「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2015年12月2日

個人番号 提供拒否可能だが

▼Q 来年からマイナンバーの利用が始まります。夫が勤務先から妻である私や子どもたち家族のマイナンバー(個人番号)を教えるように言われたそうです。拒否した場合、何か問題があるでしょうか?

▼A 個人番号は当面、社会保障、税、災害対策-の3分野で利用される予定です。会社と従業員、その家族との間で関係するのは社会保障と税。家族が個人番号を事業者に提供する必要がある場面は、所得税の年末調整で扶養家族の扶養控除をするときや国民年金の第3号被保険者の届け出をするときです。

制度自体、国民の間で賛否両論があります。従業員やその家族の中には個人番号を教えたくないという人もいるでしょう。関係省庁のホームページによると、事業者が決められた書類に個人番号を記載することは法令で定められた義務であることを従業員に説明し、個人番号の提供を求める。拒否された場合は書類提出先の機関の指示に従うとなっています。

個人番号の記載がないから書類を受け付けないということはなく、従業員とその家族が個人番号の提供を拒否しても罰則はありません。個人番号の提供を拒否しても特段の不利益はありません。ただ、事業者が従業員に服務規律でその家族を含めた個人番号を提供するよう協力を求めている場合があるかもしれず、確認が必要です。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 12月2日分掲載(葛西俊宏)

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