会長日記
2022年2月1日
会長 伊藤 巧示(45期)
会員の皆様、こんにちは。
本年度も、あと残り僅かとなりました。この2月号が皆様のお手元に届くころには、新執行部のメンバーも確定し、新執行部の皆様は次年度へ向けての準備に追われ、私たち当執行部も次年度への引継ぎの準備が始まっていると思います。
この時期になりますと、当年度執行部も3月という終わりが見えてきていますので、課題の中でも今年度中にやれる、もしくはやれなければならないものと、次年度以降に引き継がざるを得ないものとに分かれてきます。
月報11月号で、本年度の重点課題の達成状況をご報告しました。天神弁護士センターの機能移転の問題については、本年度中に一定の筋道をつけることができると思いますが、情報システムの整備・開発は数年かけて取り組む課題と位置付けております。
会計の見直し作業も今年度は各会計間の繰入金のやりとりの整理にとどまりましたが、わかりやすい会計を目指して引き続き検討を続ける必要があります。
さて、今月号では昨年末に福岡県弁護士会館において行われた研修・講演会についてお伝えしたいと思います。
◆「生活保護支援システム」「リーガル・エイド・プログラム」名簿登録研修(12月21日)
当会の生存権の擁護と支援のための緊急対策本部は、困窮者への生活支援や、労働者にとっての労働問題、多重債務問題などを扱うことにより、国民の生存権を擁護・支援する本部です。特に、貧困問題を抱える人々の支援のために取り組んでいる二つの重要な活動があります。一つは、「生活保護支援システム」、もう一つは「リーガル・エイド・プログラム」です。
「生活保護支援システム」は、法律相談センターに対して,「生活保護について弁護士に相談したい。」との申し出があった場合,弁護士が電話相談・面談相談を受けることができる当会独自のリーガルサービスです。「リーガル・エイド・プログラム」は、当会のアウトリーチ活動の一つであり、 当会が法テラスと地方自治体と共同で実施している出張法律相談活動で、担当弁護士は相談担当日に各自治体の福祉事務所等に出向き、生活保護利用者や自立支援対象者から法律相談を受けるというものです。
今回の研修では、「生活保護支援システム」については、生存権・擁護支援対策本部事務局次長の植竹克典先生に、「リーガル・エイド・プログラム」については、同本部副本部長の城戸美保子先生に講師をお願いして、この二つの制度の名簿に登録するため研修を実施しました。
◆「公庫の融資課長が語る~決算書から見るコロナ禍における中小企業の実情と今後の展望~」講演会(12月22日)
当会は、日本政策金融公庫福岡支店公庫との間で、2010年11月に中小企業支援に関する相互協力・連携に関する覚書を締結しました。これは全国の弁護士会及び日弁連に先駆けたものであり、その後、継続的に中小企業向けセミナーやシンポジウム等の共催、研修会への講師の相互派遣などの取り組みを行ってきました。昨年度は新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、残念ながらイベント開催は見送られましたが、今回は、日本政策金融公庫福岡支店融資課長の中嶋康夫氏を講師にお招きして、コロナ禍における中小企業の実情と今後の展望について、決算書の見方を交えて実務経験に基づくご講演を行っていただきました。
我々弁護士が中小企業や小規模事業者から事業承継や事業再生について法律相談を受ける際には、一般的な法律知識だけでなく、経営・財務・税務等の基礎的な知識が必要です。その実務的な理解を深めておく必要性は高く、特にコロナ禍という特殊な状況において中小企業の実情を把握して融資実行を決定するにあたりどのような視点で決算書をチェックしているのか等、決算書の基礎的知識にとどまらない貴重な実務のお話を頂戴することができました。