1 自衛隊加憲論への論議が始まります
2017年5月3日の憲法記念日、読売新聞の朝刊1面に「憲法改正20年施行目標」の見出しで、安倍総理大臣のインタビュー記事が掲載されました。この中で、東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年を目標に、憲法9条に自衛隊の根拠規定を設けるなどの改正を行いたいとの考えが示されました。
この方向性に対して、弁護士会はどのような声を上げるべきでしょうか。日弁連からの資料(「憲法改正問題に関する会内討議資料」)を基に、来年度から、福岡県弁護士会においても、積極的な論議を始める予定です。「憲法改正問題に関する会内討議資料」は、会員専用ページからダウンロードできるようになっておりますので、会員の皆様におかれましては、ぜひ、ご一読いただきますようにお願い申しあげます。
2 津留雅昭弁護士勉強会のご報告
(1) 勉強会の概要
議論を始める前提として、自衛隊の現実について、改めて勉強しましょう。ということで、去る11月17日、福岡県弁護士会きっての軍事専門家(?)、津留雅昭弁護士を講師にお迎えして勉強会を行いました。会員及び市民50名ほどが参加しました。
(2) 自衛隊のこと、どれほどご存知でしょうか
正直に告白します。私は、オスプレイって航空自衛隊のものとばかり思っていました。佐賀空港に配備計画があるオスプレイって、陸上自衛隊のものだったんですね。
皆さんは、自衛隊のことをどの程度、ご存知でしょうか。以下は、講演内容を題材としたクイズです(答えは末尾)。
- 防衛省の平成30年度概算要求には、「統合機動防衛力」という考え方が出てくる。「概算要求」にこの考え方が出てくるのはいつから?
- 民主党政権時の防衛費は年間いくら?
- 成30年度の防衛費の概算要求額は?
- 防衛費の2大要素は?
- 兵器の価格に自由競争原理は働くか?
- 兵器は一度買えば、使えなくなるまでは安泰?
- 諸外国も防衛費は増額の方向にある?
- 自衛隊が存在しない都道府県はあるか?
- アメリカの軍隊は、陸軍、海軍、空軍ともう一つは何?
- 今年スタートする「日本版海兵隊」は、3つの自衛隊のうち、どれに所属?
(3) 安保法制の現実と「日本の歴史に学べ」
以上は、ほんのさわりの部分にすぎませんが、本当に自分は何も知らないのだなと思い知らされました。
何より、これまでの自衛隊は、それぞれの部隊がばらばらに活動するという体制だったのが、統合化が図られてきている、アメリカとの合同練習も始まっているという現状に、安保法制の重み・現実を突きつけられた思いがしました。
津留先生からは「日本の歴史に学べ」という話もありました。制裁で苦しんだのがかつての日本。それを突破するために戦争に突き進み、その結果がどうなったのか。北朝鮮に対して、日本こそがなすべきは、かつて同じような状況で苦しんだ日本がどのように歩んだのか、戻れるならば何をすべきだったのかを教えることではないのか。
皆さんは、どのようにお考えでしょうか。
3 井上正信弁護士勉強会のご案内
冒頭にご紹介した「憲法改正問題に関する会内討議資料」を基に、会内議論を活発化するために、第二弾の勉強会を開催します。
題して"自民党の「加憲」案を考える"
来る3月2日18時(パインビル2階)から、講師は、広島弁護士会の井上正信弁護士(27期 日弁連憲法委員会副委員長 同秘密保護法対策本部副本部長)です。
ぜひ、多くの会員のご参加をお待ちしております。
4 クイズの答え
- 27年度から 2014(平成26)年7月1日の解釈改憲のあとから
- 4兆6000億円~7000億円程度
- 5兆2000億円(SACO関係経費、米軍再編関係経費の一部等も含む)
- ⅰ)人件・糧食費(2兆1000億円程度)と、ⅱ)物件費(装備・兵器購入、維持費等)(2兆8000億円程度)。ⅱのうち、29年までの契約に基づき30年に支払われる金額(歳出化経費)が1兆8000億円程度、30年の契約に基づき30年に支払われる金額(一般物件費)が1兆円程度。
- 売り手であるアメリカ企業の言い値なので、働くわけがない。
- 修理代や、システムのバージョンアップに莫大な費用がかかる。
例えば、新型戦闘機F35・約50機の本体価格は約7000~8000億円の見込みですが、30年以上とされる運用期間中のランニングコストは2兆円を超えるそうです。 - NO
- ありません。全都道府県にあります。なお、奈良県には陸上自衛隊はありません。
- 海兵隊
- 陸上自衛隊