「ほう!な話」

2012年1月26日

更生の仕組みづくり考えよう

被告人にお金がないため国が費用を負担する国選弁護人をしていると、服役後に帰る場所も所持金もない、頼れる人もいないといった環境下で、窃盗などをして刑務所に戻ることを繰り返す被告人の多さに驚きます。

そのうちに人生の終盤に差し掛かる年齢になる人もいます。警察庁の統計によると、若年層の犯罪は横ばいか減少傾向にある一方、65歳以上の犯罪は増え続けています。知的障がいが疑われるケースに遭遇することも少なくありません。法務省の2008年矯正統計年報では、新規受刑者の23.1%にその可能性があると指摘されています。

これらの現実は、親族や福祉の支援にたどり着けず、社会で孤立するがゆえに犯罪を起こしてしまう人たちが存在することを意味します。犯罪を繰り返す悪循環を絶たなければ新たな被害者を生み出し、高齢者や障がい者に対する偏見や差別が生じる危険性さえあります。

こうした人たちが出所後直ちに必要な福祉サービスを受けられるよう、国は地域生活定着支援センターの整備を始めています。福岡県弁護士会も11年から本格的に取り組み始めました。

裁判員裁判において保護観察を付ける判決が目立つなど、裁判員が被告人の社会復帰後の問題にも強い関心を持っていることを実感します。犯罪を抜本的に減らすには何が必要か。真の更生に必要な仕組みづくりを考えていきましょう。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 1月26日分掲載(佐藤力)

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