会長日記
2022年10月1日
会長 野田部 哲也(43期)
◆冬の時代に明日のために種をまく
依然として、コロナ禍は続き、ようやく第7波が収束に向かっているような状況にありますが、円高が進み、物価は高騰し、社会の閉塞感がさらに強まっているように思われます。
そんな冬の時代だからこそ、人権が蹂躙されたり、正義が捻じ曲げられたりすることがないよう、弁護士が社会に浸透し、「法の支配」を社会の隅々にまで行き渡らせるため、明日のために希望の種をまき続けたいと考えています。
◆若者たちとともに
挨拶回りもひと段落し、現在、弁護士会の活動に「主任」や「幹事」として参加している若手弁護士たちとともに、企業や行政機関を訪問しています。弁護士を活用していただいていることにお礼を申し上げるとともに、更なるご活用を提案しています。
そのような訪問に同行してもらっているのは、会務等に熱心に取り組んでいる若い弁護士たちに、企業や行政のトップが、どのように接し、どのような話をするのか、傍で見聞きしてもらいたいとの思いからです。そして、今まで以上に活躍し、将来、弁護士会をリードし、支えてもらう糧にしていただけたらと思っています。
そのような思いで、訪問を続けていたところ、それを察知していただけたのか、組織のトップの中には、若者たちに、直接質問をしていただける方もおられ、実際に、若者たちが鍛え育てられる、いい機会になっています。
◆頼りになる若者たち
ある市を訪問していた時、市長が、若手の弁護士に、リーガルエイドプログラムについて、直接に質問される場面がありました。これに対し、その弁護士は、実際にリーガルエイドプログラムを実践しており、その意義(生活保護受給者及び自立支援対象者の生活再建支援のため、弁護士が無料で定期的に市役所保護課で巡回法律相談を行う事業)等について、的確に説明し、その経験を話しました。
このしっかりとした対応に対し、市長は、この弁護士が来てくれるのであれば、すぐにでも採用を検討したい旨の発言をされる程でした。(この時は、過疎地に赴任することが予定されていたため、丁重にお断りをせざるを得ませんでした。)
◆企業トップたちの協力
弁護士を社外役員として活用していただいている企業のトップの方たちに対し、お礼を述べました。すると、トップの方たちには、弁護士に社外役員になってもらうと、法律的に的確な意見をいただけるうえ、多様な意見を発言していただけ、取締役会の議論が深化し、自分たちこそ感謝している等と言っていただいています。そこで、弁護士を社外役員として活用することの意義を広めていただきたいとお願いすると、快諾され、協力していただくことになりました。
◆自主的・自律的な活動
このとき同席した若者たちは、後日、女性社外役員名簿に、新たに4人もの登録予定者を追加してくれました。
また、ある企業で、組織内弁護士をご活用いただいており、そのことにお礼を述べ、パートタイム形式での組織内弁護士の活用をご提案したところ、既に複数の弁護士がパートタイム形式で会社内に入り、活躍しているとのことでした。このやり取りに立ち会った若者は、弁護士会がいろいろな提案をできることに感心し、自分の父親も企業の役員をしており、今度、しっかりと話をしたいと言ってくれました。
ともに訪問した若者たちが、自主的・自律的に、委員会等の組織の垣根を超えて、女性社外役員候補者を見出してくれたり、身内に話をしてくれるというのは、大変に頼もしく、意を強くしました。
◆勇気をもって明日の収穫
明日のために希望の種をまき続け、時間をかけて、これを大切に育成し、初めてしっかりとした収穫ができると思います。そして、希望の種が芽を出し、成長し、これを収穫するとしても、それは、弁護士会ではなく、個々の弁護士に、声がかかることが圧倒的に多いのではないかと思われます。
そこで、その時は、弁護士ひとりひとりが、躊躇せず、勇気を出して、手を挙げ、チャンスを掴んで、収穫いただきたいと考えます。