弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
生物
2017年4月23日
みつばち高校生
(霧山昴)
著者 森山 あみ 、 出版 リンデン舎
長野県富士見高校には全国でも珍しい「養蜂部」がある。そこで飼っているハチは外来種の西洋ミツバチではなく、日本在来種の日本ミツバチ。
そして、創立以来3年目にして全国大会で優勝したのでした。快挙というほかありません。
全国大会というのは、日本学校農業クラブ全国大会です。いわば農業甲子園なのです。そこで発表した報告のタイトルは、「ニホンミツバチで笑顔広がるまちづくり」です。
富士見高校は、長野県の諏訪地方にある、全校生徒300人という小さな高校です。
ミツバチは、女王蜂を中心とした集団生活を営んでいる。春から夏にかけて群れの中に働き蜂が増え、巣が手狭になると、女王蜂は次に女王となる卵を産む。そして、これが孵化する少し前に、半分の働き蜂を連れて別の場所へ飛び去る。これがミツバチの巣分かれ、分蜂(ぶんほう)である。養蜂家は、分蜂した群れを捕まえて、群れを増やす。
もし、地球上からハチがいなくなると、人類は4年以上は生きていけない。世界の農産物の3分の1が昆虫による受粉によって成り立っている。そして、昆虫の8割をミツバチが占めている。
日本ミツバチは、昔から日本に生息する在来種。気性はおとなしく、寒さや病気に強い反面、巣の環境が気に入らないと、集団で逃げてしまう。これを逃去(とうきょ)という。
日本ミツバチは、人間が家畜として飼いならすことはできない。そして、日本ミツバチは西洋ミツバチと違って売られていない。
日本ミツバチの群れには8千から1万匹のハチがいる。働き蜂の寿命は、およそ4週間。
日本ミツバチから蜜をとるのは年に1回だけ。西洋ミツバチのようにたくさんはとれない。
一匹のミツバチが一生かかって集められる蜜の量は、ティースプーン1杯ほどでしかない。
農業甲子園に出場し、優勝の栄冠を見事勝ちとるまでの苦難の日々がよく紹介されています。ブラスバンド、チアダンスそして養蜂と、日本の高校生も捨てたものではありません。そして、指導した教師の粘り強さにも頭が下がります。心から拍手を贈りたいと思います。
(2016年3月刊。1500円+税)
2017年3月21日
はたらく動物と
(霧山昴)
著者 金井 真紀 、 出版 ころから
読んでいると、ほんわか心の温まってくる本です。生き物って、みんな人間と変わらないんだなって思わせてくれます。
盲導犬にふさわしい犬の特性の一つに、寝るのが大好きなこと、というのがあって、驚きました。
エネルギーが多い犬は、かまってかまってと人間に甘えてくる。かまってやらないと、わざと注意をひこうとして、悪さをする。人間が忙しくしているときには、黙って寝ているような犬のほうがいい。ただし、「かまってかまって」のタイプの犬であっても、それにきちんとこたえられるユーザーなら、相性がいいことにはなる。
なーるほど、そういうことなんですね・・・。
馬と仲良くなる方法・・・。いきなり馬に近づいてはいけない。距離を保って静かにしていると、馬のほうから気がついて、「ふむ?」とサインを出してくる。それから近づく。馬に向かってちゃんと頭を下げて挨拶し、鼻先に手をさしのべて自分の匂いをかいでもらう。そうすると馬と仲良くなれる。
鵜飼の鵜は、茨城県の太平洋岸で生けどりされたウミウ。25年ほど生きる。死ぬ間際まで仕事をする。若いときには片足で立てる鵜が、年をとると両足で立つようになる。そして、最後の最後は立てなくなってしゃがむ。しゃがむと食欲がなくなり、それから1週間で死ぬ。
野生の鵜が連れてこられたら、籠のなかに入れて、毎日、2、3回は頭からお尻まで全身をなでてやる。人間との触れあいを毎日やって、3ヶ月たち、4ヶ月目に籠から出す。そして、ほかの鵜の仲間に入れる。
昔は飛べないように羽の筋を切っていたが、今は切らない。それでも飛んで逃げていくことはない。鵜飼の仕事を鵜は楽しんでいる。
鵜は、二羽がペアを組んで生活しているが、つがいではない。京都で卵からヒナがかえったときにはビッグ・ニュースになった。それほど、子は産まれない。だから、毎年、野生の鵜を捕まえる。
長野県には猿害対策のために飼われている犬たちがいる。
モンキードッグという。全国23都道府県で、351頭ものモンキードッグが活躍している。このため、法律改正までされている。モンキードッグは猿だけを追い払い、猫や鶏は追わない。これは繰り返しの訓練のたまもの。ほめるのと気合い。この二つがとても大切だ。
人間と一緒に、いろんな動物が生きて、役に立っているのですね。興味深い本でした。
(2017年2月刊。1380円+税)
2017年3月13日
新たな魚類大系統
(霧山昴)
著者 宮 正樹 、 出版 慶應義塾大学出版会
著者は小学生のころからヘラブナ釣りに凝っていて、高校のときには学校を休んでまでも釣りに出かけていたほど、魚が好きだったそうです。
私は小学生の低学年のころは、一人ででも遠くのレンコン堀へザリガニ釣りに出かけていました。高学年になると、大川の叔父の家の周囲のクリークでヘラブナ釣りをしていました。静かな水面を見つめていて、浮きがピクピクと沈む様子は、夜、布団に入ってからも脳裏から離れないものです。弁護士になってからも、しばらくはマイカーのトランクに釣り道具を入れておいて、柳川のクリークで釣りをしていたことがありました。それほど当時はヒマだったのです。
子どもたちが小学生のころには、自宅のすぐ近くの小川で釣りの手ほどきをしたのですが、教える師匠より教えられる子どものほうが何匹も釣り上げてしまい、面目を喪ったこともありました。まあ、子どもに自信をつけさせて良かったとは思いますが・・・。
この本には、魚のDNAを比較解析することによって、系統関係を解き明かす「分子系統学」の成果が紹介されています。
魚は3万種を優に超す。5億年もの太古の昔に存在した唯一の祖先種から、種分化と絶滅を繰り返して現在の3万種に進化したのだ。
たった一つの祖先種が5億年かけて今の3万種の魚になったとは、そしてそれが判明したとは、すごいことですよね。
一般に魚類(さかな)と呼ばれている生きものは、脊椎動物の初期進化で水中生活から脱することのなかった、由来が異なる4つのグループの寄り合い所帯にすぎない。
①顎をもたない無顎類(ヤツメウナギやヌタウナギの仲間)
②中軸骨格が軟骨からできている「軟骨魚類」(サメやエイ、ギンザメの仲間)
③各鰭の鰭条がよく発達した「条鰭類」(ほとんどすべての魚)
④肉鰭類(シーラカンス、ハイギョ)
これら4つのグループの進化的な由来は大きく異なっている。
ウナギの祖先は深海魚である。日本列島に分布するメダカにはキタノメダカとミナミメダカと二種いる。
おサカナくんではありませんが、魚好きの人には魚とは何かを考えさせてくれる、欠かせない本です。
(2016年10月刊。2400円+税)
2017年3月 6日
ニワトリ
(霧山昴)
著者 アンドリュー・ロウラー 、 出版 合同出版
ニワトリが必要とする土地、水、投入エネルギーは、豚や牛よりも少ない。900グラムの飼料で450グラムの肉をつくり出す。これより効率のいいのは養殖サケのみ。
ニワトリは万能生物だ。さまざまな品種をつくり出すことが出来、雑多な餌を食べ、各地の気候に適応し、狭い土地でも飼うことができる。ニワトリに必要なのは保護する小屋だけで、台所の残飯や庭のゴミで生きのびられる。エサにも人手にもお金がかからなかった。
鶏肉は豚肉や牛肉より風味を付けやすいので、ファーストフードにぴったり。
2012年、アメリカのタイソン社の売上高は3000億ドルをこえ、週間生産量は60の工場で4000万羽を突破した。ブロイラー・ビジネスはアメリカの内外で活況を呈している。
少なくとも4000年前にニワトリは家畜化されていた。インドとパキスタンで骨と文字情報が発見されている。はじめ、ニワトリは食料としてではなく、魔術的な力に対する信仰の対象だった。人々は肉や卵を食べていなかった。農業が出現してから、人々は次第にニワトリを食料として利用しはじめた。
アメリカ人は、世界平均の4倍の量の鶏肉を食べている。
ニワトリは、人間とニワトリの顔を思い出して、以前の経験にもとづいて、その相手に対応することができる。好きなメンドリを見かけたオンドリは、精子の生産量が急に増加する。これって、どうやって計測したんでしょうかね・・・。
ニワトリは地球上に200億羽以上、生息しているが、バチカン市国と南極大陸にはいない。南極では、ペンギンを病気から守るため、生きたニワトリも生の鶏肉も輸入を禁じられている。
ニワトリは、鳥と人間のあいだを循環し続ける病気に対するワクチンの主な供給源となっている。
ニワトリの原生種は、ミャンマーのセキショクヤケイ。ニワトリは、東南アジアに起源があり、そこからアジアの他の地域へ、さらに世界中へと広がっていった。
私が小学生のころ、わが家でも狭い庭に小屋をつくってニワトリを飼っていました。ニワトリのエサにする野草を野原に採りに行き、また、貝殻をつぶして食べさせていました。そして、父がニワトリの首をちょん切って、腹を割いているのをそばで見ていました。卵の生成過程に見とれたことを覚えています。
弁護士になってから、鶏肉生産工場で働く依頼者から、生きたニワトリを殺すことに耐えられないという話を聞いて、なるほど、生きたものを毎日、毎日、殺生するのは辛いものだろうと思いました。そうは言っても、鶏皮は昔も今も私の好きな焼鳥です。
ニワトリをいろんな角度で紹介している本です。
(2016年11月刊。2400円+税)
2017年2月20日
BABY
(霧山昴)
著者 アンジェラ・セレナ・イルドス 、 出版 日経BPマーケティング
動物の親子の生き生きとした表情が見事に撮られている写真集です。
人間の赤ちゃんも可愛いですが、動物の赤ちゃんはみんな愛くるしいばかりです。
ヌーの赤ちゃんは、生れ落ちて5分後には立ちあがり、翌日には大人たちとあまり変わらないスピードで走る。ヌーは、危険一杯のアフリカのサバンナで生きているため、捕食者のえじきとなる危険を少しでも少なくするため、メスが一斉に妊娠し、出産する。
ゾウの妊娠期間は22か月。出産のときには群れのメスたちが助産婦のように集まり出産を見守る。そして、赤ちゃんが生まれると、胎盤を取り除いたり、砂浴びをさせて立ちあがるのを助けたり、いろいろ世話をして、産後の母ゾウに休息の時間を与える。
ホッキョクグマの母グマが子どもの世話をするのは2年半。オス(父親)と一緒にいるのは、わずか1週間だけ。
ニホンザルの子育てはメスの役目だが、オスも手伝う。
ヒョウのメスは、ほかのメスの子育てを手伝うことがある。
ブタは家畜として飼われていても、なわばり意識が強く、群れをつくりたがる。メスはそれぞれの子どもをつれて、階層社会を構成し、オスは単独で行動する。
動物の子どもにとって、遊びは成長がもたらす爆発的なエネルギーを解消する安全弁であり、自分の能力を試し、限界を知るための場でもある。そうした知識と意識は今後の生活で大いに役に立つ。
子ゾウは2年以上も母乳を飲みつづけるが、生後5ヶ月から植物も食べる。
好奇心は、未知の物を知りたいという欲求であり、外の世界に慣れしたしむために自然が与えてくれた大切な手段だ。好奇心を抑えきれずに行動してしまうのは、幼い生き物の特徴でもある。これに対して親は愛情をもって接しなければいけない。
動物の子どもが眠っている様子をじっくり観察してみると、夢をみていることがはっきり分かる。それは、動物にも心のあることが実感できる瞬間だ。
とても癒される写真集です。図書館で借りて(なければ注文して下さい)でも、ぜひ手にとって眺めてほしい、とても素敵な写真集です。
(2016年12月刊。2900円+税)
各地から梅のたよりが聞こえてきます。わが家の庭でも小ぶりの紅梅と白梅が満開です。そのうち梅の実をつけてくれることでしょう。
映画「この世界の片隅に」をみました。心に沁みいる、とてもいい映画でした。市民のささやかな生活が戦争によって無惨にこわされていく状況が描かれています。
庶民の日常生活の様子がアニメでよく再現されています。そして、戦争というのは徐々に忍び寄ってくるものだということも実感させられました。アベ政治の暴走をなんとかして止めないと、いまの日本の平和も守れなくなってしまうと、孫の顔を思い出して、涙したことでした。
2017年1月30日
熊に出会った、襲われた
(霧山昴)
著者 つり人社書籍編集部 、 出版 つり人社
山でツキノワグマに出会った人たちの体験談と、その対策が刻明に語られていて、勉強になります。
山でクマに会ったら、うしろ姿を見せて逃げ出してはいけないのですね。頭では理解できますが、果たして、現場で実行できるでしょうか・・・。じっと、熊と、逃げずにその場でにらめっこするなんて、とても勇気がいりますよね。
クマは2年に1回、2頭ずつ子どもを産む。1月20日から2月10日までに一斉に生まれる。
クマが人里にあらわれるようになったのは、過疎化や農業の衰えとともに人の営みが減っていったため、以前はクマにとって居心地の悪かったところが、居心地のいい場所になったことによる。放置された畑があり、栗や柿の木など、実がそのまま残されているので、クマがやって来る。
渓流釣りは、クマと出会いやすい環境にある。山菜とりや竹の子とりもクマの食べ物をとりに行っているから出会う確率は高いし、視界も悪いので不意打ちになりやすい。
鈴をつけるとか、人工的な音をたてて、人が来ていることをクマに知らせる必要がある。
日本でクマと出会って死亡する人は、毎年0人から数人。ハチに刺されて死ぬ人は20人ほど。人間に殺される人は数百人。人に殺されるツキノワグマは1000頭から3000頭。
真新しい足跡や糞があったら、クマが近くに潜んでいる可能性がある。すぐにその場を立ち去るべし。
クマと出会ったら、背を向けて逃げてはならない。背を向けずに後ずさりして、クマとの距離をあけていく。
クマ撃退スプレーは1万5千円もするけれど有効。クマ鈴、山刀、爆竹も必携。クマ鈴は、川の近くでは水音にかき消されてしまう。そこでホイッスルも必要。
クマと人間の共存は大切なことだと思いますが、なかなか勇気もいるのですね・・・。
(2016年12月刊。1111円+税)
2017年1月23日
野生動物カメラマン
(霧山昴)
著者 岩合 光昭、 出版 集英社新書ヴィジュアル版
ライオンとハイエナ。どちらが強いか・・・。2頭のハイエナを12頭のライオンが襲いかかったとき、ハイエナはライオンに殺されてしまった。
5頭のハイエナがエサを食べているところに1頭のライオンがやってきたら、ハイエナに追い払われてしまった。
獲物の横取りが得意なのは、ハイエナよりも、むしろライオンのほう。ライオンの狩りが成功するのは10回に1回ほど。決して狩り名人とは言えない。
ハイエナは獲物の肉や内臓だけでなく、骨もかみ砕いて食べる。胃腸は大丈夫なので消化ができ、カルシウムだけが残るので、糞は白い。
ライオンは軟らかくておいしい肉を食べるから糞は軟らかく、非常に臭い。
ザトウクジラは、暖かい海で子どもを産んで育てる。子育てのあいだ、親(メス)は何も食べない。南の暖かい海にはクジラの食べるものは何もない。
なぜクジラは海面を出てジャンプするのか、その理由は分かっていない。
ペンギンのヒナは夏が終わって産毛がすっかり落ちてしまうまで、海で泳げない。産毛が残っていると、海水がしみ込んでしまうからだ。
地獄谷のサルにとっては、人間にはちょっと熱めの42度くらいが一番心地よいようだ。
野生動物をよく見ていると、彼らもまたこちらをよく見ていることに気がつく。そして、あいつは危害を加えるものではないとして、警戒心を解いてくれる。そうすると、ライオンが狩りを見せてくれることもある。ええっ、それでも怖いですよね。
いわごうさんの写真は、どれも動物が生きています。生命の躍動感がありますよね。
(2015年12月刊。1200円+税)
フランス語の口頭試問を受けました。
3分前にペーパーが渡されます。一問目は天皇の生前退位をどう考えるかというものです。これは、日本語でも難しい問題ですからフランス語で話せる自信はなく、すぐにパス。二問目は子どもの虐待が日本で増えていることをどう考えるかというものでした。暴力とネグレクトの2種類あると話したのはいいのですが、親自身がその親から愛情たっぷりに育てられていないことも原因だと言いたかったのですが、フランス語になりませんでした。トホホ・・・。
3分間スピーチには、いつも苦労しています。
2017年1月21日
ペンギンの楽園
(霧山昴)
著者 水口 博也 、 出版 山と渓谷社
パンダも大好きですけど、ペンギンもまたいいですよね。
旭山動物園の冬のペンギンの大行進をぜひ間近に見てみたいと思います。
ペンギンと言えば、あのコウテイペンギンの子育てのすさまじさには泣けますよね。3ヶ月も飲まず食わずで、足の上でヒナを育てる。そして、極寒の地で、ブリザードを浴びながら身を寄せ集まって耐え忍んでいる光景なんて、まったく感動するしかありません。
海から帰ってきた親は、大勢のヒナ集団の中から、自分のヒナを声で見つけ出して、エサを与える。親が事故にあったら、ヒナは餓死するしかないのですね・・・。
ジェンツーペンギンが大勢そろったところで、一斉に氷上に飛びあがるのは、氷縁に恐ろしいヒョウアザラシが潜んでいるから。危険地帯をみんなで一気に乗り越えようというのだ。
アデリーペンギンが個体を減らすなかで、ジェンツーペンギンは圧倒的に個体を増やしている。その原因は、温暖化。雪による影響をアデリ―ペンギンは受けやすく、しかも、前シーズンに営巣した場所にアデリ―ペンギンはこだれるので、子育てがむずかしくなっている。
ジェンツーペンギンは、場所のこだわりが少なく、エサにも融通性がある。
ペンギン尽くしの楽しい写真集です。とても行き届いた解説があり、勉強になりました。
(2016年8月刊。1800円+税)
2017年1月16日
進化
(霧山昴)
著者 カール・ジンマー 、 出版 岩波書店
生物の進化に関する面白い興味深い話が盛りだくさんの大型本です。
ダーウィン・フィンチの写真があります。ガラパゴス諸島に生息するフィンチのくちばしが、こんなに異なっていることに驚かされます。ダーウィンは、これによってすべての生物は進化したのだと結論づけたのです。
人間が音を聞くのに使っている骨は、かつて人間の祖先がものをかむのに使っていた骨である。
化石から、鳥がどのようにして恐竜から進化してきたのかが分かる。羽は、恐竜の子孫たちが空を飛べるようになるはるか以前に、恐竜のからだに進化し、単純なトゲのようなものから、ふわふわした羽毛になり、最後には飛行中の動物を支えられるようになるまで、徐々に進化してきた。
羽毛をつくっている遺伝子は、もともとウロコをつくっていた。その後、皮膚の一部は、羽毛をつくるために使われるようになった。
光が眼に入ると、オプシンというタンパク質にぶつかる。オプシンは光受容細胞の表面にあり、それが光子をとらえると、一連の化学反応の引き金を引いて、光受容器が脳に向かって電気信号を送ることになる。
初期の眼は、おそらく明るいか暗いかが分かるだけの、実に単純な眼点にすぎなかった。ずっとあとになって、いくつかの動物に、光の焦点を合わせて像が結べる球状の眼が進化した。像が結べる眼にとって決定的に重要だったのは、光の焦点を合わせるレンズの進化だった。レンズは、クリスタリンとよばれる驚くべき分子でできているが、クリスタリンは、からだのなかでもっとも特殊化したタンパク質のひとつである。透明だが、入ってくる光線を曲げ、網膜に像が結ばれるようにする。クリスタリンは、また身体のなかでもっとも安定なタンパク質であり、その構造は何十年と変化しない。ちなみに、白内障は、老年期にクリスタリンが固まることで生じる。
古生物学者は、かつて存在したすべての種の99%が、この地球上から絶滅したと推定している。今日存在している昆虫のすべての料の50%が2億5000万年前にも存在していた。2億5000万年前に存在した四足(しそく)類のどのひとつの料も、現在は存在しない。
植物を食べる能力は、昆虫に大量の食料を提供する。植物を食べることが昆虫の多様性を爆発的に増やした。
動物はカンブリア紀に突然この地球上に降ってわいたのではない。進化してきたのだ。
鳥のメスは、単純なさえずりのオスよりも、複雑なさえずりを歌うオスを好む。カエルのメスは、夜間に小さな声で鳴くオスよりも、大きな声で鳴くオスを好む。
つがいを形成する鳥たちの多くは、見た目ほどには互いに対して忠実ではない。つがいを作っている鳥たちの巣にいるヒナのDNAを分析すると、しばしば、そのうちのかなりが、母親のつがいのDNAでないことが判明している。母親は、つがい相手以外のオスと交尾しているのであり、つがい相手は一生けん命そのヒナを育てている。
カモなどの水鳥の交尾の3分の1は強制交尾だ。ところが、望まれないオスが実際にヒナの父親になるのは、わずか3%でしかない。メスは、体内で精子をコントロールし、侵入者の精子よりもつがい相手の精子を優先させている。
夜の照明と飛行機による長時間の飛行は、ともにガンのリスクを上昇させる、ホルモン周期を撹乱させるからだろう。
学習した頭の良いハエは、15%も寿命が短くなる。より長く生存するのは愚かなハエのほうだ。うひゃあ、そ、そうなんですか・・・。
(2012年5月刊。5600円+税)
2017年1月10日
シマエナガちゃん
(霧山昴)
著者 小原 玲、 出版 講談社
これは可愛い。まさしく雪の妖精です。北海道でフツーに見られる小さな小鳥の写真集です。
シマエナガは北海道に暮らすエナガの亜種で、真っ白な顔ころんとした小さな体が特徴。
ほんとうに真白い、丸々とした小鳥です。つぶらな黒い目と小さな鼻があるだけ。まるで白いマシュマロです。
体の長さは14センチ。体重8グラム。日本最小の鳥。冬には樹液のつららをなめています。大好きなのです。
飛ぶときにはロケットのように!まさかと思いますが、羽を広げているのではなく、羽を閉じたまま昇ったり、降りたりする姿が写真にとらえられています。もちろん、羽を広げても飛んでいます。
冬のあいだは群れで過ごし、冬が終わるころにつがいになる。
シマエナガは、コケやクモの巣をつかって、木の幹の二又に分岐しているところに大きな卵形の巣をつくる。見た目は草や葉の塊のようになって外敵の目を欺く。
小さな卵を10個ほど産み、2週間でかえってヒナとなる。しかし、1年後まで生き残っているのは一羽か二羽ほど。エサがなかたり、冬の寒さに耐えられなかったり、タカや昆虫に食べられたりする。寿命は長くて3年から5年ほど。
それにしてもヒナたちが木の枝に一列に並んでいる様子は愛らしくてたまりません。
シマエナガは人里に近い環境を好むので、札幌の大通公園など、緑の多い公園や緑地で普通に見られる。
いやあ、こんな可愛い小鳥が身近に見られるなんて、北海道の人は幸せです。
今朝(12月28日)、この冬一番にジョウビタキを見かけました。御用納めの日に出勤する寸前の我が家の庭です。このジョウビタキも愛嬌たっぷりの小鳥で、可愛いですよ。
(2016年12月刊。1300円+税)