会長日記
2023年12月1日
会長 大神 昌憲(48期)
みなさま、こんにちは。
◆来たれ!リーガル女子 in福岡 2023
10月29日、鹿児島大学・司法政策教育研究センター等の共催を得て、当会・会館において、標記のイベントが開催されました。
このイベントは3部構成になっており、第1部(会場・オンライン)は弁護士による対談「弁護士になってよかった!」、第2部(会場・オンライン)は「法曹になるための進路説明会」、第3部は「グループセッション」(中高生50名限定。性別を問わない。)(少人数のグループに分かれて、女性の弁護士・裁判官・検察官から、直接、仕事内容や受験の話、普段の生活などについても気軽に話を聞くことができるもの。)及び「質問コーナー」(グループセッションに参加しない保護者・教員からの様々な質問に対し、弁護士や法学部・法科大学院の教員がお答えするもの。)という非常に充実した内容でした。
そのためか、ZOOM参加を含め、多数の中高校生、大学生、保護者及び教員の皆さまの参加を得ることができ、盛会だったと思います。
このイベントの企画の趣旨は、端的にいえば、(特に女性)弁護士を目指す中高校生、大学生を増加させることにあります。
2023年10月1日現在の数字ですが、日本では4万4800人が弁護士登録をしています。そのうち、女性弁護士は8906名であり、弁護士全体に占める割合は19.9%に過ぎません。当会の会員数は1450名で女性会員が259名ですので17.9%、鹿児島県弁護士会の会員数は226名で女性会員が30名ですので13.3%、宮崎県弁護士会では会員数は144名で女性会員は14名ですので9.%に過ぎず、九州・沖縄各県の弁護士会の女性会員の割合はすべての弁護士会において全国平均を下回っています。
本来、女性会員の割合をイギリスのように50%前後にしたいと述べたいところですが、アメリカでも35%程度ですので、日本では当面の目標を30%にしています。
法科大学院における女子学生の比率は30%を超えていますので、いずれこの目標は達成できるものと確信していますが、標記イベントの開催のような地道な努力を今後も続けていくことが弁護士会にとって重要であると思います。特に第3部の「グループセッション」及び「質問コーナー」は、当会の各部会においても、また、九州・沖縄各県の弁護士会においても実施する方向で検討すべきように思います。
標記イベントの開催に尽力くださった男女共同参画推進本部の委員の方々には心より感謝を申し上げます
◆第16回福岡-釜山フォーラム 福岡会議 2023
11月11日、九州大学伊都キャンパス内において、「第16回福岡-釜山フォーラム 福岡会議 2023」が開催されました。
福岡-釜山フォーラムは、2006年(平成18年)に、福岡市と釜山広域市の民間レベルでの交流を軸に行政に対する提言機関として発足したもので、両市の企業やマスコミ、大学、弁護士会(当会及び釜山地方弁護士会)などのトップ合計31名で構成され、年1回、両市を交互に行き来して開催されています。福岡市での開催は、コロナ禍を経て6年ぶりとなりました。
今年の全体テーマは「日韓海峡圏時代を拓く基盤構築の促進」というものであり、まずは、日本政府観光局(JNTO)理事長である蒲生篤実氏より、「インバウンドの最新動向と持続可能な観光に向けたJNTOの取り組み」と題する基調講演が行われました。 次に、「若者交流で紡ぐ未来パートナーシップの共創~点から線、線から面の交流へ~」というテーマで第1セッションが行われ、その後、昼食休憩を挟み、「福岡釜山間経済・民間交流活性化のための基盤構築」というテーマで第2セッションが実施されました。 私も、第2セッションにおける福岡側指定論者として、弁護士による中小企業支援、創業(スタートアップ)支援、創業準備段階からも法令遵守の取組みを重視すべきであること(SDGsという観点及び企業活動においても人権という観点が重要視される時代となっていること)などを発表させていただきました。
最後に、議長総括が取りまとめられましたが、その内容は、
「(1) 本フォーラムは、昨今の日韓間の観光客往来増加を歓迎し、両都市においても持続可能な観光(Sustainable Tourism)の開発などを推進することで意見が一致した。
(2) 本フォーラムは、西日本シティ銀行及び釜山銀行の「意欲的な取り組み」を高く評価する。両銀行がシナジー効果を上げながら、地方創生、経済と環境の好循環などの創出を目指すことで、意見の一致を見た。
(3) 本フォーラムは、両都市に所在する大学生が相手地域の企業などでインターンシップを実践する方策を、産官学民で検討する価値が十分にあることを認識した。まず、釜山側の提言により、福岡所在の大学生を釜山に招聘し、韓国人学生との交流、講義体験、および企業訪問と見学の機会を設けることとする。」
といったものになりました。 今年度からは、当会・国際委員会の若手委員にも福岡-釜山フォーラム福岡会議に参加(傍聴)していただきましたが、当会からの参加者を如何に増加させるかが課題であると感じました。
◆再審法改正に関する活動
(1) 11月16日に当会と福岡報道責任者会議(在福の新聞社やテレビ局の編集局長等の会議体)との懇談会を当会・会館において実施しましたが、再審法改正をテーマにし、刑事弁護等委員会の委員から再審法改正の必要性を詳細に説明していただきました。福岡報道責任者会議のメンバーからも多くの質問等が寄せられましたので、報道機関とのこのような機会をより多く設けるべきだと思いました。
(2) また、11月25日には、当会・会館において、 日弁連再審法改正全国キャラバン「今こそ再審法改正を!~大崎事件からみる我が国の再審制度の問題点~」が開催されました。
このシンポジウムにおいては、まず、一橋大学法学部准教授でもある高平奇恵弁護士(第二東京弁護士会・マルヨ無線事件再審弁護団)より「えん罪と向き合う~再審制度とは~」と題する基調報告を、次に、鴨志田祐美弁護士(日弁連再審法改正実現本部本部長代行・京都弁護士会・大崎事件再審弁護団事務局長)より「大崎事件にみる再審制度の問題点」と題する基調講演を頂戴いたしました。その後、高平奇恵弁護士、鴨志田祐美弁護士に加え、当会の会員である岩田務弁護士(飯塚事件再審請求審主任弁護人)、同・花田浩昭弁護士(刑事弁護等委員会委員長・マルヨ無線事件再審弁護団事務局長)をパネリストとするパネルディスカッションを行いました。
このシンポジウムにより、現行再審手続(再審請求手続と再審公判の二つの手続)の問題点がわかりやすく明確になったと思います。 (3) さらに、当会執行部は、11月下旬から12月上旬にかけて、福岡県選出の国会議員31名に対し、再審法改正についての賛同要請活動(手紙と小冊子の郵送並びに電話架け)を行いました。
再審法改正は我が国にとって極めて重要な人権課題の一つです。粘り強い活動を会員の皆さまのご理解とご協力のもと進めてまいります。
(来たれ、リーガル女子!のポスター)
(福岡-釜山フォーラム 記念写真)