は裁判官の間でも意見が割れており、とても難しい問題です。

重要なのは、介護を受けている方による不幸な事故を防ぐこと。個人の介護では限界がありますから、地域での見守りを強化するなど、より大きな視野で対策を考えることが大切です。

西日本新聞 4月6日分掲載(西村幸太郎)

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