少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。

付添人日誌 初めての付添事件(27・8月号)

弁護士になって刑事弁護は数件してきたが、今回、初めて付添人活動をした。

新人弁護士が行う付添人活動について、評価や検討する際の一助になるよう、報告させていただく。

1 事件の概要

友人2人が通行人に対して因縁をつけ、暴行を加え怪我を負わせた後、金を奪ったが、少年は、それを一部始終傍観していた上、金の一部を受け取ったという事案である。

勾留時点では、被疑事実は強盗致傷罪の共同正犯となっていたが、家裁送致後は、盗品等無償譲受罪となった事案である。

2 少年の属性

少年は補導を50回以上されており、逮捕の6ヶ月前に、昼間、学校にロケット花火を打ち込んだとして保護観察処分となっていた。

家族は両親と兄弟二人と同居していた。

今年の四月、中学校卒業後、高校には進学せず、防水工として働いていた。

3 付添人活動

ア 調査官面談

鑑別所送致後、まず調査官に面談へ行った。家庭状況、今後の仕事については恐らくこの時点では私の方がわかっている部分もあったので、そういった点を伝えるとともに、調査官が重視する事実と今後の処分見込みを聞き取ることができないかと思い、面談した。

結果、調査官から特に今後雇用が継続されるかを重視すると言うことを聞き出し、その点を特に重点的に資料化することを目指した。

イ 家庭訪問

少年の家族と電話での会話は勾留段階から何度もしていた。しかし、直接会って両親の人となりを確認するとともに、少年の住居の状況を確認するために、家庭訪問もした。

家族関係について再度聞き取りを行い、両親や家族と関係が悪くなさそうなのを確認する一方、今回や今までの非行で共犯になっていた友人が同じマンション内に住んでいることなども知ることができた。

ウ 保護司面談

少年が保護観察中なので、担当していた保護司にも面談した。

保護観察中の少年や両親の態度や、保護観察の制度の中で何が行われるかを知るよい機会となった。

エ 勤務先訪問

勤務先の社長とも面談した。

勤務時の態度を聞き取るとともに、今後雇用を継続する旨、審判に出席し話してくれると言うことを約束していただいた。

オ 意見書提出

調査官意見を確認後、意見書を提出した。

4 結果

再度の保護観察処分となった。

5 活動に対する反省

再度の保護観察処分になるかどうかが問題となると思われたので、付添人としてできる限りの活動をした。

上記活動のほかにも、調査官が意見書を出す直前に面談を行い、意見書を出すべきだったとは思われるが、そこまではできなかったのは反省点である。

6 感想

少年と2か月近い付き合いになったが、大人の被疑者と違い、短期間でも少年が変わっていくのが実感できる点にやりがいを非常に感じた。

少年に対して、当然悪いことをしているので、叱る必要もあるのだが、少年事件の少年は、自分に自信が無く、それが問題となっている場合が多い。

そのため会うたびに気をつけたのは、相手の言うことをすぐには否定しないこと、自分で気づいて反省すれば褒めることを実践してみた。

信頼関係を築くのには非常に良かったが、少年の今後の更生に対してどこまで良いのかまだわからない。今後検討の余地がある。

最後に、勾留段階で共同で国選弁護人となりアドバイスいただいた矢口耕太郎先生、共同で付添人となり指導していただいた松﨑広太郎先生にお礼申し上げます。

髙 井 雅 秀

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