少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。

付添人日誌(29・10月号)

1 はじめに

私が担当した少年事件について、ご報告させていただきます。本件では、付添人サポート研修として、松浦恭子先生のご指導の下、付添人活動を行いました。

2 事案の概要

本件は少年が友人ら6名とバイクで並進しながら、低速走行及び蛇行運転するなどを繰り返し、信号無視をしたという集団暴走の事案です。少年は18歳で、通信制高校に通いながら、週5日アルバイトをし、両親と妹と暮らしていました。

3 活動内容

(1) 少年との面会

鑑別所で初めて少年と面会した際、少年からは礼儀正しく素直という印象を受けました。少年は、事件のことを素直に話してくれて、「もう二度とバイクには乗らない。」と述べるなど、自身の行動について反省しているように見えました。

しかし、話を聞いていくうちに、少年は保護観察処分ですぐに身柄は解放されるものと決めつけている節があり、自身の問題点について真剣に向き合う様子はあまり窺えませんでした。

私は付添人として、少年に非行事実と向き合ってもらい、自身の問題点について考えてもらうよう努めました。具体的には、本件非行に直接関係の無いことも含め、少年とできる限り多くの言葉を交わし、その中で少年自身が問題点について、考えを深めることができるよう、根気強く対話を重ねました。

(2) その他の活動

少年の雇用主とは面談をし、高校の担任の先生からは学校での様子について話を聞きました。

雇用主は、少年の働きぶりを高く評価しており、少年の雇用継続についても快く約束していただきました。また、高校の担任の先生も、少年は真面目に通学しており、何としても高校を卒業させてやりたいと述べられ、鑑別所に面会にも行ってくださいました。

4 審判

審判では、私から少年への、これまで少年自身何を考え、今どのような気持ちでいるのかという質問に対し、少年は自分の言葉で、非行に及んだ経緯、反省していること、将来に向けて立ち直りたいという気持ちをしっかり話してくれました。

審判の結果は、調査官の意見と同様に、保護観察処分でした。

5 最後に

今回、少年は必ずしも非行が進んでいた訳ではなかったこともあり、少年自身が当初はあまり問題点を自覚できておらず、付添人としてどのような活動をすべきか悩みました。

私自身、少年の雇用主、担任の先生及び両親と話をする中で、少年のことを真剣に考え、本気で心配している大人がこれほどいることに感動しました。周囲の大人達の思いが少年に伝わったことで、結果的に、少年は自分自身と向き合うことができるようになったのではないかと思います。

私が付添人として活動した日々は、短い時間ではありましたが、少年の立ち直りを心から願う大人達や、自分自身と真剣に向き合う少年と接する日々であり、それは私自身を見つめ直し、また頑張ろうと思える瞬間でもありました。

今回学んだことを糧に、今後の少年付添人活動に励んでいきたいと思います。
最後になりましたが、ご指導を頂いた松浦恭子先生には、この場を借りて御礼申し上げます。

庄島 純平

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