「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2017年3月22日

「裸の写真ばらまく」 脅しにどう対処

▼Q 17歳の高校生の娘が交際相手に「別れたい」と告げたところ、会員制交流サイト(SNS)を通じて「別れるなら裸の写真をネット上にばらまく」というメッセージが相手から執拗(しつよう)に送られてくるようになりました。娘は以前、断り切れずに画像を送っていたようで「怖くて別れられない」と言います。どうしたらよいでしょうか?

▼A 改正ストーカー規制法が1月に施行され、ネット上での付きまといが新たに規制対象になりました。また、裸の写真を公表すると脅せば刑法の脅迫罪になりますし、実際に画像を公表した場合は名誉毀損(きそん)罪、わいせつ物頒布罪などに該当します。リベンジポルノ防止法や、18歳未満の画像の場合は児童買春・児童ポルノ禁止法での処罰も考えられますので、まずは警察に相談しましょう。送られてきたメッセージや通信履歴は証拠として保存しておきましょう。

一度画像が拡散されてしまうと、ネット上から完全に消し去るのはほぼ不可能です。公表されると困る写真は「撮らない、載せない」を徹底することが最も重要です。もし公表されてしまったら、検索サイトやSNSのサイトに削除を依頼することを考えましょう。ネット上の違法情報を削除要請する民間団体インターネット・ホットラインセンター(IHC)や法務局などでも削除措置をしてくれる場合があります。弁護士を通じて相手に画像を削除するよう交渉したり、民事上の損害賠償を請求したりする方法も考えられます。

西日本新聞 3月22日分掲載(中島みさき)

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