「ほう!な話」

2012年10月27日

「働く」トラブルどう解決

解雇、雇い止め、賃金未払い、ハラスメント(嫌がらせ)・・・。働くことをめぐるトラブルが増える一方、労働者が弱い立場に置かれていることもあり、解決に至らないケースも目立つ。生活面「『ほう!』な話」を担当する福岡県弁護士会に所属する4人に、対処法などを解説してもらった。

●突然の解雇 まず理由を把握して

【Q】上司に「今月いっぱいで解雇」と言われました。受け入れるしかないのでしょうか?

【A】勤務成績不良、非違行為(労働者の落ち度)、病気など、解雇の理由はさまざまです。しかし、労働契約法16条により、解雇の理由が客観的に合理的であって、社会通念から見て相当といえなければ解雇はできません。1カ月前に予告するか、賃金の1カ月分を支払うかしさえすれば自由に解雇できるというものではありません。

懲戒解雇であれば、より難しくなります。整理解雇(リストラ)も経営上の必要性があるというだけでは足りず「解雇を避ける努力を尽くした」といった要件を満たす必要があります。

解雇を言い渡されたら、まずは理由を把握することです。会社に理由を記載した書類の交付を求めましょう。使用者には解雇理由を書面で明示する義務があります。

(福留英資)

●残業代請求 メール履歴も証拠に

【Q】残業代をもらえません。会社にタイムカードがなくても請求できる?

【A】労働基準法で、使用者は1日8時間か、週40時間を超える労働の対価として割増賃金を支払う義務があります。ただ最近はタイムカードのない事業所が多く、証明に苦労します。

でも大丈夫。業務パソコンのログオン・オフ、メール、ファイル更新などの時刻は立派な客観的証拠になります。できるだけ手元に残すよう努めてください。退職後でも一定の要件を満たせば、弁護士が裁判官と一緒に会社に乗り込み証拠を保全する手続きを取ることもできます。ETC(自動料金収受システム)の履歴、出退勤時刻をメモした手帳も証拠になりえます。

なお、残業代を基本給に含めたり、毎月定額の手当しか支払わなかったりする制度は無効となる余地があるので、やはり諦めずご相談ください。

(光永享央)

●セクハラ 雇用主に対処の義務

【Q】上司から執拗にデートに誘われ、先日は抱きつかれました。逆恨みが怖くて誰にも相談できず、出社するのもつらくて・・・。

【A】それはセクハラに該当します。男女雇用機会均等法により、雇用主には防止の措置を講じ、セクハラがあった場合は適切に対処する義務があります。まずは会社に被害の実情を申告し、上司の配置転換や懲戒処分を含めた対処を求めましょう。会社に損害賠償も請求できます。

雇用主には被害者が孤立したり、不利益を受けたりしないよう配慮する義務があり、逆恨みによる嫌がらせを受けないよう対処するはずです。義務を果たさないときは、雇用契約上の義務違反を理由に損害賠償責任の追及も可能です。出社できなくても、その旨を明示して交渉できます。声を上げることでハラスメントのない職場を実現しましょう。

(相原わかば)

●労働局への相談 年25万件、未解決多く

【Q】相談したいのですが、どれくらいが解決に至っているのですか。

【A】昨年、全国の労働局に寄せられた相談は約2万件。そのうち労働局があっせん手続きをしたのは約6500件、裁判所が取り扱ったのは1万件に満たない状況です。

行政機関による解決方法には(1)労働基準監督署による指導など(2)労働局のあっせん(3)各都道府県にある労働者支援事務所のあっせん-があります。ただ、いずれも話し合いなので、折り合いがつかなければ裁判所の労働審判手続きや訴訟によらざるを得ません。

弁護士もお手伝いできます。ただ、ハードルとなるのが相談料。相談したくても解雇されたり、賃金未払いだったりと経済的に厳しい状況に置かれています。そこで福岡県弁護士会は1日から、労働者からの相談を無料にしました。ぜひご利用ください。

(井下顕)

<解説した弁護士>

▼光永享央さん

▼福留英資さん

▼井下 顕さん

▼相原わかばさん

●福岡県弁護士会 相談窓口(0570)783552

電話番号は「悩みここに」と覚えてください。労働者からの相談もこちらへ(無料)。最寄りの相談センターを案内します。佐賀県弁護士会も労働問題に関する相談を無料で受け付けています。その他、相談や問い合わせは各県の弁護士会へ。

西日本新聞 10月27日分掲載

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