弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物

2017年1月21日

ペンギンの楽園

(霧山昴)
著者 水口 博也 、 出版  山と渓谷社

 パンダも大好きですけど、ペンギンもまたいいですよね。
 旭山動物園の冬のペンギンの大行進をぜひ間近に見てみたいと思います。
 ペンギンと言えば、あのコウテイペンギンの子育てのすさまじさには泣けますよね。3ヶ月も飲まず食わずで、足の上でヒナを育てる。そして、極寒の地で、ブリザードを浴びながら身を寄せ集まって耐え忍んでいる光景なんて、まったく感動するしかありません。
海から帰ってきた親は、大勢のヒナ集団の中から、自分のヒナを声で見つけ出して、エサを与える。親が事故にあったら、ヒナは餓死するしかないのですね・・・。
 ジェンツーペンギンが大勢そろったところで、一斉に氷上に飛びあがるのは、氷縁に恐ろしいヒョウアザラシが潜んでいるから。危険地帯をみんなで一気に乗り越えようというのだ。
 アデリーペンギンが個体を減らすなかで、ジェンツーペンギンは圧倒的に個体を増やしている。その原因は、温暖化。雪による影響をアデリ―ペンギンは受けやすく、しかも、前シーズンに営巣した場所にアデリ―ペンギンはこだれるので、子育てがむずかしくなっている。
 ジェンツーペンギンは、場所のこだわりが少なく、エサにも融通性がある。
 ペンギン尽くしの楽しい写真集です。とても行き届いた解説があり、勉強になりました。

(2016年8月刊。1800円+税)

2017年1月16日

進化

(霧山昴)
著者 カール・ジンマー 、 出版  岩波書店

生物の進化に関する面白い興味深い話が盛りだくさんの大型本です。
ダーウィン・フィンチの写真があります。ガラパゴス諸島に生息するフィンチのくちばしが、こんなに異なっていることに驚かされます。ダーウィンは、これによってすべての生物は進化したのだと結論づけたのです。
人間が音を聞くのに使っている骨は、かつて人間の祖先がものをかむのに使っていた骨である。
化石から、鳥がどのようにして恐竜から進化してきたのかが分かる。羽は、恐竜の子孫たちが空を飛べるようになるはるか以前に、恐竜のからだに進化し、単純なトゲのようなものから、ふわふわした羽毛になり、最後には飛行中の動物を支えられるようになるまで、徐々に進化してきた。
羽毛をつくっている遺伝子は、もともとウロコをつくっていた。その後、皮膚の一部は、羽毛をつくるために使われるようになった。
光が眼に入ると、オプシンというタンパク質にぶつかる。オプシンは光受容細胞の表面にあり、それが光子をとらえると、一連の化学反応の引き金を引いて、光受容器が脳に向かって電気信号を送ることになる。
初期の眼は、おそらく明るいか暗いかが分かるだけの、実に単純な眼点にすぎなかった。ずっとあとになって、いくつかの動物に、光の焦点を合わせて像が結べる球状の眼が進化した。像が結べる眼にとって決定的に重要だったのは、光の焦点を合わせるレンズの進化だった。レンズは、クリスタリンとよばれる驚くべき分子でできているが、クリスタリンは、からだのなかでもっとも特殊化したタンパク質のひとつである。透明だが、入ってくる光線を曲げ、網膜に像が結ばれるようにする。クリスタリンは、また身体のなかでもっとも安定なタンパク質であり、その構造は何十年と変化しない。ちなみに、白内障は、老年期にクリスタリンが固まることで生じる。
古生物学者は、かつて存在したすべての種の99%が、この地球上から絶滅したと推定している。今日存在している昆虫のすべての料の50%が2億5000万年前にも存在していた。2億5000万年前に存在した四足(しそく)類のどのひとつの料も、現在は存在しない。
植物を食べる能力は、昆虫に大量の食料を提供する。植物を食べることが昆虫の多様性を爆発的に増やした。
動物はカンブリア紀に突然この地球上に降ってわいたのではない。進化してきたのだ。
鳥のメスは、単純なさえずりのオスよりも、複雑なさえずりを歌うオスを好む。カエルのメスは、夜間に小さな声で鳴くオスよりも、大きな声で鳴くオスを好む。
つがいを形成する鳥たちの多くは、見た目ほどには互いに対して忠実ではない。つがいを作っている鳥たちの巣にいるヒナのDNAを分析すると、しばしば、そのうちのかなりが、母親のつがいのDNAでないことが判明している。母親は、つがい相手以外のオスと交尾しているのであり、つがい相手は一生けん命そのヒナを育てている。
カモなどの水鳥の交尾の3分の1は強制交尾だ。ところが、望まれないオスが実際にヒナの父親になるのは、わずか3%でしかない。メスは、体内で精子をコントロールし、侵入者の精子よりもつがい相手の精子を優先させている。
夜の照明と飛行機による長時間の飛行は、ともにガンのリスクを上昇させる、ホルモン周期を撹乱させるからだろう。
学習した頭の良いハエは、15%も寿命が短くなる。より長く生存するのは愚かなハエのほうだ。うひゃあ、そ、そうなんですか・・・。
(2012年5月刊。5600円+税)

2017年1月10日

シマエナガちゃん

(霧山昴)
著者 小原 玲、 出版  講談社

これは可愛い。まさしく雪の妖精です。北海道でフツーに見られる小さな小鳥の写真集です。
シマエナガは北海道に暮らすエナガの亜種で、真っ白な顔ころんとした小さな体が特徴。
ほんとうに真白い、丸々とした小鳥です。つぶらな黒い目と小さな鼻があるだけ。まるで白いマシュマロです。
体の長さは14センチ。体重8グラム。日本最小の鳥。冬には樹液のつららをなめています。大好きなのです。
飛ぶときにはロケットのように!まさかと思いますが、羽を広げているのではなく、羽を閉じたまま昇ったり、降りたりする姿が写真にとらえられています。もちろん、羽を広げても飛んでいます。
冬のあいだは群れで過ごし、冬が終わるころにつがいになる。
シマエナガは、コケやクモの巣をつかって、木の幹の二又に分岐しているところに大きな卵形の巣をつくる。見た目は草や葉の塊のようになって外敵の目を欺く。
小さな卵を10個ほど産み、2週間でかえってヒナとなる。しかし、1年後まで生き残っているのは一羽か二羽ほど。エサがなかたり、冬の寒さに耐えられなかったり、タカや昆虫に食べられたりする。寿命は長くて3年から5年ほど。
それにしてもヒナたちが木の枝に一列に並んでいる様子は愛らしくてたまりません。
シマエナガは人里に近い環境を好むので、札幌の大通公園など、緑の多い公園や緑地で普通に見られる。
いやあ、こんな可愛い小鳥が身近に見られるなんて、北海道の人は幸せです。
今朝(12月28日)、この冬一番にジョウビタキを見かけました。御用納めの日に出勤する寸前の我が家の庭です。このジョウビタキも愛嬌たっぷりの小鳥で、可愛いですよ。
(2016年12月刊。1300円+税)

2016年12月 5日

ライオンは、とてつもなく不味い

(霧山昴)
著者 山形 豪 、 出版  集英社新書ヴィジュアル版

アフリカで育った日本人がいるのですね。そんな野生児は、現代日本社会では住みにくいと感じるのも当然です。その野生児は、大人になってフリーのカメラマンとして、主としてアフリカやインドで野生動物の撮影をしています。
被写体となった野生動物の表情が、みな生き生きとしています。カメラマンに向かって突進寸前のものまでいて、ド迫力満点です。
タイトルは、まさかと思いました。ライオンの肉を食べるなんて、そんなことはありえない。何かのたとえだろうと思っていると、なんと、本当にライオンの干し肉を食べたというのです。
家畜を襲ったライオンは害獣として駆除してよいという法律があり、駆除されたライオンは殺された牛の持ち主に所有権がある。毛皮は売って、肉は干して食用にする。味付けをしていないただの干し肉だったせいもあるかもしれないが、今まで食べたどの肉よりもマズかった。とにかく生臭いうえに、猛烈に筋っぽかった。
人間にとっては牛のような草食動物のほうが美味しいのですよね。肉食動物の肉は一般に人間の口にはあわないようです。
ライオンから人間が襲われる事故は決して多くはない。それは、そもそもライオンは総数4万頭以下と個体数が決して多くはないから。人と接触し、事故が起きる確率が低い。
これに対して、カバによる事故は多い。カバの気性が荒いというだけでなく、水辺を好むカバと人間とは接触する機会が多いからだ。
現実世界の「草食系」動物は、決して優しくもないし、おっとりもしていない猛獣たちなのである。
テントの周囲にライオンやハイエナがうろついていても、テントの中にいて寝込みを襲われたという話は聞いたことがない。テントを破って中身を食おうという気にはならないのだ。
しかし、テントのフラップを開け放して寝ていた人間がハイエナに食べられたというケースはある。
アフリカで食べられないように注意しなくてはいけないのは、ナイルワニ。カバの次に多くの人の命を奪う動物は、ワニである。
しかし、もっとも恐ろしいのは、なんといっても、人間である。他の動物にはない、悪意や物欲というものを持っている。しかも、刃物や銃をもっているので、危険きわまりない。
写真と文章で、しっかりアフリカの野生動物たちの生態を堪能できる新書です。東アフリカの野生動物の写真といえば、小倉寛太郎氏を思い出しました。『沈まぬ太陽』のモデルとなった人物です。小倉氏は大阪の石川元也弁護士の親友でしたので、その関係で一度だけ挨拶しました。大人の風格を感じました。
(2016年8月刊。1300円+税)

2016年11月26日

クモの糸でバイオリン

(霧山昴)
著者 大﨑 茂芳 、 出版  岩波書店

すごい話です。庭にいる普通のクモから糸を取り出し、それをより集めてバイオリンの弦にして音楽を奏でたというのです。
クモの糸だって体重100キロの人を吊り上げることが出来るのです。その話は、前に、著者の本で紹介しました。ところが、今度は、クモの糸が強いというだけではなくて、バイオリンの弦にすると柔らかくて深い音色を出せるというのです。
問題なのは、そのクモの糸をどうやって集めるのか、ということです。クモがカイコのように簡単に糸を吐き出してくれるとは思えません。その涙ぐましい努力の過程が、この本で紹介されています。
いったい、著者は何を職業としているのでしょうか・・・。医学部の教授ですが、医師ではなくて、生体高分子学を専門としています。そんな著者が40年間にわたってクモの糸の性質を調べてきた成果が結実したのです。著者は、私より少しだけ年長の団塊世代です。心から尊敬します。
クモは世界に4万種いて、日本には1500種いる。
日本のクモの半数は、獲物を探し歩く徘徊性のクモ。残る半数が網を張って獲物を獲る造網性のクモ。
クモの糸の縦糸は巣の骨格をつくり、粘着性はない。粘着性があるのは、横糸だけ。横糸には、粘着球が等間隔にくっついている。
クモから糸を取り出すには、クモが元気な状態でないといけない。ところが、クモはヒトの足元を見る。優しく扱っても、それが過ぎるとなめられてしまう。厳しすぎると、へそを曲げて、言うことをきかない。
クモの糸の第一の特徴は、非常に柔らかく、曲げやすいこと。
クモの糸を弦とするバイオリンで、「荒城の月」や、「アメージンググレース」を著者がひいている様子がネットで公開されているそうです。いやはや、たいしたものです。あくことなくクモの糸に挑戦して立派な成果をあげられたことに心から敬意を表します。
(2016年10月刊。1200円+税)

2016年10月24日

僕の日本みつばち飼育記

(霧山昴)
著者 安江 三岐彦 、 出版  合同フォレスト

日本みつばちを飼うって、やさしいようで、やはり大変なんだと思いました。
日本みつばちは、在来固有種の野生の蜂だ。小ぶりで、おとなしい。
いま、日本みつばちは、洋蜂が闊歩する蜜源花のすき間を細々と、それでも粘り強く生きのびている。日本みつばちの飼育は、簡単だという人もいれば、むずかしいという人もいる。どちらも正しい。
野生蜂は、分蜂させて群を増やすに限る。分蜂は、春の4月だ。分蜂とは、新女王が生まれる前に、女王蜂が半分の蜂を連れて巣を出ること。そして、新たな場所で営巣を始める。その群を飼育箱に捕り込むことで飼育箱が増やせる。
日本みつばちは、気分を害すると、次の営巣場所へ逃去する。これは洋蜂にはない特異な性質。同じ場所で我慢するよりも、新しい場所でやり直すほうを選択する。日本みつばちは逃去性をもつ蜂なので、永住する気はない。
分蜂は突如として始まるというものではなく、その兆候がある。
分蜂は、5000匹とか1万匹といわれる蜂の子分かれの引っこし乱舞である。
分蜂から蜂球に固まるまで、30分間もかからない。
日本みつばちは、毒性も弱く、おとなしいが、群が攻撃モードのスイッチを入れると危ない。
巣箱のなかにセイヨウミツバチは3~5万匹いる。それに対して日本みつばちは、その半分が、多くても2万匹。そして、日本みつばちの蜜の生産力はセイヨウミツバチの1割ほどでしかない。だからこそ、日本みつばちの蜂蜜は3倍強の値段がついている。
日本みつばちの女王の寿命は、自然界では2年か3年。3年生だったら、夏に寿命を迎える。
セイヨウミツバチは、4キロも飛行するが、日本みつばちはその半分ほどしか飛べない。セイヨウミツバチは、12キロ平方キロを訪花する。日本ミツバチは、その4分の1、3キロ平方メートルしか訪花できない。
セイヨウミツバチの集蜜能力は日本みつばちの能力に比べて桁違いに高い。群勢で花畑にやってきて、日本みつばちを追いやる。
日本みつばちの天敵は、ツバメやスズメ、そしてクマ。ところが本当に怖いのはセイヨウミツバチだ。
日本みつあちをきちんと保存したいものです。ともかくハチがいなくなったら、人類の生存だって危ないのです。たかがハチなんて、軽蔑してはいけません。楽しい日本みつばち飼育の本です。
(2016年8月刊。1600円+税)

2016年10月17日

外来種は本当に悪者か?

(霧山昴)
著者  フレッド・ピアス 、 出版  草思社

何が外来種なのか、そう簡単な話ではないということを、この本を読んで知りました。
自然はたえず流動しており、不変の生態系など、ほとんど存在しない。どこに生息しようと、そこは仮の宿でしかなく、あらゆる生態系はたえず変化していて、地質学的な偶発現象の犠牲になる生き物も多々ある。
セイヨウミツバチを、ほとんどのアメリカ人は在来種と信じている。しかし、イギリス人が17世紀にアメリカに巣箱を持ち込んだもの。つまり、意外にも外来種なのである。
スノードロップは我が家の庭にも春に咲いてくれます。これがイギリスの花かと思っていると、16世紀にフランスのブルターニュ地方から園芸植物として入ってきて、すぐに野生化したものなのだ。
熱帯には手つかずの自然がそのまま残っているというのは神話でしかない。実は、どんなに深い密林にも、数千年前から人間の手が入っていた。手つかずの自然というより、放棄された農園なのだ。昔、熱帯雨林でも、偉大な文明が繁栄していた。
自然はぜったいに後戻りしない。前進するのみ。たえず更新される自然に、外来種はいち早く乗り込み、定着する。
外来種の侵入は人間にとって不都合なこともあるが、自然はそうやって再野生化を進行させている。それが、ニュー・ワイルドということなのだ。
私たちの素朴な思い込みは、案外まちがっているということのようです。
たとえば、ひところセイタカアワダチソウが危険な外来種として日本全国で話題となり、躍起になって、その絶滅を目ざしていましたよね。ところが、今では、ほそぼそと生き残るだけで、かつての勢いはどこにも認められません。それは、ひところの絶滅運動の成果ではなく、自滅システムが作用したからのようです。
先日、わが家の庭に固くなった古パンをまいていると、真っ先に見つけてやってきたカササギを三羽の黒光りのする太いカラスが追い払ってしまいました。このカササギは朝鮮半島からの外来種とされていますよね。ところが、ヨーロッパに行くと、列車の車窓から田んぼにカササギを普通によく見かけます。自然って、偶然と必然が交互に起きるものでもあるのですね・・・。
(2016年8月刊。1800円+税)

2016年9月26日

花の品種改良の日本史

(霧山昴)
著者  柴田 道夫 、 出版  悠書館

 私の数少ない趣味の一つは、ガーデニングです。野菜にはあまり挑戦せず(たまに、ジャガイモとか玉ネギを植えつけます。アスパラガスは植えっぱなしです)、もっぱら四季折々の花です。
といっても、秋のコスモスは何年も前にあきらめました。花は美しいのですが、後始末が大変なのです。根が太くて、地面にへばりついていて、掘り下げるのに手間を要します。そして、植えつけのとき、育ちざかりに夏の日照りにあったり、台風でなぎ倒されたりして、何度も泣きました。
同期の妻波弁護士(島根)からもらったボタンの花は、5年か6年ほど、咲いてくれましたが、ついに枯らしてしましました。ハナミズキも気品ある美しさに魅かれていましたが、いつのまにか枯れました。美人薄明というと、私の世話の足りなさを棚に上げているようで、申し訳ない感じです。それでも、私の庭には四季折々いろんな花が咲いてくれます。それをデジカメで撮って私の個人ブログで紹介するのも楽しみの一つなのです。
 この本は、日本で育っている花が、いかに品種改良されてきたのか、たくさんのカラー写真とともに紹介していますので、花好きの私にはこたえられませんでした。
 花が美しいな、いいね、この花と思うときには、その名前はもちろんのこと、原産地はどこで、今の色と形になるためには、誰が、どんな苦労をしてきたのか、その故事来歴も知りたくなりますよね。それにぴったりこたえてくれる本です。
 そして、花の品種改良という点では、江戸時代の日本人が多大なる貢献をしているのですよね。驚くばかりです。
現在、日本は、世界の中でもオランダやアメリカと肩を並べるほど、花の生産消費が盛んな先進国になっている。
 軍事面でアメリカと並んだなんて言われても、ちっともうれしくありませんが、こんな評価を知ると、うれしくなります。
 チューリップは、16世紀になってトルコからオランダに入って栽培が始まった。もともとのチューリップの故郷は、カザフスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア。チューリップが日本に渡来したのは、江戸時代も末期の1863年2月のこと。しかし、日本でチューリップが植付けられるようになったのは、明治時代後期にオランダから輸入されてから。
チューリップには、800種類ほどあるが、日本では、半分の400品種しか栽培されていない。品種改良し、育成するには、20年という努力と資本を要する。
チューリップをタネから育てるのは大変なことで、私は、毎年、球根を買い求めています。
ハナショウブは、アヤメ科アヤメ属。ノハナショブは黄色、アヤメは縞目模様がある。カキツバタは、白く先が尖る。キショウブをふくめて、いつも混乱させられます。
肥後ハナショウブは、細川の殿様(斉護・なりもり)が育てたのでした。それで庶民も楽しめるようになったのです。その豪華絢爛さに、人々は圧倒されたのでした。
毎年6月、熊本地裁玉名支部に行くと、肥後ショウブが近くの高瀬川の川べりに沿って咲き誇っているのをタダで見ることが出来ます。それは見物(みもの)です。
見て楽しく、読んで面白い花の本です。
(2016年6月刊。4800円+税)

 宮﨑に出張し、フレンチ・ビストロに二晩続けて通いました。残念ながら美女同伴とはいかず、カウンターで一人寂しく美食とワインを味わいました。20人も入ったら満員という小さなビストロです。シェフが一人、補助の女性と給仕担当の女性の三人で、大勢の客の注文をテキパキこなしていくのも小気味よいものでした。
一晩目はシェフのおまかせコースにしました。ここは宮﨑牛のなかでも特別な尾﨑牛を扱っています。魚介のテリーヌには生ホタテが入っています。そして牛頬肉は赤ワイン煮込みでした。
 二晩目は、おまかせコースに出てこなかったものを注文しました。コラーゲンのソテーは、尾﨑牛のホルモンです。そして、自家製ソーセージとチョソリは、香料たっぷり。最後にトマトハーブの煮込み。尾﨑牛のミノ・センマイ・ハツそしてアカセンが入っていて、まるでポトフのよう。野菜もたっぷり入った健康食でした。
 久しぶりにキールロワイヤルをいただきました。カオールは次の機会の楽しむことにしましたので、またぜひ行きたいと思います。「直樹」というお店です。

2016年9月24日

鳥の不思議な生活

(霧山昴)
著者 ノア・ストリッカ― 、 出版 築地書館 

わが庭のスモークツリーの木にヒヨドリがいつのまにか巣をつくっていたところ、へびに襲われ、二羽のヒナが哀れ生命を落としてしまったことは、前にこのコーナーで報告しました。
今度は、キンモクセイの大きな木にドバトが巣づくりを始めたのですが、こちらは、どうやら中止したようです。姿を見かけなくなりました。鳥たちの巣づくり、そして子育ても大変のようです。
ハトの帰巣能力を利用した鳩レースは、普通150キロから300キロの距離。ハトは、ニワトリよりも早く5000年前にメソポタミア付近で初めて家畜化された。紀元前1000年には、エジプトは伝書鳩を訓練していた。
チンギスハンやユリウス・カエサルなどは、ハトを長距離通信に利用していた。
第一世界大戦中には、50万羽のハトが連合軍によって使われた。
ハトの二つ鼻の穴には、目に見える違いがある。海や気流が起こす低周波音(可聴下音)を感知して、それに応じて方向を定めている。
ハトはかなり社会性があり、空中で階層的な序列を維持している。
ムクドリは、夜になると集まる習性をもち、夏の終わりには数十万羽にのぼることがある。夕方、眠りにつく直前、ムクドリは、ねぐらの上空を集団で時には1時間以上も巡回する。
スズメも似たような行動をとっていますよね。夕方暗くなる寸前、駅前の街路樹に大集団が集まって、うるさいほど鳴きながら、枝から枝へ飛びまわっているのを、よく見かけます。
コンドルは細菌だらけの死骸を食べても病気にならない。コンドルの胃は炭疽菌の芽胞を悪影響を受けることなく処理し、殺菌できる。ボツリヌス菌に汚染された死骸を食べても菌を殺し、免疫系は菌の出す毒素に対処できる。ウィルスを含んだ死骸を無毒化することがコンドルには可能だ。
コンドルが、重大な病原体や毒素をどのように処理しているのか、それを正確に解明できれば、それを人類に応用できれば、伝染病の予防に大きな意味があるだろう。
ガスパイプラインが漏れると、ヒメコンドルの集団が、すぐにその真上に集まってくる。
ハチドリは、世界でもっとも小さな鳥だ。体重がわずか1.8グラムしかない。小さな温血脊髄動物だ。
ハチドリは、ほとんど捕食者に襲われない。あまりに小さくて動きが早いので、捕食者が規にもとめないのだ。
ハチドリは、物理的可能性の瀬戸際で生きている。ハチドリは、他の鳥に比べて、体温を保つためだけでも体重の割りにたくさん食べなければいけない。ハチドリは、体重との割合では、鳥のなかで最大の心臓をもち、動物のなかでもっともはやく鼓動する。人間の最大心拍数の6倍以上だ。
ハチドリは、夜にはエンジンを切って体幹部のエネルギー消費を、死ぬ寸前の休眠状態にまで下げる。眠っている時は仮死状態にある。
ニワトリは、大きく成長するにつれ、攻撃性が増す。初めニワトリは、食用としてではなく、闘鶏のために家畜化された。
書名のとおり、不思議な能力をもち鳥たちの興味深い話が満載の本でした。
(2016年1月刊。2400円+税)

2016年9月12日

鳥の行動生態学

(霧山昴)
著者  江口 和洋 、 出版  京都大学学術出版会

 このところ我が家の庭にハトの出没が目立ちます。どうやら金木犀の木に営巣しようとしているようです。小枝を口にくわえて飛んでいく姿をよく見かけます。少し前には、スモークツリーの木にヒヨドリが巣をつくって子育てしているのをヘビに狙われ、ついに2羽のヒナがヘビのエサになってしまいました。ヒヨドリが巣をつくっているのに気がついていなかったので、ヘビ接近で警戒態勢に入っているのを見ても、何だか今日は騒々しいなと他人事(ひとごと)みたいに構えていたので、気がついたときには遅かったのです。
 鳥が恐竜の仲間だなんて、信じられませんよね。あの巨体で地球を支配していたのに、その仲間の子孫が空を飛んでいるなんて・・・。
イモ虫が蝶になって軽やかに空を飛ぶのも想像を絶しますが、同じようなものです。
鳥類の一夫一妻は、全体の9割を占める。ところが、鳥類には、つがい外交性が認められる。つがい外交性とは、社会的なペアの絆があるにもかかわらず、ペアの片方または両方がペア以外とも交配する、遺伝的には乱婚の一種である現象をさす。
 一夫一妻の鳥類の90%以上がパートナー以外との子供を残していることが判明した。これは、過去40年間の鳥類学のなかでも、もっとも大きな発見の一つ。この発見は、鳥のDNA研究がすすんだことによるものです。90%というのは、人間の浮気による子供の比率より、さすがにはるかに高い比率だと思います。
 鳥類1万種のうち、100種(1%)が絶対的托卵鳥。親が他の種の鳥に子育てを託すというのです。それがうまくいくために、卵の色や模様を似せている鳥がいるのです。
多くの鳥類は、なぜか色鮮やかな卵を産む。しかし、真っ赤や黄色の卵はない。青字や緑色の卵は多い。
 鳥はエサをとるためにいろんな工夫をしている。なかには道具までつくっているし、固い石をつかって、食べやすいようにしている。ニュージーランドのカレドニアガラスは先端にフックのある道具をつくり出して、エサをとる。ミヤマガラスは針金を曲げて加工し、虫の入ったバケツを釣り上げるのに成功した。
シジュウカラは、カラスへの警戒音を聞くとヒナは巣のなかでうずくまる。ヘビへの警戒音を聞くと一斉に巣を飛び出す。
 鳥に関する地道な研究の成果が、豊富な写真とともに一冊にまとめられています。
(2016年3月刊。3200円+税)

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