会長日記
2021年8月1日
会長 伊藤 巧示(45期)
皆さま、こんにちは。連日の猛暑の上、新型コロナウイルス感染症の感染がまたも増大しております。どうぞ安全にお過ごしください。
◆「会長」と挨拶
会長就任前のことですが,会長経験者の方々から,「会長になったら挨拶する機会が多いよ。」と言われました。会長は弁護士会の代表ですから,いろいろな協議会や式典,弁護士会主催のイベントがあれば,開会の挨拶をするのは当たり前ですから,それはそうだろうと思いました。
実際,私も弁護士になって以来,歴代の会長が挨拶するのを何度も見てきましたが,そのときは他人事として聞いていただけなので,自分が挨拶することになるなどとは想像もしていませんでしたし,多いといっても大したことはなかろうと高をくくっていました。
また,挨拶などは持って生まれた才能の一つだと思っていた私は,挨拶に対して全く無防備でした。
会長経験者の方々のお言葉も,「挨拶する機会が多い。」だけでなく,「だからきちんと準備しておけよ。」という意味であったことに気づいたのは就任後のことです。
◆挨拶が苦手です
もともと私は人前で挨拶やスピーチをするのが苦手です。
本当は「苦手でした。」と書きたいのですが,就任して4か月たった今もまだ「苦手です。」としか書けません。どなたかにコツをこっそり教えてほしいくらいです。
「弁護士会の会長たるものスピーチくらいできんでどうする!」と言われそうですが,仕方ありません。思えば,司法修習直前に先輩から「修習生になったら自己紹介ばっかりしなければならない」と言われたことがありましたが,実際そのとおりでしたし,挨拶が苦手な私はとても嫌だったことを思い出します。他方で,原稿も見ないで素晴らしい挨拶やスピーチする弁護士の先輩方を見るたびに,とてもうらやましいと思っていました。
そこで,会長に就任する前に,話し方入門的な本を読めば何とかなるだろうと思って,何冊か買ってみました。しかし,中には,この本を読めばたちどころにスピーチが上手になるなどという宣伝文句の本もあり,また,大体どの本も,事前の準備が大事だとか,何回も練習せよだとか,場数を踏むしかないだとか,話の中で使えるネタ帳を日ごろから作っておくべしだとか,いろいろ書いてありましたが,すぐには役に立たないものばかりだったので,何もしないで就任時期を迎えたのです。
◆4か月で20回以上の挨拶
挨拶する機会が多いだろうということは何となくわかってはいましたが,執行部発足準備で挨拶どころではない忙しさだったので,挨拶のことはすっかり忘れていました。
ところが,就任早々に就任記者会見の挨拶と九州大学法科大学院入学式の祝辞を述べなければならないこと,4月だけでもいろいろな研修会や修習開始式の開会挨拶を立て続けにしなければならないことがわかりました。
その後も,十分な期間をおいて準備できるものから,突然挨拶があると知らされるものまで,このわずか4か月でも,弁護修習開始式の講話,遺言と相続のセミナー,家族信託の研修やそのほかの登録研修,プレシンポ,合同就職説明会,新入会員歓迎会の開会あいさつなど,いろいろな機会に合計20回くらい挨拶をしています。
今はまだ,手元に原稿なしには挨拶できませんし,とても挨拶するのに慣れたとはいえませんが,まだまだ今後も挨拶をする機会はありますので,場数を踏んで,いつの日か,「私は挨拶が苦手でした。」と過去形で言える日が来ることを目指そうと思っています。