会長日記
2018年3月1日
会長 作間 功(40期)
◇「この光景も全て今が最後」
頬を突き刺すような寒い日々が続く中、裁判所の裏門から階段をのぼると、裁判所の敷地内の樹木の下で鳩が地面で食べ物をついばんでいるのか、がさがさと音をたてている。裁判所の警備さんに「寒いですね。ご苦労様と」声をかけ、会館に急ぐ。新会館移転まで1年を切っているので、「これからは、この今までありふれた光景が全て最後」。そう思うと、いささか感傷的になる。
◇「政策要綱」
東京弁護士会のある派閥の2018年度の政策要綱が弁護士会に郵送されて来た。390頁。2016年度は「平和主義と人権を守る司法~市民に身近な法律支援」、2017年度は「頼りがいのある司法を目指して~信頼される弁護士会・弁護士であるために」であった。2018年度は「揺るぎない司法の確立へ~弁護士自治の真価が問われる時代」。1月に大丸別荘で実施された当会と東京弁護士会との交流会の際に、東京弁護士会の会長に「さすが、東京弁護士会は凄いですね。あんな分厚い政策要綱を毎年出されるのですから」と言うと、「私に言わせると、ちょっと違う所がちょこちょこある」。今年度の会長は、所属派閥が違っていた次第。失礼!
◇「弁護士白書」
2017年版弁護士白書が弁護士会に来た。ページをめくるとなかなか興味深い。
冒頭の今年の特集は、第1が、「弁護士の業務におけるITの活用に関する現状と課題」。いかにも時代にマッチングしたテーマ。しかし読み進むと、内容は、弁護士に対するアンケート結果の報告が主体で、いまひとつ。少々がっかり。
次は、「第2の特集 健全な労使関係の形成と弁護士の役割」。データとして労働審判事件の新受件数が紹介され、2012年が3719件であったものが、2016年は3414件で、「制度施行から2009年まで増加し、2010年以後ほぼ横ばい」とのこと。そう。通常事件数も過払い金以前の水準に戻っているし、事件数は、増えていない。会員数が増えている分、やはり一人ひとりの弁護士の持ち事件数は減っているということ。
さらに、労働審判のデータは続く。「代理人選任状況は、2013年から2017年5月までの分で、双方に弁護士がついていた件数が1万1834件(76.3%)、申立人のみ弁護士ありが1544件(9.9%)、相手方のみに弁護士ありが1513件(9.7%)で、双方に弁護士ありの調停成立率が75.4%で高率である」旨の記載。たしかに、双方弁護士なしの場合の調停成立率は40.4%で、35ポイントも違う。労働審判は双方に弁護士がつくに限る。
2017年4月には、長野地裁松本支部、静岡地裁浜松支部、広島地裁福山支部でも労働審判が開始された。支部での司法の充実は喜ばしい。
さらに、白書をめくると、弁護士に関するデータ集。
先日、弁護士数が全国で4万人を超えたと報じられていたが、白書では、2017年3月31日時点の数字3万8980人とされている。2010年が2万8789人であるから、同年より約1万人増えた勘定だ。
隣接士業のデータも掲載されている。弁理士は、2010年8148人→2017年1万1057人、税理士7万1606人→7万6493人、司法書士1万9766人→2万2283人、行政書士4万0475人→4万6205人、公認会計士2万0038人→2万9369人、社会保険労務士3万4732人→4万0535人、土地家屋調査士1万7617人→1万6761人。土地家屋調査士を除き、どこも増員だ。士業多難の時代である。
刑事についても資料がある。当番弁護士の実施が、我が会は1990年12月からで、大分県の同年9月に次ぐのは当然であるが、「あれれ」。奈良県での開始時期が「1990年11月1日」とある。我が会よりもひと月早いではないか。どういうこと?ミスプリ?あとで、刑弁委員会委員長に訊かねばなるまい。次は委員会派遣制度の実施時期。これは90年12月から当会で始まっており、全国でも圧倒的に早い。2番目は埼玉弁護士会の92年1月。
◇「会務引継書」
次年度執行部への会務引継書を作成する時期。日弁連会長も選出され、「法曹三者ともトップは道産子に」との報。いよいよ年度末。