会長日記

2017年11月1日

会長 作間 功(40期)

福岡県弁護士会は、韓国・中国の弁護士会とも交流をしています。今回は、そのご紹介をしたいと思います。

1 釜山弁護士会との交流

当会と釜山地方弁護士会との交流が始まったのは、1990年3月。同月3日にまず釜山市において、次いで同月23日には福岡市において、交流提携の調印式が行われました。私も、当時まだ弁護士になって2年目でしたが、福岡で行われた調印式に参加しました。以来27年にわたり、両会は、当初は双方毎年、その後は相互に訪問を重ね、交流を続けてきました。

今でこそ日本の弁護士会が外国の弁護士会と交流提携を結び交流を深めていることは珍しいことではありませんが、当時としては、稀有なものでした。加えて、当時韓国はまだ軍事政権下。韓国側から申し入れがあったのですが、会内合意を得るのは難しいと思われました。しかし、近江会長(当時)が英断を下し、約5カ月の準備期間で姉妹締結に至ったのでした。

両会は、これまで、法律扶助制度、当番弁護士制度、法曹養成問題、司法改革、陪審制・裁判員制度、消費者問題、新人弁護士に対する研修制度、等々、ときどきに生起する諸問題につき、お互い研究発表を行い、意見交換を重ねました。こうした勉強会は相互に視野を広げ、啓発し合う学びの場となり、これらが実務上有益であったことは勿論ですが、それにとどまらず、海をはさんで友人を得たことが、また同じ法曹として信頼関係を築いたことが、何より尊いものでした。かえすがえす、両会の英明なる諸先輩の見識と努力に、深謝せざるを得ません。

確かに、政治的には、我が国と韓国とは難しい問題を抱えています。特に近年はそうです。そうであるがゆえに、民間である両会が、交流を深め、友情を深めることが極めて意義の深いことだと思います。

来年、韓国ではピョンチャンで冬季オリンピックが、福岡でも、2年後にはラグビーワールドカップの試合が組まれ、また3年後には東京オリンピックが開催される予定です。こうしたイベントでさらに両国の交流が進むのではないかと期待されます。

加えて、つい先日、断絶した日朝関係を修復させるために1607年から1811年までの間、朝鮮国王が日本に派遣した朝鮮通信使が、ユネスコ世界記憶遺産に登録されるという明るいニュースが、飛び込んできました。

この10日、釜山弁護士会の李埰文会長やそのご家族を加え総勢130名が来福され、交流を深める予定です。

迎える当会は、心のこもったおもてなしをすべく、周到な準備を進めているところです。

2 大連市律師協会との交流

中国では、弁護士のことを律師といいます。当会が、中国の大連市にある大連市律師協会との間で、交流合意書を調印したのは、2010年2月、今から7年半前のことです。私も参加しました。

しかし、歴史を紐解きますと、両会の交流は、1992年に当会の弁護士及びその家族が14人で大連を訪問したのが始まりで、1997年には、当会の北九州部会の弁護士が家族を含め22名で訪問しています。

このように、当会は大連市律師協会との間でも、すでに20年以上の歴史があります。私は、正式な交流提携の2年前の2008年2月、次年度副会長予定者として、大連市を訪れました。

そして、今年9月21日から23日にかけて、私は当会会長として、当会会員やその家族総勢20名で大連市律師協会を訪問しました。大連市律師協会からは、楊家君会長をはじめとして、最大級の歓迎を受けました。

3 人権・自由・平等・公正・正義、そして何より平和。人類が長年の歴史の中で築き上げた英知が、今、世界のいたるところで傷ついています。私たち弁護士は、国に違いはありますが、同じ法律家として、そして、これらの価値を愛する者として、またこれら価値を守る者として、今後も協力し合い、末永く友好を深めていかなければならないし、次の世代に引き継いでいく義務があると改めて感じているところです。