会長日記
2019年2月1日
会長 上田 英友(40期)
皆さま、こんにちは。本年度も、あと1か月半を残すだけになりました。最後まで、しっかり走り抜きたいと思います。
さて、今回は、当会の執行部が毎年、他の弁護士会の執行部と行っている交流会について、お話しをしたいと思います。
◆他の弁護士会との交流会の種類
当会は、毎年、弁護士会相互の情報交換・問題点の協議と弁護士会相互の親睦を目的として、以下のとおり、他の弁護士会と交流会を行っております。
- 大阪弁護士会・広島弁護士会との交流会
- 第二東京弁護士会・札幌弁護士会との交流会
- 東京弁護士会との交流会
- 神奈川県弁護士会・愛知県弁護士会・埼玉弁護士会・千葉県弁護士会との交流会
これらの交流会は、各弁護士会の役員が実際の活動において直面する協議議題をテーマにしますので、各協議議題はそれぞれ奥が深く、重要な機会となっています。今回は、上記のうち、昨年12月に開催された第二東京弁護士会・札幌弁護士会との交流会と東京弁護士会との交流会についてご報告いたします。
◆第二東京弁護士会・札幌弁護士会との三会交流会:12月1日(土)
この三会交流会は、開催会を札幌と福岡で交互に分担しており、本年度は、福岡開催の順番でした。
本年度の協議議題は、「災害支援について」を共通議題とし、各弁護士会からのもう一つずつ提案し、当会からの提案議題は、「若手支援について」でした。
まず、災害支援についての協議議題ですが、これは、災害時に弁護士や弁護士会が被災された市民に対して行う復旧復興支援ではなく、災害時における弁護士会のBCP(業務継続計画)をテーマとしたものです。
札幌弁護士会からは、平成30年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震での対応状況を報告していただきました。
職員の安否確認を行い自宅待機の指示を出すためにも、緊急用の連絡網を整備しておくことが必要です。また、会員に対しては、法律相談センターを休業することや裁判所が全ての期日を延期する旨の決定したことの連絡を行う必要が生じます。そのため、停電により弁護士会館のパソコンが使えず、メールが送信できない事態に対処するための準備が必要です。札幌弁護士会では、他会との災害時の安否確認の協定に基づいて、全会員へメールの一斉送信を行ってもらい、連絡事項を会員に周知することができたそうです。
つぎに、当会からの提案議題である若手支援について、第二東京弁護士会からは、クラス別研修制度、指導担当弁護士制度、はなさき記念館などを報告していただきました。
クラス別研修制度は、新入会員を15名から20名程度のクラスに分けて、年間7回程度の研修を行うもので、当会の新人ゼミのような制度です。
指導担当弁護士制度は、主に即時独立または早期独立(登録から1年以内)した新人会員に、弁護士経験5年以上の会員を指導担当として、事件処理や事務所経営等について指導を行うOJTの機会を提供するものです。
はなさき記念館は、即時独立等の会員に事務所スペースを提供するもので、入居期間は原則1年ですが延長も可能とのことです。
◆東京弁護士会との交流会:12月15日(土)
この交流会は、東日本大震災の際に東京弁護士会が行った被災高校生特別義援金活動について、当会が、寄付や事業共催の支援を行ったことをきっかけに、平成25年度から始まったものです。東京と福岡とで交互に開催しており、本年度は東京での開催でした。
本年度の当会提案の協議議題は、弁護士会の業務拡大についてと東京弁護士会のアプリ「べんとら」を含む会内広報についてでした。
まず、弁護士会の業務拡大について、東京弁護士会から、リーガルサービスジョイントセンター(弁護士活動領域拡大推進本部)の活動を紹介していただきました。このセンターは、会員のために活動領域の拡大に関する情報収集や調査を行い、会員に対する情報提供や会員を対象とする研修会、シンポジウムを実施されたりするものです。
センターには、いくつかの部会があり、それぞれの分野で弁護士の活動領域の拡大に向けた情報収集や調査等の活動が行われています。
部会の活動で興味深かったのは、人口知能(AI)部会で、その活動は、現在、急速に発展し今後一層の拡大が予測されているAIとこれを活用するビジネスに関する法的論点について、市民や事業者に対する啓蒙活動や相談対応を行ったり、会員に対して、弁護士が適切かつ迅速なリーガルサービスを提供できるように援助したりするものです。AIを利用した標準契約書等の作成やAIを導入した模擬裁判の実施等を検討されています。
他には、宇宙部会もあり、これは、宇宙活動二法の成立によって活発化が予想される宇宙産業ビジネスについて、専門の国内弁護士を養成することを目的とする活動をされています。また、東京ドーム企画検討部会では、毎年8月に東京ドームで行われるイースタンリーグへの協賛を通じて、弁護士会の認知度向上を行っており、本年度は、8月15日と16日に、東京ドーム内にブースを設けて、ジャフバとうさぎの着ぐるみを使用しながら、広報グッズやうちわを配布したそうです。当日の東京ドームの来場者は、二日間で約38000人とのことでした。
つぎに、東京弁護士会からは、会員向けアプリ「べんとら」について、利用方法のデモンストレーションを行っていただきました。
「べんとら」を通じて、研修をインターネットで申し込むことができます。また、会員マイページでは、過去に受講した研修と申込済みの研修を確認できます。この機能を使えば、相談担当の登録のために研修受講が要件(義務)になっている場合にも、いつでも受講の有無を確認することができます。
東京弁護士会は、会員数が8000人以上と膨大なため、会内広報についても、インターネットが積極的に活用されており、会員数が1300名を超えた当会にとっても、参考になることが多数ありました。