「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年6月1日

一般家庭も電力小売り自由化

▼Q 最近、いろいろな会社の電気販売の広告を見かけます。値段も大事ですが、子どもたちの未来のために環境にやさしい発電をしている事業者の電気を買いたいと思います。個人の自宅でも可能でしょうか。

▼A 電気事業法が改正され、4月から家庭向けの電力小売りが自由化されました。これまで九州の個人宅では九州電力(一般電気事業者)からしか電気を買えなかったのですが、4月から全ての電気小売り事業者から自由に電気を買えるようになりました。

ですから、一般家庭も全国の事業者の中から購入先を自由に選べます(販売地域に制限がある事業者もあります)。事業者は既に全国140社以上に及んでいます。

環境にやさしいかどうかは、子どもたちに安全な未来を残すため大切な視点です。例えば、発電の電源構成や二酸化炭素(CO2)排出係数をホームページでチェックしてはどうでしょう。電源構成は発電方法ごとの割合を示し、CO2排出係数は一定の電力を作るためにどのくらいCO2が排出されているかを示す数値。CO2排出量は地球温暖化などに結びつきますから、少ない方が望ましいですね。ほかにも、再生可能エネルギー利用率なども参考になるはずです。

電力会社を変更しても、電気事業法によって電気の品質は確保されています。小売り事業者には供給力確保義務、送配電事業者には周波数維持義務や最終保障サービスの提供義務などがあります。

西日本新聞 6月1日分掲載(緒方剛)

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