福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

月報記事

2018年1月 1日

あさかぜ基金だより ~「パブリックロイヤーへの道」司法修習生説明会に参加して~

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 服部 晴彦(68期)

あさかぜ基金法律事務所の所員弁護士の服部です。

昨年12月2日(土)、日弁連会館2階のクレオにおける「パブリックロイヤーへの道~法テラススタッフ弁護士・日弁連ひまわり基金弁護士・偏在対応弁護士 説明会~」に参加してきましたので、説明会の模様を報告します。

「パブリックロイヤーへの道」司法修習生説明会とは

この説明会は、公設事務所への進路を希望または興味のある司法修習生を対象に、公設事務所弁護士、すなわち、法テラススタッフ弁護士、司法過疎地に設置されたひまわり基金事務所の弁護士、日弁連の支援を受けて独立開業する司法過疎偏在対応弁護士について、その制度や弁護士活動の具体的なイメージを広く知らせるべく、紹介、説明しようというものです。

説明会は、修習生向けガイダンス、公設事務所勤務の弁護士によるパネルディスカッション、事務所ごとにブースを出しての個別説明というプログラムで行われ、私はパネルディスカッションから参加しました。

「パネルディスカッション」

パネルディスカッションでは、あさかぜ事務所のOBで、熊本県の法テラス高森事務所に赴任したあと、鹿児島県で独立開業した細谷文規弁護士のほか、法テラススタッフ弁護士2名(北海道、愛知県)、ひまわり基金弁護士(北海道)の4名をパネリストとして、「どんな活動をしているのか」、「公設事務所の弁護士としてやりがいを感じること」、「公設事務所で働くうえで辛いこと」、「養成時代にやって良かったこと、しておけばよかったこと」、「公設事務所の弁護士に求められること、人物像」といったテーマ、そして修習生から出された疑問点について、回答する形で進められました。

その中で、公設事務所弁護士としてのやりがいについて、「弁護士が少ない地域なので、社会的に注目され、必要とされている実感がある」、辛いこととしては、「寒さが厳しく雪が積もるなど自然環境が厳しい」、「買い物するところが少ない」、「管轄地域が広く移動が大変」、「相談を受けて弁護士として何と答えていいか困ったときに周りに相談できる人がいない」、公設事務所に求められることとして、「目先にこだわらずに数年後の依頼者や相手方のことを考えられる」、「人の話に耳を傾けられる」、「知らない土地でも、その土地の良いところを見つける」といった話が印象に残りました。

パネルディスカッションは修習生向けでしたが、弁護士過疎地域への赴任に向けて養成中の私にとっても、公設事務所で働いている先輩弁護士の話を聞くことができ、とても参考になりました。

「個別説明」

ブースでの個別説明では、私が所員弁護士として、事務所の業務内容や弁護士過疎地解消という設立目的、所員弁護士の養成といったあさかぜの特色について、ブースを訪れた修習生に説明しました。修習生は、熱心に説明を聞き、質問をしてくれました。説明を聞いていた修習生からは、公設事務所で働きたいという熱意を感じました。

修習生の熱意を感じて、私も弁護士となったときの初心を思い出し、日々の業務に邁進していきたいと改めて思いました。

司法修習生に向けて

あさかぜ基金法律事務所は、九弁連管内の弁護士過疎地域に赴任する弁護士養成を目的とした都市型公設事務所です。あさかぜは、司法修習生向けの事務所見学会を随時実施しています。弁護士過疎問題、公設事務所に興味のある修習生は、福岡県弁護士会天神センター、法テラス福岡が入った南天神ビルの2階に事務所がありますので、是非お立ち寄りください。首を長くして連絡を待っています。

「修習給付金の創設に感謝し、「谷間世代」1万人の置き去りについて考える福岡集会」のご報告

司法修習費用給費制復活緊急対策本部委員 市原 史雄(69期)

1 はじめに

平成29年11月19日(日曜日)の午後2時から午後5時30分頃まで、福岡市内のエルガーラホール7階多目的ホールにて、当会主催、日弁連・九弁連・ビギナーズ・ネットの共催で「修習給付金の創設に感謝し、『谷間世代』1万人の置き去りについて考える福岡集会」が開催されました。

2 いま集会を行う意味

本集会は、同年4月、修習給付金制度が創設されて以降、福岡では初めて行われた市民集会です。同制度創設にご協力してくださった国会議員や市民の方々等関係者への感謝を述べつつ、何らの手当てもされなかった修習新65~70期の貸与世代(いわゆる「谷間世代」)に対する救済を求める活動のキックオフ集会という意味合いがあります。

3 プログラム

本集会のプログラムは、(1)修習給付金の内容と制度創設に至るまでの経緯紹介、(2)71期修習予定者による感謝の言葉、(3)国会議員ご挨拶、(4)若手弁護士の活動報告、(5)市民の方からの応援メッセージ、(6)パネルディスカッションという内容でした。

71期修習予定者として登壇した3名の方からは、「思いがけず給付金をもらえることなりうれしい」といった素直な感想や、制度創設に向けて活動した関係者らへの感謝の意が述べられるとともに、谷間世代となった先輩や友人らが、自分達と全く同じ内容の修習に従事したにもかかわらず71期以降の修習生と大きな金銭的格差が生じていることが不合理・不平等であるという思いも語られました。

当会の若手弁護士として、中小企業・小規模事業者支援活動に携わる松村達紀会員(65期)、今年の九州北部豪雨被災者支援活動に当たっている金谷比呂史会員(68期)から、それぞれ活動報告がなされました。いずれの活動も市民にとって大きな助けとなっていること、弁護士が公益的存在であること、「谷間世代」が公益活動の第一線で活躍していることが紹介されました。

市民の方からの応援ということで、東日本大震災で被災され、現在は福岡県に避難されている方にも登壇していただきました。原発避難者訴訟の原告となっている方で、自分たちが支えてもらっているような公益的な活動を若手弁護士に心置きなくやっていただきたい、これからの世代を担う若い弁護士の希望の芽を摘むようなことを国にはしてほしくはない、谷間世代の不公平感、心のもやもや、割り切れない思いを抱えたまま、若い弁護士の活動が阻害されるようなことがあってはいけないと、優秀な人材を集めるためにも谷間世代を救済することの必要を市民の目線から訴えかけられました。

パネルディスカッションでは、日弁連司法修習費用給費制存続緊急対策本部本部長代行の新里浩二弁護士(仙台弁護士会)、日本退職者連合事務局長で2010年来、司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会事務局長としても給費制復活の向けた運動を支援してこられた菅井義夫氏(東京)、ビギナーズ・ネットの共同学生代表池田慎介氏(札幌)、「谷間世代」当事者の清田美喜会員(当会、66期)をパネリストに迎え、髙木士郎会員(当会対策本部事務局長)の司会で、それぞれの立場から、給費制の事実上の復活に向けた運動を振り返るとともに、残る課題としての給付金制度の問題点、谷間世代救済の必要性などが語られました。給付金制度創設に向けた活動を振り返り、一定の成果が得られたことへの評価はなされているものの、谷間世代の声としては、「谷間世代は切り離されたと思った」、「同じ修習を受けたのに自分たちだけ何らの手当てもないのは不平等・不合理だと思った」という率直な意見があることが紹介されました。また谷間世代については、毎年の貸与金返済が足枷となって採算の合わない事件に全力を傾注しづらくなるのでは、弁護団事件のように着手金や報酬が期待できない手弁当での活動に積極的に参加するのを躊躇してしまう傾向が出ないかなど、これまでの弁護士像と乖離をして行く恐れがあるという深刻な問題点が指摘されました。

このような谷間世代の抱く不公平感を解消するためにどのような活動を今後行っていくかという点について、一度できた貸与制という制度を改め給付金制度の創設を成し遂げることができたのは、当事者の声を集約し、それを国会議員をはじめ多くの人たちに届けるという活動を地道に続けてきたからであり、谷間世代の救済についても、谷間世代の声を多くの人たちに届けるとともに、法曹の役割の重要性と国が法曹を養成することの意義について多くの方々から広く理解を得られるよう、活動をもう一度、自信を持って行っていくということが再確認されました。

4 国会議員ご挨拶

本集会には、原田義昭議員(自民党・衆議院)、鬼木誠議員(自民党・衆議院)、河野義博議員(公明党・参議院)、田村貴昭議員(共産党・衆議院)に出席していただきました(いずれも福岡県選出議員)。また、出席いただけなかった議員についても、多くの秘書の方に代理出席していただくとともに応援メッセージも10通以上寄せていただくなど、国政における給費制問題への関心の高さがうかがわれました。

原田議員からは、谷間世代の救済に向けては、強固な理論的根拠が必要だということ、不公平でかわいそうだからという感情論も一つの材料にはなるが、それだけでは不十分であるということが説明されつつも、給費制の復活という稀有なことを成し遂げたのだから、谷間世代の問題についても、国家社会のために立派な法曹を育てるのが国の仕事だという観点から、皆さんとともに頑張っていくと、強い励ましの言葉を頂きました。鬼木議員からは、九大法学部時代の友人らが精神的にも経済的にも苦労して修習を乗り越えた話を聞いたため修習に専念させるためにも修習生の経済的不安は取り除かなければならないと思う、与党の政治家として軽々しくは約束できないが、何とかしてまずは世論を動かしてほしい、一緒に頑張るとの言葉を頂きました。河野議員からは、給費制に関する国会での活動、とりわけ、ビギナーズ・ネットの「青Tシャツ」の広がりや各弁護士会による議員要請活動を目の当たりにし、熱意に動かされたこと、党内の議論としては、まずは給費制の復活が第一歩だとなったが、引き続き、谷間世代の問題に取り組むことが述べられました。田村議員からは、修習専念義務を果たさせるという修習費用の趣旨からして、月額17万円(住宅補助3.5万円を含め)という給付金では生活が成り立たないこと、谷間世代の救済は超党派で取り組むべきであることなどのご発言がありました。

各議員が現状の問題点を指摘していましたが、共通して語られたのは、給付金制度創設で終わりではなく、何としても谷間世代を救済する必要があるということでした。立法に直接携わる国会議員の方々が、与野党を問わず、この問題点を認識・共有し、その解決に向けて前向きに取り組んで頂く姿勢であることを確認できたことで、谷間世代の救済を目指す当本部としては非常に勇気付けられる思いでした。また、弁護士会によるこれまで幾多の議員要請活動をはじめ国会議員との交流についても十分に浸透していることが実感でき、これら活動の方向性が正しかったことを再認識しました。

5 おわりに

当日は90人収容の会場がほぼ満席になり、非常に盛況となりました。北は札幌・仙台から、南は宮崎・熊本まで全国各地からも弁護士や市民の方々が駆けつけてくださいました。また、貴重な日曜日にもかかわらず足を運んでくださった当会会員のみな様方にも本紙面を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

キックオフ集会としては大成功となった本集会ですが、来年7月には新65期の貸与金弁済が始まってしまいます。ひとたび弁済が始まってしまえば、谷間世代救済はいよいよ困難になりかねません。このように時間の無い中で、早急に活動を広めていかなければなりません。

集会の後は、天神にて懇親会が行われました。全国各地から参加の弁護士や、本集会に引き続き作間功会長にもご参加いただき、交流と連帯を深める、楽しく充実した時間となりました。

どうぞ、会員の皆さまのなお一層のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

遺言セミナー・無料相談会(11/12・11/25) ~どんな方が参加するのか・どんなセミナーにすればいいのか~

法律相談センター運営委員会委員 井手上 治隆(60期)

1 はじめに

平成29年11月12日(日曜)と25日(土曜)、天神弁護士センターにて、一般の方を対象とした遺言セミナーと無料相談会を開催しました。

当初は12日のみの開催を予定しておりましたが、朝刊3紙(毎日・朝日・西日本、掲載順)にセミナーの記事が載ったこともあり、12日分が定員(20名)に達したため、急遽、25日も開催することになりました。

当日は、まず、遺言・相続の基本的事項についてのセミナーを1時間行い、その後、希望者に対し無料相談会を実施しました。セミナー講師は、千綿俊一郎会員(12日)と吉永裕介会員(25日)が担当しました。

会員の皆様もこの種のセミナーの講師を務める機会があるかと思いますので、その際の参考になればとの視点から、以下報告させていただきます。

2 どんな人がやってくる?(参加者の実像)

年齢層でみると、やはり高齢者の方が多く、何らかの問題に直面している方が多かったようです。また、ご夫婦や親子での参加も一定程度ありました。

当然かもしれませんが、皆さん、「そろそろ」から「すぐにでも」と幅がありますが、遺言書を作成することに対する意識が高い方ばかりでした。なかには、遺言書の文案を自ら作成して持参され、相談時にこれで問題ないかと質問される参加者もいらっしゃいました。総じて、「ちゃんとしておきたい」という想いを共通して持たれているように感じました。

ただ、遺言・相続に関する知識・情報量及びその正確性については、かなりの幅があるように見受けられました。

3 どんな心配ごと?(疑問・悩みの中身)

各参加者の置かれている状況により、疑問・悩みも異なります。ただ、以下のように、いくつか共通する点もありました。

  • まず、どうしたらいいのか、何から始めないといけないのか。
  • 自分で作成する場合に、形式面で注意しなければならない点は、どのようなことか。
  • 自分の希望する内容の遺言が本当にできるのか、その遺言で問題が生じないのか。
  • 費用がいくらかかるのか(公正証書遺言を作成する場合や弁護士に依頼する場合など)。
  • 相続税はどうなるのか。等々

ここのところは、日々の法律相談で会員の皆さんが実感されているところと、大差ないと思います。

4 セミナーをより良くするには?(セミナーの向上)

セミナーでの参加者の質問や反応、またアンケート結果から、気づいた点・感じた点は以下のとおりです。

(1) 声と文字は大きく

参加者には、高齢で少し耳が遠い方もおられます。声は、少し大きいかなと思うくらいで丁度よい感じです。

資料は細かい字で書いてあると、なかなか読んでもらえません。文字の大きさは、少なくとも、高齢者が拡大鏡などの補助器具なしで読める程度にしておかねばなりません。

(2) 気軽に質問ができる雰囲気作り

今回は、講師の絶妙な雰囲気作りが功を奏し、参加者の皆さんは、セミナー中も、気兼ねすることなく、自由に質問されていました。講師が説明している途中でも、疑問に思ったら、割り込んで質問をするという状況でした。今回の規模くらいだと、「あとで質問時間を設けます」ではなく、「適宜、自由に質問してください」という形式でよかったように思います。この点は参加者にも大変好評でした。

ただし、講師にとっては、流れが断ち切られたり、時間配分などが予定どおりにいかなくなったりするため、大変ではあります。

(3) 導入部分と遺留分

今回は、導入部分で、「遺言があれば揉めなかったのに」という身近な事案をいくつか挙げて説明し、その後、相続と遺言の基礎知識について解説していきました。いきなり用語等の説明から入るより、身近な具体例から入った方が、興味が湧き、また、基礎知識の説明の糸口にもなるため、この構成は良かったです。

ただ、遺言作成を考えている方は、法定相続分と異なる配分を意図し、相続人間の不均衡を気にされている方がほとんどです。今回のセミナーでも、導入部分の段階から、遺留分についての質問が出ていました。あとで説明しますと講師が言っても、その後も遺留分についての質問が何度も出ていました。皆さん、遺留分については非常に気にされているようでした。そのため、遺留分については、一般の方にとっては難しい概念かもしれませんが、比較的早い段階で説明しておいた方がいいと思いました。

(4) 基本的事項もかみ砕いて丁寧に

「嫡出子」「検認」など我々が日々接している用語でも、一般の方にとってなじみの薄い言葉については、丁寧に補足説明をしなければ、理解してもらえないなと感じました。

また、参加者の年齢層によるものかもしれませんが、参加者の中には、あまり配付資料を見ずに、話しだけを聞いているという方も一定数いました。説明する側は、文字(漢字)も当然の前提としていますが、聞く側にとっては、そうではない場合もあるんだなと気づきました。例えば、自筆証書遺言は、全て自分で書かないといけない、「じしょ」しなければならないと口頭で説明した場合、その段階で、条文の文言どおり「自書」の意味で受け取ってもらえる方もいます。その反面、それだけの説明だと、署名だけ自分で書けばよい「自署」を想定されている方がいるようでした。それに続く補足説明(内容が複雑だと全て手書きすることがいかに大変か、訂正することがいかに面倒か等)をすることにより、「あ~、何から何まで自分で書かないといけないってことね」と理解される方もいたようでした。

対象とする参加者の構成にもよりますが、基本的な事項もかみ砕いて、丁寧に説明する必要を再認識しました。

(5) どこまで説明するか

遺言の説明をするには、前提として相続の知識についても説明する必要があります。ただ、どの程度の知識まで説明するかは、時間との兼ね合いで難しいところです。あまり細かいことを話してもしょうがないので、ある程度割り切って、遺言に必要最小限の範囲にうまく絞る必要があります。

今回、配布資料については、一通りの基本的な知識を網羅したものを作成したものの、記載している事項を全て説明しておりません。資料については、セミナーの冒頭で、細かい事項も記載しており、全て言及しない旨を述べ、この資料はおみやげ的なものとお考えくださいと説明しております。この方法も良かったと思います。

(6) セミナーと相談会の役割分担

参加者の皆さんは、単に遺言・相続の基礎知識を修得することだけが目的ではなく、自分の悩みや疑問を解消するためにセミナーに参加されています。そのため、場合によっては、セミナーでの質問が個別具体的な事情に基づくものとなり、他の参加者とってあまり有益ではない場合も出てきます。

個々の参加者特有の事情に基づく質問は、セミナー後の相談で質問してもらうように冒頭で誘導しておいた方がいいかなと感じました。

(7) 課題(広報と集客、実施方法)

今回は、対外広報PTに尽力いただき、セミナーの開催が新聞に掲載されたこともあり、盛況となりました。しかし、掲載前は、県弁のHP等で広報をしていたものの、申込者が3名しかなく、どうしたものかと気を揉んでおりました。今後、このようなセミナーを継続的に開催するとした場合、毎回、新聞に掲載してもらえるとは考えづらいので、どうやって広報し集客していくかが課題です。

また、実施方法については、弁護士会の施設に来てもらうのではなく、コミュニティセンター等へ弁護士が出向いていくことも検討していかなければならないと考えております。

5 おわりに

今回は福岡部会での企画でしたが、各部会でもこの種のセミナーが開催されております。特に、筑後部会では先進的な取組がなされており、今回もいろいろ参考にさせていただきました。

現在、高齢者・障害者等委員会と法律相談センター運営委員会の有志で、遺言や相続に関する関連業務について、試行的にPTを立ち上げ、研修会や、継続的な遺言セミナー・相談会等の実施を検討しております。また、今後、会員の皆さんがセミナー講師を担当される際に利用いただけるようにレジュメ等を改良してサンプルを提供したり、法律相談センターでの遺言相談が増加するような取組を重ねていきたいと考えています。

まだ試行段階ですが、本格的な実施に至った場合には、会員の皆様にもご協力をお願いすることになると思いますので、その際は、よろしくお願いします。

中小企業法律支援センターだより 創業応援セミナー~創業時のお金のハナシ~

中小企業法律支援センター副委員長 牧 智浩(61期)

1 はじめに

みなさま、明けましておめでとうございます。新年最初のセンターだよりですので、少し夢のあるハナシ(=創業支援のハナシ)をしようと思います。

昨年の11月10日に、「創業応援セミナー~創業時のお金のハナシ~」を、福岡市スタートアップカフェにて、九州北部税理士会、日本政策金融公庫、福岡県信用保証協会と共催しました。この4機関でセミナーを共催することは初の試みであり、企画会議を重ね、最終的に、4機関で共催することによる相乗効果を最大限に引き出すために、講演、パネルディスカッション、交流会・相談会の3部構成でセミナーを開催いたしました。

2 第1部(講演)について

まず、最初に、「創業時の資金調達のポイント」というタイトルのもと、日本政策金融公庫福岡ビジネスサポートプラザ所長の高橋秀彰氏と福岡県信用保証協会保証統括部創業・経営支援統括課課長代理の馬場健氏に金融機関の立場から見る資金調達のポイントについてご講演いただきました。

高橋氏によれば、創業計画書の作成における留意点は、(1)簡潔に読みやすく記載すること、(2)具体的に記載すること、(3)自分の強みをアピールすること、(4)事業意欲を伝える重要な書類であることから丁寧に書くこととのことでした。また、創業計画書を第三者(弁護士、税理士、金融機関)に確認してもらい、何度もブラッシュアップしてほしいとのことでした。

また、馬場氏からは、創業時の融資審査の際には、(1)経験・ノウハウ・意欲があるか、(2)事業計画が過度な計画になっていないか、(3)自己資金が十分か、また、その形成過程に問題がないかをチェックしているとのお話がありました。

参加者の大半がメモを取るなどして真剣に講演を聴いており、参加者の資金調達に対する関心度の高さを感じました。

3 第2部(パネルディスカッション)について

次に、「専門家に聞く!これだけは知っておきたい創業のイロハ」というテーマでパネルディスカッションを行いました。高橋氏、馬場氏に加え、九州北部税理士会所属の寺井博志税理士、当会の日隈将人弁護士がパネラーとして登壇しました。

パネルディスカッションでは、まず、第1部の講演内容の掘り下げを行いました。寺井税理士や日隈弁護士からの突っ込んだ質問に対し、高橋氏や馬場氏が、はぐらかすことなく真正面からこれに回答していたため、他では聞くことのできない創業時の融資審査の実態を垣間見ることができました。

なお、寺井税理士、日隈弁護士からの質問の一部をご紹介すると、「初年度赤字の損益計画書でも大丈夫なのか?」、「創業計画あるいは事業計画に士業が関与している場合、融資審査の際の信頼度が上がるのか?」、「法人と個人とで融資の受けやすさに違いがあるという噂は本当か?」といったものでした。

他方、高橋氏や馬場氏からは、弁護士や税理士の創業時の支援活動の内容、弁護士や税理士へのアクセス方法などについて質問がありました。

日隈弁護士が、無用な法的トラブルを避けることの重要性を概説したうえで、契約書やビジネスモデルに対するリーガルチェックなど具体的な支援活動を複数紹介しました。参加者や金融機関を含む関係者各位に、我々弁護士の創業支援活動を知っていただくいい機会になったと思います。

セミナー後に回収したアンケートの回答結果をみると、パネルディスカッションに対する満足度が非常に高く、4機関共催によるシナジーを最大限に引き出せたのではないかなぁ、と思いました。

4 第3部(交流会・相談会)について

セミナーを開催した会場で、そのまま参加者と登壇者との交流会を、同刻に別会場で相談会を開催しました。

交流会場では、各登壇者のところに参加者が集まり、色々と個別に話を聞いているようで、各所で盛り上がっていました。

また、相談会場では、相談ブースを5つ設け、合計10件のご相談をお受けいたしました。相談会では、4機関がそれぞれ個別のブースを設けるのではなく、各ブースに日本公庫、保証協会、税理士、弁護士が同席して相談を受ける形をとりました。

守秘義務等の関係からブースの設置をどのようにすべきかについては悩みましたが、4機関で共催することによる相乗効果を最大限に発揮するため、上記のような形で行いました。

なお、相談の内容については、当初の予想どおり、ほとんどが融資に関するご相談でした(苦笑)。私も1枠担当させていただいたのですが、事業計画についての相談がメインでした。もっとも、その相談をお受けする中で、事業計画に潜在する法的リスクについて簡単にご説明したところ、非常に喜んでいただけました。

また、別のブースでは、パネルディスカッションを聞いて、契約書に関するご質問をされた相談者もあったようです。

個人的には、相談会も成功だったと思いますが、1枠の時間が30分しかないため、4機関が同席しても、各機関から十分な説明ができなかった部分もあったのではないかと思います。これは次回への反省としたいと思います。

5 最後に

当初、参加人数がどれくらい集まるか不安であった創業応援セミナーも、約40名(関係者を除く)の参加者があり、盛況のうちに終わることができました。

本セミナーを開催するにあたっては、多くの方にご協力いただきました。

特に、釜山地方弁護士会との交流会当日という非常にお忙しい時であったにも関わらず開会のご挨拶をいただきました作間功会長、執行部との橋渡しにご尽力いただいた内田敬子副会長、広報面での多大な援護射撃をしていただいた対外広報戦略PTの吉田純二先生、南川克博先生には、この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

当センターでは、今後も、創業支援を含む法的支援を通じて、中小企業事業者の方たちに、弁護士をより身近に感じてもらえるように努めたいと思います。みなさま、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2017年12月 1日

憲法リレーエッセイ 「加憲」をめぐる寒中問答

会員 永尾 廣久(26期)

トランプ君と大の仲良し

アベくんが得意そうに小鼻をひくひくさせます。
「トランプ君の来日をしっかり歓迎できて良かったね。日本の地位がますます高まったし、これで日本の平和も万全だよね」

「えっ、そうなの・・・」
ヒロくんはポカンと口を開けたまま首をかしげました。

「だって、何回も一緒にステーキ食べて話した日本の首相って、ボクが初めてじゃないかなあ。レストランにだって、同じ大統領専用車に乗っていったんだよ」
ヒロくんは首を元に戻しません。

「一緒に鯉にエサやってるときのボクをちゃんと見てれたかな・・・」
ヒロくんが、「ゴルフも一緒にやったんでしょ?」と言うと、アベくんの笑顔が少し曇りました。

「ゴルフ場でずっこけたんだってね」

「そんな嫌なこと思い出させないでよ。体操選手みたいに一回転して見事だったって、トランプ君はほめてくれたんだよ。それにプロと一緒に仲良く回れたしね」

「でもさ」とヒロくんは渋い顔をして問いかけます。

「北朝鮮の危機が目の前にあるから、その国難打開のために総選挙をやったわけでしょ。その直後に、何時間もゴルフ場にいて優雅にプレーするなんて、ちょっと矛盾してないかなぁ?」

アベくんは口を尖らせます。
「たまにはいいじゃない、たまにはさ。トランプ君だって日本でゴルフをやれて良かったと喜んでいたんだよ」

ヒロくんは納得せずに、次の問いを投げかけます。
「アメリカの大統領が羽田空港じゃなくて横田基地から入って出たって初めてのことなんだよ、どうして羽田とか成田を使わなかったのかなあ・・・」

アベくんは額に汗を浮かべています。
「だってさ、首都東京の守り手として横田基地があるんだから、便利でいいじゃないの。そんな小さいことなんか気にしないでほしいなあ」

北朝鮮を挑発してない?

アベくんは元気を取り戻したようです。
「北朝鮮って、ひどいことばっかりするじゃないの。こらしめてやんないといけないよね。お尻ぺんぺんのお仕置きが絶対に必要だと思うでしょ?」

ヒロくんは首を今度は反対側に大きく曲げました。
「でもさ、軍事的対応って危険なんじゃないかなあ?」

これを聞いてアベくんは右手を大きく突き出しました。
「そんな弱腰でどうするんだよ。無茶する連中には言ってきかせたってダメなんだ。ピシッと制裁して、やつらを抑え込む必要があるに決まってるだろ」

ヒロくんは、腕を組んで真向から反論します。
「だけど、北朝鮮がミサイルを日本に打ち込んできて、それが原子力発電所に当たったらどうするの?」

アベくんは、ふふんと鼻でせせら笑います。
「そんなことさせないために日本海にアメリカ軍の空母がいるんだし、日本の海上自衛隊もいるわけさ」

「でも・・・」ヒロくんは納得しません。

「たくさんの原発が日本海側にあるんだから、一斉にミサイルが飛んできて、そのどれかが当たったら、放射能汚染で日本はどこにも住めなくなるんだよ」

アベくんは突き出していた右手を左右に大きく振ります。
「大丈夫、大丈夫だよ。そのためにアメリカ軍から今度また最新式のF35も買うし、地上型のイージス機器も買うことになっているからね、心配のしすぎは、よほど健康に良くないよ」

ヒロくんは、ますます心配そうな顔になりました。
「F35って、アメリカでも欠陥機だって騒いでいるし、地上版のイージスシステムがあってもミサイルは妨げるはずはないもの・・・」

「いやいや」とアベくんは首を横に振ります。「心配しなくていいんだよ、アメリカがぼくらのバックについているんだからね」
ヒロくんは、まだ納得せず不満顔です。

「アメリカなんて、北朝鮮のミサイルは本土まで飛んでこないので安心しているんじゃないのかなあ・・・」

「加憲」って必要なの?

ヒロくんの目が輝きました。
「そうだ。アベくんは今の自衛隊は憲法違反だって考えているのかい?」

アベくんは、首を大きく左右に振ります。
「とんでもない。合憲に決まってるじゃないの、20万人もいる自衛隊が憲法違反のはずないよ」

「だったら、憲法をわざわざ改正する必要ないでしょ?」

「いやいや」アベくんは悲しそうに顔をしかめます。

「このあいだも言ったけど、日本の憲法学者が悪いんだよ」

「でもさ、憲法に首相は擁護する義務があるって書いてあること知ってるの?」

「ええっ、そんなこと憲法のどこにも書いてないよ、条文をよく読んでよ」
アベくんは得意気に鼻をうごめかします。ヒロくんはすぐに反論しました。

「憲法99条に国務大臣は憲法を尊重し擁護する義務を負うって、明記してあるんだよ」

アベくんはヒロくんにつきつけられた条文を指して勝ち誇ったように言い返しました。「ほら、首相って書いてないだろ」

Jアラートは何のため・・・?

「そんなことより、国を守るのがぼくの使命なんだよ」
こう言いながらアベくんは胸をはりました。

「Jアラートって、国民を守るために役立つかしらん?」
ヒロくんは小首をかしげています。

「ミサイルが飛んできて、その破片に当たってケガしたら痛いでしょ、だから机の下にもぐり込んだり、大きな建物のなかに逃げ込んで身を守るんだよ。何ごとも日頃から訓練しておいたほうがいいからね」
アベくんは、一人で、うんうんと満足そうです。

「だけど、北朝鮮のミサイルって、宇宙空間まで上がって太平洋に落ちたんでしょ。そんな訓練しても意味ないじゃないの」
ヒロくんは納得しません。

「いやいや、北朝鮮のミサイルは怖いって、みんなが実感できるところに大きな意味があるのさ。おかげで先制攻撃しようという声だって高まってきているから、ぼくはうれしいんだ」
アベくんは喜色満面です。

「ええっ、そのためのJアラートだったの・・・」
ヒロくんは、アベくんをきっとにらみつけます。アベくんは目をそらして、まずいことを言ってしまったな・・・と、声のトーンを落とします。

「なにしろ、国あっての国民だからね。それでいいじゃない。何が悪いのさ」
アベくんは完全に開き直りました。ヒロくんは、呆れたという顔をして、アベくんの顔を見つめます。

「国民の幸福とか安全が最優先のはずじゃなかったの・・・。軍隊が国民を守るためのものじゃないってことは、日本でも戦前の沖縄で壕に入った住民を軍人が追い出したっていうんで明らかだと思うよ」

「あれ、また、お腹の調子が何か変になってきたよ。じゃあ、これで失礼するね」
アベくんが足早に立ち去っていくのをヒロくんは腕を組んで見送ります。

転ばぬ先の杖(第37回) 契約書って重要!

法律相談センター運営委員会 副委員長 松尾 佳子(55期)

このコーナーは、弁護士会の月報を読まれる方に向けて、役に立つ法律知識をお伝えするものです。

■契約書を作らなくても契約は成立します

法律相談の際、例えば、「契約書がない場合でも契約は有効ですか?」と質問されることがよくあります。

原則として、書面がなくても契約の「申込」と「承諾」の意思表示が行われた時点で、契約は成立します。

もっとも、金銭消費貸借契約の場合には、実際に金銭の交付がなければ契約は成立しませんし、保証契約は書面等によらなければならない等の例外はあります。

■なぜ契約書を作成するの?

それでは、なぜ契約書を作成する必要があるのでしょうか。

(1) 契約内容の確認のために

契約は、書面がなくても、言葉で決めただけでも成立します。

ですが、言葉で決めただけでは、「いつ」、「どこで」、「誰が」、「何を」、「どのようにするか」等の取り決めを忘れてしまいます。複雑な取り決めは、契約した当事者本人でも正確に覚えることはできません。

そこで、契約の当事者が、自分がどのような内容で取り決めをしたか確認するために契約書を作成するのです。

契約内容を書面で定めておかなければ、契約の記憶が曖昧になり、言った言わないの争いになることは珍しくありません。

契約書を作成しておくと、言った言わないの争いを、ある程度未然に防止することができます。

(3) 証拠を作る

相手方との間で争いとなっても、契約書があれば、無用な争いを防止できます。

仮に裁判となった場合、契約書があれば、裁判所は、契約書を一つの証拠として、どちらの当事者の主張が正しいかを判断します。

ですが、契約書がなければ、証拠となるものがありませんので、自分の主張を根拠づけることが極めて難しくなります。

契約締結の有無、また、契約内容や合意事項を証明することができるようにするために、契約書を作成しておくのです。

この点、「契約書」という表題でなくとも「合意書」、「確認書」、「念書」など、合意内容を示すものであればよいです。

取引の相手に契約書の作成をお願いしにくいという場合では、証拠を残しておくという点から、単なる口頭合意ではなく、例えば、発注書に取引の条件を記載し、相手から承認を得ておくという方法もあります。また、メールやFAXを活用し、合意内容を証拠として残しておくと、将来証拠として役立つことがあります。

■契約書作成時の注意点

契約書を作成するとき、以下のことに注意しなければなりません。

  1. 契約当事者及び契約の目的が明確であること
  2. 文章ないし文言の意味が平易かつ理解しやすいものであること
  3. 内容が適正であること
  4. 当該契約類型における法律上の要件を満たしていること
■特に契約書を作成すべき契約について
(1) 損害賠償の危険がある場合

受任契約、業務委託契約、下請契約など、相手からの依頼で業務を行う場合には、依頼どおりに業務を履行しないと、相手から損害賠償を請求されることがあります。

(2) 無償でモノ・金銭等を譲り受ける場合

無償で相手からモノや金銭を受ける場合、相手方が心変わりする可能性がありますし、相手方の相続人と紛争が生じる危険があります。

(3) 自分が相手方を監督できない場合

たとえば、将来判断能力が低下したときに備えてする「任意後見契約」や、死亡後に効力が発生する「遺言」などは、相手が自分との約束をきちんと守ってくれているか、自分では監督できません。

以上のような場合は、特に契約書を作成すべき要請が高いといえるでしょう。

■弁護士等の専門家へ相談するかどうか

契約書作成について、弁護士等の専門家に相談、依頼するかどうかは自由です。

しかし、例えば、契約内容が定形のものであっても、過去に一度でも紛争が生じた経験のある相手方との契約であれば、弁護士等へご相談される方が無難な場合があります。また、契約内容が特殊ないし専門的なものであれば、定型的な書式では対応ができません。

少しでも契約内容に気になる点がある場合には、積極的に弁護士等の専門家へ相談されることをお薦めいたします。

■法律相談センターを積極的にご利用ください

弁護士会では各地で法律相談を行っています(事前予約制:ナビダイヤル0570−783−552(ナヤミココニ))。是非ともご利用ください。

「LGBTと制服」を終えて ~小石を置いていませんか?~

LGBT小委員会 委員 入野田 智也(69期)

1 はじめに

平成29年10月14日、西南学院百年館において、「LGBTと制服」と題したシンポジウムを、子どもの権利委員会とLGBT小委員会の共催で開催しました。福岡市教育委員会の名義後援も得て行ったこのシンポジウムは、結果として教師の方などをはじめ180人近くの方に来ていただけ、大成功のシンポジウムとなりました。

今回は、僭越ながら、シンポジウムの振り返りと今後の弁護士業務を行うにあたっての留意点について記載させていただこうと思っています。

2 LGBTと制服の問題とは

LGBTという言葉は少しずつ社会に定着してきており、弁護士の間でも少しずつ認知されてきているとは思いますが、おさらいとして確認しますと、LGBTとは、L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダーの頭文字をとったものです。しかし、現在では性的少数者を総称する用語としても用いられています。

LGBTと制服の問題ですが、性的少数者、特にトランスジェンダーにとっては、自分の自認する性と異なる性を前提とした制服を着用させられることが苦痛であり、自己を否定されているような気持ちを持つ方もいるという現状が有ります。性自認が男性の方は、無理やりスカートを履かされたらどうかを考えてみると分かりやすいかもしれません。

このようなLGBTを取り巻く制服の現状や、制服を男女で分けている学校の制度に問題意識を持ち、今回は「LGBTと制服」という題目でシンポジウムを行いました

3 シンポジウムの内容について

シンポジウムは、第一部がLGBTの子どもたちの交流会や電話相談などをしているFRENS代表の石崎杏理さんの基調講演及び実際に制服で悩んだ経験のある子どものビデオメッセージで、第二部は石崎さんに加え、佐賀大学教育学部の吉岡教授、福岡女子商業高校の柴田校長、そして当会の松浦弁護士の四名の方によりパネルディスカッションを行いました。

(1) 「小石の上」を歩く当事者

第一部は、日頃からLGBTの子どもたちの悩みを聞いており、自身も制服に悩んでいたトランスジェンダーである石崎さんにしか語れないであろう貴重な内容でした。講演では、LGBTの基礎的な知識から、当事者が普段の生活の中で周囲の人からいじめにあったり、自己の性自認とは異なる言動や格好を強いられたりと、たくさんの悩みを抱えていることをお話されていました。また、当事者は、悩みを相談したくても、相談する相手が理解してくれるのか不安でカミングアウトができず、誰にも相談できずに抱え込んでしまい、人付き合いをうまくできないという現状もあるとお話していました。

その講演の中でもLGBTの子どもたちが普段の生活の中で痛みを感じていることを、「毎日、裸足で小石の上を歩いている」という例えで説明していましたが、その例えはLGBTの子どもたちが普段の生活の中でいかに痛みを受けて傷ついているのか、傷ついている事自体が当たり前のようになってしまっているのかといった現状を的確に示していると感じました。

また、性別は女性であるけれども性自認は男性(いわゆる「FtM」)のビデオメッセージは、「制服を着る」ことが自分の性自認とは異なる「女性」というレッテルを貼られることになり、自己を否定されているような学生時代を過ごした当事者の苦しみを、鮮烈に伝えてくれました。制服を着なければ同級生から奇異の目で見られ、着たくないと訴えても教師にも分かってもらえない、そんな自身の痛み苦しんだ体験を生々しく語っているビデオメッセージであり、石崎さんが語っていた小石が実際にどのようなものなのかをよりリアルに教えてくれたと思います。

(2) 悪気なく小石を置く「鬼」になってはならない

石崎さんの講演でもお話がありましたが、多くの人は、知識がないがゆえ、知らず知らずに当事者の生活にこの小石を置いているのです。石崎さんの例えを借りれば、それまで「良い人」だったのが突然「鬼」のようになるそうです。

ただ、私たちには知識がない場合にどのように「鬼」になるかはわかりません。石崎さんは「牛乳アレルギー」を例えにこのことを参加者のみなさんに分かりやすく伝えていました。

牛乳アレルギーについての知識を全く持っていなかったとしたら、私たちは、「牛乳を飲めない」子に対して、何も理由を聞かずに「牛乳を飲まない」子だと思い、その子に対して、「わがままだ」とか言ってしまうかもしれませんが、アレルギーというものがあると言うことを知っていれば、この子はアレルギーなのかもしれないという思いに至ることができます。知っている人から見れば、アレルギーの子に「わがまま」だと言っている人は、鬼のような人だと思うことでしょう。

参加していた方の中には、石崎さんの話やビデオメッセージを聞いて、自らが、知らずにその小石を置いてしまっていることに気づいた人も少なくなかったのではないかと思います。私たち弁護士も、普段の法律相談の中で小石を置いてしまっている可能性もありますから、弁護士も最低限の知識を身に付けることは怠らず、「鬼」とならないように努めることが必要です。

(3) 個別対応すればよい?

第二部のパネルディスカッションでは、学校が男女を分けるシステムになっており、現在までに少しずつ改善をしているものの、未だに問題を抱えていることを確認することから始まり、シンポジウムの題目である「制服」に焦点の当てられた議論がなされました。

なお、制服は、着ることが強制されているように思っている人も多いですが、法令等で決められているわけではなく、正確には着用義務のない「標準服」だそうで、標準服をどうするかは学校長の裁量で決められているものだそうです。

パネリストの一人である柴田校長が現に取り組まれてきた「制服の選択制」はLGBT問題に取り組む際に、制服問題に限らない視座を与えてくれます。

柴田校長は、すでに福岡女子商業高校において、女子生徒がズボンを選択できるようにし、今なお制服がどのようにあるべきかを考えていらっしゃるとのことでしたが、そのきっかけは、人権研修会で石崎さんの講演を聞いたときに制服で悩む子どもがいるということを知ったことだったそうです。また、多くの生徒が自転車通学する姿を見て、「冬にスカートでは寒いのではないか」ということも考え、LGBTに対する配慮という面だけではなく、防寒の面からも制服の選択制を導入されたようです。

福岡女子商業高校では、制服をどうするかということは校長や教師に申告する必要はなく、その理由も問わない、つまりLGBTかどうかというのは無関係に制服を選べることにしているそうです。これを読んでいる方の中には、選択制ではなく、申告制にして個別対応すれば十分ではないかと考える人もいるかと思います。しかし、柴田校長は、この点について、制服を選ぶことでアウティング(自分が当事者だと表明すること)になる可能性を指摘し、アウティングを強いられてしまうのでは選択制にする意味が無いとおっしゃっていました。

柴田校長は、生徒に対しても、制服の選択制を説明する際にLGBTへの配慮であるということは言わず、制服の選択制を導入した理由について、「スカートでは寒いから」「ズボンのほうが動きやすいから」といった説明をしているそうです。

私たちは安易に個別対応でよいのではないかと思ってしまうこともありますが、個別対応では当事者の痛みは消えず、また小石を新たな小石にすげ替えただけになってしまう可能性もあります。しばしば聞く例えですが、LGBTの方々に配慮しますと言って、会社にLGBT専用トイレと明言したトイレを作ったとしたら、そのトイレを使うことは自分がLGBTだとアウティングすることになってしまい、それでは本当に使いたい人が使えないことになってしまいますよね。このような柴田校長の視点や配慮は、制服だけに限らず、LGBT問題やその他の人権問題を考えていくにあたって必ず必要な視点となるでしょう。

(4) LGBTに限らない「制服」の問題

今回のシンポジウムは、LGBTと制服という題目ですが、松浦弁護士からは制服の問題はLGBT当事者のみの問題ではないことや、日本が子どもの権利について十分な施策を取ってきていないことの指摘をいただきました。また、吉岡教授からは、名簿の順番や家庭科の授業の履修などで学校内で男女が分けられてきたその歴史を語っていただき、改善された点や残された問題点について指摘していただきました。

そして、石崎さんや柴田校長も制服の問題をLGBT固有の問題とは捉えておらず、このシンポジウムのパネリストの方々の共通認識として、男女を分ける学校の制度そのものへの問題意識があったと思います。

今まで当たり前のように男女を分けていた制度を取り除き、子どもが自分自身で選べる力を身につけることのできる制度にすることが子どもの成長につながるように思います。現に、柴田校長は制服を選択制にするにあたり、子どもの意見を取り入れ、子どもにどのような制服が良いかを考えてもらっているようで、子どもの主体性を育んでいるともお話されていました。

4 終わりに

今回は、LGBTと制服という題目でシンポジウムを行いましたが、前記のとおり、制服の問題はLGBTに限らない問題ですから、子どもたち一般の問題としても考えていく必要があります。そもそも、男子生徒は詰襟、女子生徒はセーラーにスカートというのは、昔ながらの価値観の押しつけであって、制服の選択制はやはり取り入れるべきであり、弁護士会としても、議論を深め、教育関係機関に働きかけていくべきではないでしょうか。来場者に対するアンケートでも、制服について、選択制を取り入れた方が良いという声がほとんどだったようです。

もっとも、制服をなくすということには反対の意見も少なくなかったようです。その反対の理由は、学校への同窓意識や貧困への配慮(私服が買えない人への配慮)というものがあったようでした。これらの意見については、様々な意見があると思いますが、必ずしも制服がないといけない理由にはならないように思います。

私は、「制服をなくすべきか」という制服ありきの問いを見直し、「子どもたちの成長のためには学校がどうあるべきか」という視点の中で、制服が子どもの成長に与える影響を語るべきだと思っています。石崎さんのアレルギーの話でもありましたが、今まで子どもたちの「わがまま」で切り捨ててきたものを、なぜ子どもが制服を着ないのがわがままなのか、子どもには制服を選択する権利があるのではないかということを弁護士が中心となって考える必要があるでしょう。

福岡の中では、義務教育において制服の選択制を取り入れている学校はほとんどありませんが、今回のシンポジウムには教育関係者の方々にも多くご参加いただきましたので、今後、教育関係機関がこの制服問題にどのように取り組んでいくのかは楽しみなところです。弁護士会の中でも、このシンポジウムを契機に「福岡市の制服を考える会」が発足しており、同会は今回のシンポジウムの結果に満足することなく、制服を含めた教育における子どもの問題により一層取り組む準備をしているので、私も微力ながらその一助となれればと考えています。

中小企業法律支援センターだより 福岡県信用保証協会との連携覚書の締結

中小企業法律支援センター 副委員長 碇 啓太(62期)

1 はじめに

去る平成29年9月25日、福岡県弁護士会と福岡県信用保証協会とが中小企業の法律支援に関して連携覚書を締結しましたので、ご報告をさせていただきます。

弁護士会と保証協会が中小企業の支援を目的として連携覚書を締結することは、九州では初の試みです(なお、他会では新潟県と神奈川県の弁護士会が保証協会と連携をしているようです。)。

同日、当会会長及び保証協会の理事長とで調印式が執り行われたのですが、多数の記者の方々にご列席いただき、また活発に質問がなされました。

さて、福岡県信用保証協会との連携の趣旨について、当会会員において共有をしておく必要があろうかと思いますので、記者発表の記事を引用しつつ、ご紹介させていただきます。

2 連携の趣旨

我が国の約380万の中小企業・小規模事業者は、事業者数や従業員数に占める割合、技術力等において我が国の経済や雇用の主要な担い手でありながら、これに対する法的支援が十分ではない現状があります。福岡県弁護士会は、全国に先駆けて平成22年4月に中小企業法律支援センターを開設し、中小企業支援のため、各機関・団体と積極的に連携する取組みを進めてきました。

一方、福岡県信用保証協会は、中小企業が金融機関から事業資金の貸付等を受ける際に「公的な保証人」となり金融の円滑化を図ることを目的として昭和24年に設立された認可法人で、「信用保証」による中小企業の経営の安定と繁栄及び地域経済の発展を基本理念として、中小企業の創業・ベンチャー支援、事業再生支援、事業拡大などに関わってきました。同協会の利用企業者数は6万1045社に上り、保証債務残高は8391億円となっています(平成29年3月時点)。

両者の連携によって、中小企業への情報提供やセミナーの共同開催などが活発に行われ、弁護士の存在を中小企業の経営者により身近に感じてもらうことができ、中小企業支援のさらなる充実が期待されます。

以上のような認識を前提として、福岡県弁護士会と福岡県信用保証協会とは、中小企業支援という一つの目的の下に、中小企業支援に関する連携覚書を取り交わす運びとなりました。

3 今後の具体的連携について

今後の具体的連携については、定期的に情報交換を行い、相互の担当者において協議をして、(1)中小企業への情報提供及びセミナーの共同開催、(2)相互の研修等への講師派遣、(3)地域における経済情報、動向等に関する情報交換、⑷その他中小企業の支援に寄与する事業などの企画を実施していく予定としております。

既に11月10日に、福岡市スタートアップカフェにて、日本政策金融公庫、福岡県信用保証協会、九州北部税理士会との共催で、創業支援シンポジウムを開催し、具体的な連携を深めていっております。

4 最後に(雑感的なもの)

これまで弁護士としては保証協会との関係では破産や債務整理のときに相手方という関係で関わることがほとんどでしたが、これからは中小企業の法的支援という側面において、相互に協力し、事前に中小企業の法的問題を発見・解決していくという協調関係を築いていくことになります。会員の皆様においても、今後の研修やセミナーなどの開催にあたっては、是非、積極的にご参加・ご協力を賜りたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。

紛争解決センター便り

紛争解決センター仲裁員 山内 良輝(43期)

1 紛争の発端

「景気が上向いてきたから、新しい工場を作ろうか。」小さな板金加工会社の社長(会社も社長もTと呼ぶ。)は、中堅建築会社の社長(会社も社長もAと呼ぶ。)に新工場(コウジョウではなく、コウバ)の建築を依頼し、契約を結んだ。

A社長は、小さな会社の頑張りに感銘を受け、スタッフに見積りをさせるのではなく、役員が自ら見積りに動くよう指示をした。

しかし、その後、T会社の資金繰りが急速に悪化したため、T社長は新工場の建築を断念して契約を解除したが、契約を解除した場合には実費を精算するという特約が存在していた。

「役員がこれほど奔走したのだから、役員報酬も当然、実費に含まれる。」A社長は、役員報酬を含む約92万円の支払をT社長に求めた。

「スタッフの給料なら実費かもしれないが、役員の報酬は実費ではない。支払うとしても10万円ぐらいだ。」T社長はA社長の請求を突っぱねた。

A社長の率直な心情は、実費精算の特約がある以上、役員報酬を含めて実費の支払を求めたいが、裁判までする気持ちではなかった。そのとき、当会の紛争解決センターの特徴を熟知するU弁護士がA社長に当センターの利用を勧め、A社長はU弁護士を代理人として本申立てをした。

2 第1回斡旋期日(平成29年6月20日)

「それぞれ言い分はあるが、実働の実損が生じているA会社の方にやや分があるように思われる。しかし、T会社の企業規模や支払能力を考えると、現実的な解決金額は少額になるだろうなあ。」私は、第1回斡旋期日で双方の言い分を聞いた上で、こう考えて、U弁護士に「出来る限り請求金額の半分に近づける努力をT社長にしてもらうが、実際の解決水準は2~30万円が精一杯であるように感じられる。」旨の感触を告げる一方、T社長には「できる限り請求金額の半分に近づける努力をしてもらうこと、支払能力を確認するために過去3期分の決算書と資金繰表を提出してもらうこと」をお願いした。

3 第2回斡旋期日(平成29年8月1日)

「税理士に相談し、40万円なら捻出することができました。」T社長の言葉は、私が想定していた解決水準を超えるものであり、T社長が提出した財務資料に照らしてみても相応のものであった。

「その金額であれば、お受けしたい。」U弁護士は、もともと当センターの手続の中で決着を図ることに重点を置いており、解決金額が少額になるであろうことについてA社長の理解を得ていた。

こうして解決金40万円を一括で支払うことで合意が成立し、本件は解決を迎えた。

4 雑感~ADRと調停の相違

私ども弁護士は、原告の代理人ともなり、被告の代理人ともなるから、対立する当事者の言い分にはそれぞれ尤もなところがあることを知る立場にある。多くの民事事件では、6:4ぐらいのところで優劣を争っており、事件によっては、55:45などのように優劣の差が僅少のものもある。この意味において、100:0で決着をつける判決より、割合的解決が適している事件は少なくない。裁判官が和解を強引に押し付けてくると私ども弁護士は感じることが時にあるが、裁判官が和解を勧めるのも割合的解決がよいからであろう。

私は、紛争解決センターの仲裁員を務めるとともに、民事調停の調停委員を(かつては調停官も)務めており、両者の手続上の長短について時に思いを巡らす。両者とも話合いの手続でありながら、調停の方が裁判所の権威を背景にしているので、法的な正義を大きく外れる解決はできず、強い説得ができる。もし、本件を調停の場で解決するのであれば、調停員(あるいは調停官)である私は、40万円ではなく、分割払いでもよいからもう少し大きな金額(例えば請求金額の半分)を支払うようもう少し強くT社長を説得していたように思う。しかし、これでは調停不成立になるだろう。これとは逆に、紛争解決センターは国家の権威を背景としていないので、強い説得には馴染まないが、その分柔軟性に富んでいる。期日の設定を例にとれば、解決を急ぐ事件であれば、第2回斡旋期日を第1回斡旋期日の3日後に設定することも可能である。このような柔軟な運用は調停では無理であろう。

今回の紛争解決は、調停ではなく、紛争解決センターをA社長に勧めたU弁護士のお手柄であろう。

2017年11月 1日

大連律師協会との交流会IN大連

会員 中村 亮介(63期)

9月21日木曜日から23日土曜日まで、中華人民共和国遼寧省大連市を訪れ、大連市律師協会との交流会を行いました。当会からは、作間会長をはじめとする県弁護士会執行部を中心に総勢20名が大連を訪問しました。

9月21日。13時10分、福岡国際空港に集合し、中国国際航空の飛行機で福岡を発ち、約2時間後に大連空港に到着しました。

当会訪問団が大連空港に到着すると、大連律師協会の副会長と劉挪先生がお迎えに来てくださっていました。

今回滞在するホテルは九州国際大酒店。このホテルの「九州」という表記とはまさに日本の九州をさしているとのことです。少し脱線しますが、もともと大連は1899年にロシアが開発を始めた都市で、当時はロシア語で「ダリニ」という名前だったそうです。その後日露戦争での日本勝利をきっかけに、1905年、日本に統治権が移り、日本が都市の名前を「ダリニ」から「大連」に変更しました。それから終戦まで、大連は日本によって開発が行われた都市で、今でも当時の建物が市街地に残っていますし、また市民も非常に親日的です。

さて話を訪問記に戻します。私たち訪問団は夕方17時30頃ホテルに到着し、その後、「天天漁港」という海鮮料理で有名な店で大連の美味しい料理に舌鼓を打ちながら明日の交流会に向けて団結を強めました。

22日金曜日。午前9時30分、ホテルを出発し「大連商城集団」を訪問しました。「大連商城集団」はかつて九州にもあった「マイカル」を買収した会社で、中国で「麦凯乐」(中国語で「マイカール」と発音します。)を運営しています。その経営理念は「无限发展无微不至」。日本語に翻訳すると「無限に発展し、至れり尽くせりのサービスを。」とでもいいましょうか。中国企業らしい経営理念ですね。。

続いて私たちは、日系の国際物流会社「捷尼克国際物流(大連)有限公司」を訪問し、その会社の総経理さんから、現在の事業状況についてお話を聞くことができました。

昼食後には、弁護士総数120名を超える「法大法律事務所」を訪問しました。その後、大連棒棰島酒店に移動して交流セミナーが開催されました。福岡側からは中原幸治先生が外国人の対日投資について、原隆先生が日本での外国判決・仲裁判断の執行について発表し、大連側からも独占禁止法に関する発表がありました。その後は晩餐会が催されました。大連の弁護士からたくさんの白酒を注がれ、歌や踊りも披露され、最後は福岡側と大連側とで「北国の春」の中国語版を歌って終わりました。その後カラオケに行きました。

23日は午前中に大連を発ち、昼過ぎには福岡に帰ってきました。

今回の訪問は前回の日程と比べて1日短い2泊3日コースで、大連の街をぶらりと観光する時間もなかったのが少し残念でしたが、私自身、無事に作間会長のご挨拶や原隆先生のセミナーの中国語通訳という役目を果たすことができてよかったです。

来年は大連の弁護士さんたちが福岡にやってくる番です。

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