会長日記
2017年4月19日 就任挨拶
会長 作間 功(40期)
※今回は、「弁護士会は何をしている団体なのだろうか」を寄稿する予定でしたが、これに先立ち、福岡県弁護士会月報4月号の記事を以下のとおり転載します。
2017年(平成29年)度の福岡県弁護士会の会長を務めます作間功です。6名の副会長(久方ぶりに今年度は、筑豊部会から副会長を送り出していただきました。)と2名の事務局長でしっかりと舵取りを行い、弁護士会職員と力を合わせ、執務していく所存です。この1年間よろしくお願いいたします。
◆ 弁護士であれば誰一人として弁護士会の活動に恩恵を受けない者はない
いち会員が言うのはともかく、会長がこのようなことを言うのはいかがかとも思いましたが、わたしが普段から思っていることですので、敢えて書きました。すなわち、弁護士の使命は、基本的人権の擁護と社会正義の実現にありますが、他方、弁護士には、法律事務の独占が認められています。弁護士は法律の専門家ですので、法律事務の独占は、一見、当然のようにも思えますが、よく考えてみますと、弁護士のみに法律事務を「独占」させる必然性はないように思います。法が弁護士に法律事務の独占を認めたのは、先の弁護士の使命と関連している、つまり基本的人権の擁護と社会正義の実現の使命を負託された者であるからこそ、弁護士には法律事務の独占が認められた、と理解すべきではないでしょうか。
そうすると、弁護士である以上、法律事務の独占という特別に与えられた権利を享受している事実、弁護士会が様々な人権活動その他の公益活動を行っている点と不可分に結びついた、弁護士・弁護士会に対する高い信頼・評価を社会から与えられてきた事実を、わたしたちは忘れてはならないというべきです。弁護士・弁護士会に対する社会の高い信頼が揺るげば、弁護士自治はもちろん、法律事務の独占にも疑問が湧き起こっても不思議でないことを自覚しなければならないと思います。
◆ 2017年度の課題(その1)
弁護士の使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることから、弁護士・弁護士会は権力との対峙が不可避です。そのため、制度的保障として弁護士自治が認められています。弁護士自治を全うし、かつ弁護士自治を守らなければならないのは、弁護士のためというよりも、むしろ国民に対する責務といえます。
この観点から、今年度も引き続き不祥事対策やその他の施策を行っていきます。
◆ 2017年度の課題(その2)
弁護士会は、個々の弁護士や弁護士会に対する社会の信頼を高めるための活動を行い、施策を打ち立てる必要があります。
先の不祥事対策を行う必要があることはもちろん、そのほか、委員会活動・人権活動のさらなる充実、立憲主義の貫徹、及び、一昨年の斎藤執行部が提案し、昨年度の原田執行部が議論を進めた、対外広報充実のための活動を行っていく所存です。
◆ 2017年度の課題(その3)
弁護士会は、個々の弁護士ではできないことを実施し、個々の弁護士をバックアップすることが必要です。
この観点から、先の対外広報を行う必要があるものですが、そのほか、会が設営している法律相談センターの今後の在り方の検討、法テラスとの協働を行っていきます。
◆ 2017年度の課題(その4)
明日の弁護士会を支え、明日の社会にとって頼りがいのある、信頼できる、人間味のある弁護士を育成することが必要です。
そのために、様々な研修の充実のほか、若手支援策を検討したいと思います。
◆ その他
以上のほか、新会館建設問題、来年当会で開催される九弁連大会の準備も重要です。目を全国に移せば、当然のことながら司法改革や弁護士の経済的基盤の確立も大きな課題です。
バトンタッチが得意なのは、なにも我が国のオリンピック400メートルリレー選手だけではありません。2017年度のわたしたち執行部は、前年度の原田執行部の実績を引き継いで、さらに前進していきたいと思います。