会長日記

2019年10月1日

会長 山口 雅司(43期)

皆さん、こんにちは。

今年4月に今年度の執行部が活動を開始して約半年が経ちました。弁護士会の執行部は、任期1年の短期政権ですから、折り返し地点で振り返りをしたいと思います。

◆新会館と広報

本年2月18日から業務を開始した六本松の新しい弁護士会館は、外観や内装が好評であるだけでなく使い勝手も良く、運用も円滑であるように思います。

また、新会館は、裁判所の目の前にあって人目につきやすく、建物の人員収容能力が格段に向上したことで、市民の皆さまにもオープンな企画が数多く開催できるようになりました。

ホームページ、ラジオ番組への出演、弁護士会でのイベント企画、自治体との連携と情報の伝達、新聞等への情報提供なども継続的に実行されており、当会の公益的な活動を知ってもらい、役立てていただければと思います。

◆IT化への対応

福岡県を含む全国の高等裁判所所在地の地裁本庁において、来年(2020年)2月から、裁判手続等のIT化に向けた取り組みとして、ウェブ会議等を利用した争点整理等の試行が開始されます。その後は順次、関係者が出席しなくてもよい口頭弁論期日や、オンラインでの申立等が実現される見通しです。

このようなIT化は便利である反面、裁判所のあり方を大きく変える契機ともなりますので、司法が持つ機能が縮小しないように、また、効率化を進めるあまり裁判手続の形式化が進んだり、国民の裁判を受ける権利に障害が生じたりしないように注意をしなければなりません。当会も強く関与すべき、今後の重要課題であると認識しています。

◆弁護士会としての意見表明

LGBT(性的少数者の問題)に関しては、本年5月29日の総会で全国に先駆けて決議を行いました。

刑事弁護については、取り調べの弁護士立会の問題や、人質司法といわれる身柄拘束の問題を議論しています。再審制度については、刑事訴訟法の規定の不備の是正が必要です。少年法適用年齢の引き下げについては、来年の国会が山場です。

また、憲法改正問題、死刑制度存廃など、難しく大きなテーマについては、会内にも様々な意見があることは承知していますが、法律家集団として何らかの意見を表明することは我々の責務だと思います。

◆外国人・渉外問題

観光、就学、就労など、外国人の受け入れや法的支援の在り方など外国人に関する問題は裾野を拡げていくものと思われます。また、企業の渉外活動の拡大という観点からも、外国に関する相談体制や通訳者の数と質の向上が必要となります。

福岡に所在する領事館と連携して、実務的な対応態勢の充実ができないかと思っています。

◆過疎地対策

弁護士数の増加にともない、過疎地対策は進展しましたが、九州においては壱岐や対馬のように、離島という環境ゆえに弁護士の定着が難しい地域があります。

これらの地域への弁護士の派遣は、九州弁護士会連合会が運営する「あさかぜ基金法律事務所」が担ってきましたが、これまで通りの運営は困難になってきており、支援のあり方を早急に決めなければなりません。

これからの半年も、引き続き活発な活動をしてまいりたいと思います。

福岡県弁護士会 会長日記 2019年10月1日