会長日記
2020年1月1日
会長 山口 雅司(43期)
◆新年明けましておめでとうございます
皆様におかれては、昨年はどのような年であったでしょうか。また、今年はどのような年にしたいと考えていらっしゃるでしょうか。
◆会館竣工から1年
当会においては、昨年は、1月に福岡市中央区六本松の新会館が竣工し、2月に使用を開始し、弁護士会の新たな一歩を踏み出した年でした。
3月に行われた新会館オープニング・イベントには約1000人の市民の方々が来場し、その後も憲法講座・死刑制度に関する企画・子どもの権利に関する企画・学生との交流企画・人権プレシンポ・市民フォーラムなど、多くの方が新会館にお出でになり、旧会館に比べて、会館における市民とのアクセスは飛躍的に向上したのではないかと思います。
また、当会の会員にとっても、委員会での部屋の確保や使い勝手は相当に良くなりました。会員が利用できる機能やスペースを、さらに活用してもらえればと思います。
◆「当番弁護士は刑事手続を変えた」
さて、昨年12月、日弁連の臨時総会に出席したり、当会の福岡・北九州・筑後・筑豊各部会の忘年会に出席したりしながら、福岡県弁護士会が編者となっている「当番弁護士は刑事手続を変えた 弁護士たちの挑戦」(現代人文社刊 :2019年10月)を読んでいました。皆様もぜひご一読いただければと思います。
福岡県弁護士会において、当番弁護士制度が始まったのが平成2年(1990年)12月であり、私は、その翌年である平成3年、当会にて弁護士登録をし、同書の中で「当番弁護士は福岡で最初にやるばい。」と公言したとして「ホラ吹き」と褒められて(?)いる、萬年浩雄弁護士(同書の執筆者の一人でもあります)の事務所で業務を開始しました。
当時私も、駆け出しの弁護士として、状況を正確には把握していなかったものの、刑事手続に対する不満を打開し、新しい制度を作るという熱気を感じていました。今から考えると“えらく大きな携帯電話”を持って接見に奔走したり、テレビドラマ※まで作らせたり、福岡県弁護士会の会員が、刑事事件や人権擁護に対する団結や熱い思いを共有していたことを思い出します。
◆熱い志を今一度
現在も、当会として、さらに広く弁護士全体、司法全体が考えなくてはいけない課題は沢山あります。
憲法改正問題に対しては、法理論という観点から意見を述べる必要があります。刑事手続・刑罰制度の改革については、人権という観点からも検討しなければなりません。法曹養成の問題は、養成方法や法曹人口だけではなく、法曹の地域偏在が再び強くなっていることにも配慮する必要があります。裁判手続のIT化の問題は、効率化や迅速化とともに、市民の利便や裁判所のあり方についての大きなビジョンがないと、何のための制度変更なのかが分からなくなってしまうでしょう。さらに、大きく不足している司法の財源の問題あります。
弁護士会、そして弁護士会を構成する個々の弁護士が、いま一度、社会に対して何らかの貢献をするという意気込みや志を確かめる時期かもしれません。
今年が、皆様にとって良い年でありますよう祈念します。
※RKB毎日放送制作「東芝日曜劇場」1993年(平成5年)1月24日放送の「こちら当番弁護士」。福岡県弁護士会が協力して企画制作。弁護士役は奥田瑛二さん、他に小林聡美さん、でんでんさん(鞍手町出身)、森本レオさんら出演。