会長日記

2022年12月1日

会長 野田部 哲也(43期)

皆さま、こんにちは。

◆おめでとう!そしてありがとう!!―九弁連大会リアル盛況のご報告と御礼―

本年10月28日、北九州市において、九州弁護士連合会第75回定期大会が、webでも参加できるようにしたうえで、リアルに開催されました。弁護士への叱咤激励や激論もあり、大盛況であったことをご報告するとともに、参加され、支えてくださった全ての皆様に厚く御礼を申し上げます。

この九弁連大会では、シンポジウム「ねぇ、きいてっちゃ!―子どもの声と多様な学び―」を行い、「学校における子どもの意見表明権を確立するための取組を推進する宣言」の決議も行いました。この具体的な内容については、九弁連大会の報告の記事に譲るとして、大会の盛況に至る状況について、その舞台裏を、少し、報告したいと思います。

大会を迎えるにあたっては、開催地である北九州部会を中心に万全の態勢で臨んでいただきました。大会の前日から、会場の準備に抜かりがないか細部までチェックが繰り返されておりました。これを垣間見たとき、その熱心さや手慣れた様子に、祖父江弘美弁護士らをホテルのスタッフと見間違ってしまうほどでした。

九弁連大会では、大会の前日に、理事会が招集されますが、急遽、その議長を務めることになりました。ゴルフ大会にも参加することとしており、ラウンドプレーが遅延し、間に合うかヒヤヒヤもので、ゴルフウェアのままジャケットを羽織り、議事を開始する羽目となりました。対立する議論はありましたが、理事の皆さんの「九弁連はひとつ」の思いに支えられ、無事にすべての議事を終えることができました。

また、北九州の若手の弁護士の意見を直接聞きたいとのたっての希望から、小林元治日弁連会長は、大会前日、北九州入りされ、若手を交えた意見交換会が開かれました。到着が遅いこともあり、本会を開く前に参加者で懇親を図っていたところ、若手の弁護士たちから、「日弁会長に向かって自分の意見等よう言いきらん。」等との泣きが入り、小林会長の扶助改革その他の政策を理解してもらうとともに、お酒をたらふく飲んでいただきました。そのような中、少しでも早く着くようにと、空港まで車で迎えに行っていた河合勇治副会長と小林日弁連会長らが到着され、意見交換会は始まりました。先ほどまで、会長には意見を言えない等と泣き言を言っていた若手の弁護士たちは、扶助の報酬が、通常私選で受けている事件に比べて低すぎること等、思いのたけを熱心に述べ、小林会長は、これに真摯に聞き入っておられました。

翌日の朝、大会本番を迎え、前田憲徳理事長がコロナから無事に復帰された姿を見て、大会の成功を確信するとともに、大いに安堵しました。

大会の冒頭、小倉知子北九州部会長が登場され、着物姿で凛として挨拶をされる姿に圧倒されるとともに、真剣に聞き入る会場の雰囲気から、本大会の大成功を確信しました。その後、種々の激しい意見交換もありましたが、無事にすべての決議が行われました。

懇親会も、利き酒のイベントやアトラクションで大いに盛り上がりました。特に、天井が低い会場でのアクロバットショーは、スリル満点で、人が落ちてくるんじゃないかという恐怖の中、全ての演技を成功させ、やんやの喝さいの中で終わりました。最後に、前田憲徳九弁連理事長の面前において、妹の小倉知子北九州部会長から、次年度の開催地である鹿児島県の理事であり姉の笹川理子次年度九弁連理事長予定者に、「九弁連はひとつ」のたすきが渡されました。

◆会長とリスキリング

会長とはいっても、完璧な人間は誰一人いません。会長職を全うするためには、これにふさわしい、それなりの意識や自覚、日々の訓練や成長も必要であると思われます。特に、私のような「昭和のおじさん」にとっては、必要不可欠です。そのために、ハラスメント防止等のためのマニュアルを読んだり、マトリクス表を持ち歩いたりしておりました。ただ、これを意識しすぎて、滑舌が悪くなったとか、話に迫力がなくなっている等の声も頂戴するようになり、今は、原志津子副会長らの注意や指導を仰ぐこととし、注意はしますが、委縮しないように心がけています。

近時、リスキリングが重視され、社会に出てからもスキル向上を目的に学びなおすことが重視されています。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)が提唱されるようになってから、テクノロジーの変化が人々の生活を豊かにするに伴って、そのテクノロジーを活用した、新たな価値の創造が、社会から求められます。そして、このことは、会長職に限らず、全ての弁護士にも言えることのように思われます。

会長は、執行部に入ること自体で、デジタル通信技術を自ら活用しなければならないことを痛感させられます。今も、事務局に助けてもらいながらも、何とかやっています。執行部で使っているもので、私にも使えるような使い勝手の良いものは、弁護士会全体でも使っていただけるよう推進したいと思っています。

また、会長のリスキリングとしても重要なのは、挨拶です。各種の勉強会や研修会で、会長が挨拶する場面は多々あり、前年度の伊藤巧示会長がきちんと準備されていた原稿を頂き、本当に助かっています。いくら練られた良い模範例があったとしても、これを棒読みするのは趣味ではないので、自らの経験や考えを盛り込んで、付加価値を高めようと思うと、そこで使われるレジュメや資料に目を通し、考え直さなければなりません。これが、福岡県弁護士会の活動内容を把握したり、その活動に関する知識を深めたりすることに大いに役に立っています。

今回の九弁連大会のテーマは「子どもの意見表明権」でしたが、これに関する資料はしっかり読ませていただきました。また、小さな子どものいる弁護士も容易に参加できるよう、会場には託児所が開設されていましたので、さっそく休み時間に、ここに調査に行き、懇親会の挨拶でも、紹介させていただきました。赤ちゃんが、泣いて、保護者と離れ寂しいことを表明していました。小学生の子たちは、お母さんと遠方から来ていることやお母さんがシンポジウムに出て勉強していることを話してくれましたし、私が弁護士だとわかると、「おじちゃんもそれに出て勉強したら」と促す意見を表明してくれました。

聞く耳を立てれば、子どもたちからも、色々な意見を表明していることが聞き取れます。翻って考え、私たち弁護士が、日頃、どれだけ耳を澄ませて、子どもたちのみならず、大人の意見をどれだけしっかりと聞いているか考える契機ともなりました。

福岡県弁護士会 会長日記 2022年12月1日 福岡県弁護士会 会長日記 2022年12月1日