イベント報告

2003年5月24日開催裁判員ドラマ上映会報告

5月24日、中央市民センターにおいて、日弁連作成のドラマ「裁判員~決めるのはあなた」の福岡上映会が開催されました。その模様をお伝えしようと思います。

当日は、集客に多少の不安はあったものの、160名を越す方々の参加がありました。私は司会をしていたため、ステージの上から会場にいらした方を見ていましたが、大学生風の人から年輩の方まで、幅広い層の市民の方々に参加していただいたという印象を受けました(残念ながら会場を満員にすることはできなかったのですが)。

さて、当日のプログラムとしては、まず今回の目玉である日弁連作成ドラマ「裁判員〜決めるのはあなた」の上映が行われました。見ていない方というのために簡単に説明しますと、嫁が姑を殺したとされる殺人被告事件において、石坂浩二扮する裁判長とともに選挙人名簿から無作為に選ばれた個性あふれる7人の裁判員が審理をしていくという内容のものです。見どころは何と言っても審理の過程です。始めは、被告人が故意に被害者を突き落としたと考えていた裁判員が議論を深めていく中で次第に考えが変わり、最後には被害者は誤って転落したにすぎず被告人は無罪であると全員一致で判断するに至ります。和製「12人の怒れる男たち」といったところでしょうか。かなり本格的な作りです。参加者の方からも大変好評で、協力いただいたアンケートでは、「裁判員1人1人の描写が深く表現されていて感動的で説得力のあるドラマだった」「予備知識なしでも十分楽しめるし、裁判員制度についても身近に感じられると思う」といった感想が寄せられました。

ドラマの上映に続いては、福岡上映会の独自の企画として、関西学院大学の丸田隆教授に「市民が参加しやすい裁判員制について」と題する特別講演を行っていただきました。丸田教授は、法的観点から市民が利用しやすい裁判員制度と言えるためには、人数・対象事件・評議方法・評決方法などの点でどのような制度が望ましいかということや、現実的に市民が使いやすい制度と言うためには、どのような補償が必要となってくるかということなどを、流暢な関西弁に乗せて、大変わかりやすく説明してくださいました。もちろん参加者の方からの評判も大変よく、会場のあちらこちらから「わかりやすかった」という声が聞こえてきました。

最後に、船木副会長から、閉会の挨拶に代えて、「より良い制度の実現に向けて」として、裁判員制度導入にあたって、捜査の可視化が不可欠だという提案がされ、裁判員ドラマ福岡上映会が幕を閉じました。あっという間の三時間。参加された方は、時間を忘れて裁判員制度の理解を深められたのではないかと思います。

平成13年6月、司法制度改革審議会から裁判員制度を取り入れた意見書が答申され、裁判員制度の導入がいよいよ現実化しようとしていますが、正直なところ、私自身は恥ずかしながらどのような制度が導入されるのか、よくわかっていませんでした。しかし、今回の上映会を通じて少しではありますが、イメージすることができました。もちろん、これまでとは全く違う制度が導入されるのですから問題がないということはあり得ないと思います。しかし、よりよい制度にするためにできることとして、まずは1人1人が関心を持つことが何より大事なのではないかと思います。私を含めて少なくとも上映会に参加された方は裁判員制度に関心を持ち、自分なりに「理想的な制度とは?」ということを考えた1日だったのではないかと思います。

さて、裁判員ドラマ上映会は、6月27日は久留米で、また本稿執筆段階では日程は未定ですが、北九州でも開催されます。また、ご希望の方がいらしたら再度の上映会の開催も考えています。まだ裁判員ドラマをご覧になっていない方はぜひご覧頂きたいと思います。

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