会長日記

2020年11月1日

会長 多川 一成(45期)

皆さま、こんにちは。

◆臨時総会を開催しました

福岡県弁護士会では、例年5月下旬に開催される定期総会で宣言案や決議案を審議し、採択した宣言や決議を対外的に表明するのが慣例になっていました。
しかし本年は、5月28日に開催した定期総会では、新型コロナウイルス感染防止のため、弁護士会の予算決算の審議だけにとどめ、決議等の審議ができませんでした。そこで、感染状況が少し治まってきた9月18日に臨時総会を開催し、3つの決議案の審議を行い、採択して対外的な表明を行いました。

臨時総会では、(1)死刑制度の廃止を求める決議、(2)刑事身体拘束手続に関する法改正と運用改善を求める決議、(3)精神保健福祉法の退院請求等手続への国選代理人制度の導入と、日本の精神科医療の脱施設化と地域移行の早期実現を求める決議の3つの決議を採択し、表明しました。

このうち、(2)の「刑事身体拘束手続に関する法改正と運用改善を求める決議」は、「人質司法」と言われる日本の刑事身体拘束を巡る問題を改革するために、刑事訴訟法等の法改正や、勾留質問の実質化・弁護人の立会などの運用改善を求めるものです。

また、(3)の決議は、精神保健福祉法の退院請求等手続に国選代理人制度の導入を求めるとともに、精神科医療における脱施設化と地域移行を早期に実現する具体的政策の立案・実施を求めるものです。

(2)(3)いずれの決議も、日本の立ち遅れた法制度等により人権侵害の脅威にさらされている分野に警鐘を鳴らす重要な意義を持つものです。

◆死刑制度廃止決議の採択

さて、(1)の死刑制度の廃止を求める決議は、生命権の不可侵性や誤判冤罪の危険、国際人権法等を理由として、政府及び国会に対し、①死刑制度を廃止すること、②死刑の代替刑として終身刑を導入すること、③死刑制度の廃止が実現するまでの間、死刑の執行を停止することを求めるものです。

死刑制度廃止の理由の一つとして、死刑制度が生命権という普遍的、根源的権利に関わる以上、国際化した現代ではその価値基準は普遍的であるべきであり、一国独自の人権解釈に依拠させるのではなく、国連で定立した国際基準に従うべきだと述べている点に、当会の決議案の特徴があります。

決議案の審議は、約2時間にわたり、様々な観点から質疑応答が行われ、その上で賛成、反対それぞれの立場の会員から意見が交わされました。

採決の結果、賛成多数で死刑制度廃止決議は可決承認されましたが、こうした刑事司法上の本質的な問題について、それぞれの立場から実務的な裏付けのある貴重な意見が交わされ、充実した議論ができたことは、弁護士会にとっても大変有意義なことだと思いました。

◆犯罪被害者遺族への支援を充実させる

一方で、死刑相当犯罪などの凶悪犯罪による被害者遺族の受けた被害は、まさしく不条理であり、被害感情が深刻であることは言うまでもありません。また、被害者遺族の被害感情には、喪失感・虚無感など刑罰では応えることができない感情も生じてきます。

私たち弁護士は、こうした被害者の無念や被害者遺族が受ける不条理な被害に真摯に向き合い、寄り添う必要があります。それとともに、被害者遺族への精神的、社会的支援、さらに経済的支援を行うことが必要です。こうした支援を充実させる制度設計を速やかに実現させるために、具体的な取り組みを進めていかなければならないと改めて認識しました。

福岡県弁護士会 会長日記 2020年11月1日

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