「ほう!な話」

2012年9月29日

海の法律 「開発優先」の歴史

▼Q 漁業を営んできましたが、最近は貝や魚が採れなくなりました。法律で海を回復させる有効な対策はありますか。

▼A 残念ながら、現行の法制度で直接的な対応は難しいです。そもそも日本の海岸線、干潟や浅瀬などの沿岸域は高度成長期以降、埋め立てや干拓などさまざまな開発がされてきました。結果、沖縄をのぞく本土の自然海岸は5割以下に減り、生物多様性の宝庫である干潟も1945年から78年までに4割が埋め立てなどにより失われました。

わが国の海に関する法律のほとんどは大正時代に制定され、“埋め立て促進法”とも言われる「公有水面埋立法」、港を作るための「港湾法」、防護を目的に構造物を造るための「海岸法」など、開発を促進する法律でした。

九州では有明海のノリの不作を踏まえ、2002年に海を守る特別措置法が成立しました。しかし瀬戸内海の環境保全特別措置法のように、埋め立てに一定の規制をかける内容にはなっていません。

こうした不十分な法制度の下でも、海を回復しようという取り組みが始まっています。三重県志摩市にある英虞(あご)湾。真珠養殖が盛んだったこの湾では、既に完成した農地などを干潟に戻す取り組みが始まっているのです。

海をめぐる法律にはまだまだ不備があり、法制度の整備が必要です。この問題を取り上げる日弁連のシンポジウム「豊かな海をとり戻すために」が10月4日午後0時半から、佐賀市文化会館で開かれます(無料、参加自由)。ぜひご参加ください。

西日本新聞 9月29日分掲載(吉野隆二郎)

※このイベントは終了しました

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