会長日記
2021年2月1日
会長 多川 一成(45期)
皆さま、こんにちは。
◆緊急事態宣言が再発出されました
1月13日、首都圏1都3県に追加して福岡県にも緊急事態宣言が再発出されました。京都、大阪及び兵庫の関西3府県や、愛知、岐阜及び栃木にも同時に発出されました。
福岡県では、昨年12月頃から新型コロナの第三波が広がり始め、本年1月6日には新規感染者が300人を突破、同月7日には388人、同月17日には411名まで増加しました。福岡県は、感染状況を分析する7つの指標のうち、確保想定病床使用率、人口10万人当たりの新規感染者数、感染経路不明者の割合など5つの指標でもっとも高い「ステージ4」の基準を超えているとのことです。緊急事態宣言の再発出期間は、首都圏1都3県と同じく2月7日までとされましたが、その後3月7日まで延長されました。
当会では、1月13日に部会長間での情報交換、同月14日には裁判所、検察庁との意見交換、同月15日には緊急対策本部会議を行いました。今後も福岡・北九州・筑後・筑豊の各部会と連携しつつ、新型コロナ第一波、第二波の際の経験を踏まえ、刻一刻と変化する新型コロナの感染状況に応じて迅速かつ適切に対応していきたいと考えています。
◆新型コロナウイルスに自然災害債務整理ガイドラインが適用されます
昨年12月1日から「自然災害債務整理ガイドライン」(被災ローン減免制度)が新型コロナウイルスで債務返済が困難になった個人や個人事業主に適用が拡大されました。一定の要件を満たし、このガイドラインが適用されると、次のように通常よりも有利な内容で債務整理を行うことができます。
- 信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されない
- 原則として保証人には請求されず、請求される場合も合理的な範囲内に限られる
- 弁護士などの専門家(登録支援専門家)の支援を無償で受けられる
当会では、災害対策委員会が関連委員会の協力を得ながら会員への研修を行い、登録支援専門家の増員を図る一方で、金融機関等への周知を図りつつ、市民の皆様に対して、本制度を積極的に広報し、昨年12月19日には個人向けの債務整理ホットライン(無料電話相談)を実施するなど活発な対応を行っています。本年2月25日にはさらに範囲を広げ、市民の皆様の生活全般にわたる電話法律相談「全国一斉 新型コロナウイルス感染症 生活ホットライン」も実施します。
新型コロナウイルスで債務返済が困難になった方には、是非弁護士に相談してこの制度を利用されることをお勧めします。
◆弁護士会の役割と会長声明等
近年は変動性、不確実性の時代といわれています。新型コロナウイルスは一つの例であり、それ以外にも予想できない事態が次々に発生します。そうした中、新型コロナウイルスに関連し、あるいは関連せずとも、あるとき突如として基本的人権が侵害されたり、社会正義に反するような事態が発生することがあります。
こうしたときは、弁護士会は、速やかに対応し、内容によっては、意見や声明等を広く公表するなどして、その改善に努める必要があります。むしろこうしたときこそ、弁護士会は、積極的に意見表明などして改善を求め、その社会的役割を果たさなければなりません。特殊な状況下で作られた制度や規定が、その後も長く市民の権利や自由を制約することがあることは、歴史が示しているとおりです。
検察庁法改正問題や学生支援緊急給付金の差別的給付の問題、新型感染症の感染者に対する罰則付き報告義務の条例案の問題などは、コロナ禍の中で、突如として基本的人権が侵害されたり、社会正義に反する事態が発生した(発生しかけた)例だと思います。当会はこうした事態が発生した都度、是正を求める会長声明や意見書を積極的に表明してきました。新型コロナウイルスの感染が広がる中で、このように弁護士や弁護士会の役割はますます広がっていると考えます。